その種類・特長    


セイヨウナタネ
セイヨウアブラナ Brassica napus
セイヨウナタネのキャノーラ種は、欧米や豪州で食用油やバイオ燃料の原料として広く栽培されています。セイヨウナタネの食品としての歴史は意外に浅く、開発は1970年代。米国食品医薬品局(FDA)で食品として認可されたのは1985年でした。

キャノーラは、心臓に悪影響を及ぼすといわれるエルシン酸や、家畜の甲状腺腫の原因になるといわれるグルコシノレートを含まない品種として改良されたもの。

1971年のナタネ輸入自由化以前は、全国でナタネが栽培されていて、自給率は100%でしたが、1985年、品種改良されたキャノーラ種の登場以後、国内での栽培は激減し、現在では0.1%以下となってしまいました。

さらに、除草剤をかけても枯れない遺伝子組換えキャノーラが開発され、1996年ころから北米大陸で商業栽培が開始されました。日本への輸入もそれに呼応して行われるようになりました。以後、北米産のキャノーラはほぼ遺伝子組換えです。

日本が輸入しているキャノーラナタネは、年間230万トン前後で、そのうちオーストラリア産のノンGMは5%にも満たないというのが現状です(オーストラリア産のナタネの方が10%ほど値段が高い)。

2004年農水省からの発表を受けて
この年、千葉県鹿島港で遺伝子組換えナタネの自生が確認されたという農水省の発表を受け、遺伝子組換え食品を考える中部の会でも、かねてから懸念していた三重県四日市港、愛知県名古屋港の調査を開始。2006年からは、それまでの調査ではGMナタネの自生拡大は防げないと判断し、市民の参加を募り「遺伝子組換えナタネ抜取隊」を開始しました。
以後、抜取隊は通算22回、自主調査は80回以上に及びます。
ハタザオガラシなどとの交雑種を確認
2009年の秋の抜取隊の際、セイヨウナタネと似つかない個体があることに気付き、簡易検査を行ったところGM陽性を確認。その後の調査の過程で、この雑種とみられるナタネの近くで見受けられるハタザオガラシなどのアブラナ科雑草との交雑体ではないかと調査を続けています。
雑種ナタネのいろいろ(中部の会の調査より)
ハタザオガラシ?との交雑
茎が箒のように真上に伸び、葉身は茎を巻き込むが細長い。
花はハタザオガラシなどのように小さい
カラシナとの交雑
稚葉はカラシナ揺に薄く、毛羽は無く大きいが、成長に伴い、セイヨウナタネのようなワックス状の毛羽が現れ、葉身が茎を囲む特長となる。
在来ナタネとの交雑
在来ナタネと比してワックス状の毛羽が多い
ダイコンとの交雑?
花が白い。草丈が低い。すでに種鞘に種子が実っている。
  中部の会の調査でよく見かけるアブラナ科の雑草
ハタザオガラシ
その名の通り、種鞘が旗竿のように長く伸びる。葉は細く、花は小さめで黄色が濃い
セイヨウカラシナ
葉に切れ込みとギザがあり、茎は太くなく、草丈は比較的高い。花の数は少なめ
在来ナタネ
セイヨウナタネと比べて花が多い。葉も大きく広がり、葉柄は極端に短く、葉身が茎を大きく巻き込む
ハマダイコン
海辺に生息(鈴鹿川、雲出川河口付近)。
花は比較的大きく、白色で薄く紫のぼかしが入る。
種鞘は先尖で、ぷくっと丸く種子をかたどる。
イヌガラシ
葉に浅く切れ込みとギザがあり鋸葉。
草丈は高くなく、茎は太めで花は多くない
  作物との雑種?(中部の会の調査より)
ブロッコリー?
三重県鈴鹿市の国道23号沿いで
大高菜?(愛知の伝統野菜)
愛知県豊明市の国道23号沿いで
キャベツ?
三重県鈴鹿市の国道23号沿いで
かぶ?(キャベツより葉が薄い)
三重県松坂市
  実際の栽培種
ブロッコリー
葉は厚く、丸みを帯びたギザがあり、ワックス状の毛羽に覆われる。
茎は草丈に比べて太い
大高菜 こちらをごらんください
他のアブラナ科と交雑しやすい。
草丈が異常に高い
愛知県名古屋市大高町周辺の在来種
キャベツ
子葉は丸みを帯び、厚く、ワックス状の毛羽に覆われる
かぶ
本葉に切れ込みがあり、薄く、毛羽は少ない
雑種ナタネの特徴
特に国道23号沿線で確認される雑種ナタネの場合
セイヨウナタネと比べて、たくさんの枝が竹箒のように直線的に上に伸びる
葉身が細く、本葉の葉柄は極端に短く、直接枝を巻き込む
ワックス状の毛羽が無い
花の大きさはセイヨウナタネと比べて小さめ
おしべが貧弱でめしべをしっかり取囲んでいない→花粉があったとしても自家受粉しにくい
おしべに花粉がないだけでなく、長さが極端に短くめしべに届かない→自家受粉ができない
近くにハタザオガラシなどのアブラナ科雑草が確認されることが多い
簡易検査で除草剤耐性GM陽性の反応が出る確率が高い
セイヨウナタネと雑種ナタネの花の比較(とくにおしべ)
セイヨウナタネ(左)に比べて、
雑種ナタネ(右)のおしべが短い
セイヨウナタネ(左)のおしべには花粉があるが、
雑種ナタネ(右)には花粉がない場合が多い(おしべが短い)
一本のナタネから黄と白色の花が?!
くわしくはこちらをごらんください。
キメラ(chimera):
同じ個体に異なる遺伝情報を持つ部分(枝)が混在している状態。

雑種ナタネ出張講座のお知らせ
 遺伝子組換え食品を考える中部の会では、雑種ナタネについての出張講座をお受けしています。
 みなさまの地域のセイヨウナタネ自生調査でも、雑種ナタネが見つかるかもしれません。
 まずは中部の会へご相談ください。
 
お問い合わせは 遺伝子組換え食品を考える中部の会
事務局:食と環境の未来ネット
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