四日市港周辺の

GMナタネ自生の自主調査
04/07/21
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自生のラウンドアップ耐性GMナタネ

『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』では四日市港とその近隣のナタネ製油所周辺の自生ナタネの野外調査を行ないました。

今回の自主調査は、農水省による、茨城県鹿島港周辺での3種類(注)の遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査の結果発表を受けてのものです。とくにラウンドアップ耐性GMナタネ(以後RRナタネ)についての調査をしました。

その結果、採取されたナタネ14検体中、3検体にRRナタネを確認しました。

この時期、自然界ではナタネの自生はありえないものの、その都度の荷役または搬送中にこぼれた種子が芽吹いたものと思われ、いずれの検体も生体のまま採取されました。

これら自生ナタネの採取場所は荷役埠頭付近の道路脇と、近隣にあるナタネ製油所付近のおなじく道路脇。

この調査で港湾周辺ばかりでなく、ナタネの製油所付近においても、RRナタネが自生している事実が確認されました。この事実から、全国の関連施設周辺でもRRナタネの自生の可能性が示唆されます。

なお、今回はRRナタネの港サイロからナタネ製油所までの搬送ルート周辺については調査していません。また、今回の調査ではRRナタネだけを対象としています。


モンサント社のEPSPS(除草剤ラウンドアップ耐性)とアベンテイス社(バイエル社)のPAT(除草剤グルフォシネート耐性)、それにアベンテイス社のMS−RF(雄性不稔と除草剤グルフォシネート耐性の複合)の3種
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真夏だというのに
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枯れた状態のナタネ

こんなに大きな株まで
自生のようす
(クリックで自生の様子)


製油会社付近で

K−1、K−3、S−3が陽性反応を示した検体

検査の方法

採取した検体の一部を取り、検査キット付属の試験管に入れ、水を加えて爪楊枝などでよくかき混ぜる
試験管の上澄みに試験紙を差し込む
しばらくして上澄み液を吸い込んだ試験紙に基準線が現れます。この基準線の下にもう一本線が現れたらRRナタネ。
(一度使った器具、爪楊枝などは二度と使わないようにします。手もしっかりと洗ってください)
一回の検査に要する時間は約5〜10分です

(クリックで拡大)

よくかき混ぜると上澄み液は薄い緑色になる
検査キットについての説明はこちら

8/23
再度の自主調査

バスタ耐性ナタネの判定検査
以上、7/21の調査を踏まえ、8/23に再度調査を敢行しました。

今回はラウンドアップ耐性のほかに、グリホシネート(バスタ)耐性ナタネの検査も行ないました。

まずRRの検出後、陰性のものだけをバスタ耐性遺伝子判定用試験紙で検査しました。

使用した試験紙は米国 Strategic Diagnostics 社製『Trait』、商品番号7000045。

検査の結果、詳細はこちらをごらんください。



輸入ナタネの荷役からトラックでの配送まで
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接岸の穀物船の船倉から穀物を抜き取るための荷役機械(自走式)
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荷役機械(アンローダー)とサイロをつなぐベルトコンベアー
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 サイロ
4 サイロからトラックへの積込み
5 製油会社へ


日本全国のナタネ輸入港周辺でも同様の結果が予想されます。
 農水省はGMナタネの拡散も、それが栽培認可されている点から、やむをえないとする見解です。それに対して各自治体は『静観』という態度をとっている。

 ここで有効となるのは消費者、生産者など、住民サイドからの自主調査などの具体的な行動ではないでしょうか。それこそが地方自治を動かすカギとなります。

カナダなどから輸入されるナタネは3万トンクラスの大型船で埠頭に接岸されます。

アンローダーと呼ばれる機械が、掃除機の要領で船倉からナタネを抜き取り、ベルトコンベアーでサイロに搬送、備蓄されます。

配送用トラックへは、ダクト状のパイプによって計量され積込まれる(トラックの周辺にはハトの群れが、こぼれ落ちたナタネの実をついばんでいました。

左の写真のうち、1〜3ではナタネの飛散、こぼれ落ちは起きにくいと思われますが、4、5の段階ではじゅうぶんに考えられます。

農水省の調査では、港施設周辺の道路脇の調査にとどまっていますが、『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』では製油会社周辺の調査も行ないました。

その結果、製油会社周辺でもRRナタネが確認されました。

カナダ産ナタネの輸入港と輸入実績(2003)


数量(t)
金額(千円)
神戸税関管内
神戸
285,636
10,540,443
水島
191,664
7,201,231
宇野
16,289
576,827
名古屋税関管内
名古屋
140,888
5,232,487
清水
176,028
6,669,452
四日市
80,911
2,933,714
門司税関管内
博多
61,481
2,241,244
横浜税関管内
横浜
296,094
11,462,405
千葉
196,851
7,618,085
鹿島
196,154
7,533,352
財務省HPより抜粋
左の表のように03年にカナダ産ナタネの輸入のあった港は、名古屋税関管内では名古屋港、四日市港と清水港です。

ナタネ製油会社もその周辺にある場合が多い。

全国の製油、油脂工場リスト
(明らかにナタネの扱いのないところは除外)