名古屋港潮見埠頭〜R23号竜宮ICまでの
2007/05/26

セイヨウナタネ自生調査・抜取り

『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』では、四日市港と隣接する名古屋港についてもセイヨウナタネの自生調査を行ってきました。とくに港区潮見町の潮見埠頭から県道55号線船見交差点を経て北進、国道23号線竜宮ICまでの区間についてをその重点区域としています。

該当する潮見埠頭の製油会社によれば、社外へのナタネの陸送はないことになってはいるものの、04年からわたしたち中部の会による10数回の調査から、継続的なセイヨウナタネの自生が顕在することを確認しています。

本格的な調査抜取作業は昨年5月以来約1年ぶりということもあり、その現状と調査結果には大いに注目するところでした。今回の参加者は中部の会のメンバーをはじめとする10名でした。今回は初めての参加者もあり、「まさかこんなところにこんなにたくさん・・」というおどろきの声もあがっていました。

3つのグループに分けて調査・抜取
今回の調査では、全工程を3グループに分割。製油所から埠頭内ブルーボネット前までを『Gグループ』。ブルーボネットから船見交差点までを『Oグループ』。さらにR23号竜宮ICまでを『Yグループ』としました。

Gグループの結果
やはりセイヨウナタネの自生は顕在的に見られ、とくに顕著なのが中央分離帯での自生。三井物産(潮見町37番地7)付近の県道中央分離帯では、すでに種子を放出中のナタネの群生が見られました。検査の結果採取撤去した10株すべてが除草剤バスタ耐性(LL:リバティリンク物質名グルホシネート耐性)であることを確認しました。ほかに除草剤ラウンドアップ(RR:物質名グリフォサート)耐性セイヨウナタネ1株を確認撤去。
Oグループの結果
潮見埠頭ブルーボネットから潮見橋を東進、船見埠頭を経て船見交差点までの間ではカラシナを含む除草されないままの雑草こそ多いものの、セイヨウナタネの自生はほとんど見られませんでした。家畜用飼料を扱っているとみられる倉庫会社前で自生のイヌガラシと大豆の生体を採取し検査(いずれも陰性)。なおこの場所では、05年4月の調査でRR陽性の群落を確認しています。

結局GM陽性のナタネは潮見橋の東、船見埠頭南西交差点の西(左の写真)の1ヶ所で確認しただけでした。

Yグループの結果
潮見・船見埠頭を経て、県道55号船見交差点を左折北上し、国道23号竜宮ICまでの約2.5Kmの区間。途中大掛かりな道路工事などもあり、セイヨウナタネの自生は少ないと思われましたが、調査の結果処理しきれない量の自生が確認されてしまいました。
この区間で目立つのはやはり中央分離帯のセイヨウナタネ。まさに成熟した種子を放出している最中の株ばかりで、抜取りの間にも多量にこぼれてしまう始末。

この区間は当分追跡調査を続けなければなりません。

昨年までの調査では、これほど大掛かりなセイヨウナタネの自生はこの区間では確認されませんでした。

にもかかわらずこの状況が現出してしまっている理由として、やはり潮見埠頭からのナタネの陸路での移送が行われている事実を認めないわけにはいきません。

四日市港周辺との共通点
さらにこれは四日市港周辺にも共通して言えることですが、昨年以前に確認される頻度の高かったラウンドアップ耐性GMナタネに代わって、バスタ耐性(LL:リバティリンク)ナタネの隆盛が目立ちます。これは最近の傾向として両港での輸入荷物の共通性によるものなのかもしれません。あるいはこれはあくまでも推測ですが、両港での陸路でのナタネの移送が行われている可能性も否めません。

いずれにせよ、名古屋港周辺でのこの状況を放置しておくわけにもゆかないわけで、今後しばらくの追跡調査を強化する必要があります。

今回の結果から、関連機関での適切な対応を強くのぞむところです。

四日市港周辺では、民間・行政など関連団体によるセイヨウナタネの拡散防止のための施策が行われています。にもかかわらず、ここ名古屋港潮見埠頭周辺ではまったくお粗末としか言いようがなく、ただ野放し状態で暴走し続ける『セイヨウナタネ』を確認するばかりです。

特に強調しておきたい点として、セイヨウナタネは拡散性が高く、GMナタネも同等またはそれ以上に競合性をもった『雑草』となりつつあるということ。今こそ根絶のための努力が必要です。

GMナタネの自然界への拡散が『起こりえない』とか、『影響なし』という確信が得られない限り、私たちはこの未来への『負』の遺産を放置すべきではありません。

関係団体の早急な対応を望みます。