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カナダのナタネ、カノーラは現地では厳寒の冬を越せず春播き品種だが、三重県では越冬可能と思われる。従って、結実期を過ぎた枯死個体は日本で栽培されているセイヨウナタネと同様、秋に芽生えた個体であり、開花中の個体は春に芽生えたもの、栄養成長期の個体は秋に芽生え枯死した個体に実った種子、または輸送中か荷役中のこぼれた種子が晩春から初夏に発芽した個体と考えられる。いずれにせよ、国内で栽培されているセイヨウナタネがこの季節にこの場所で生育するはずも無く、花器特性、特に雄蕊の形状から見ても明らかにカナダ由来のカノーラである。現に、我々が調査した当日もサイロからのトラックへのナタネ積み込みが行われていたが、周辺にこぼれた種子を数羽のハトがついばんでいた。こうした情景は恐らく日常的に存在すると思われ、管理は極めて難しいと思われる。
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検出したモンサント社の除草剤耐性CP4EPSPSタンパク質は、その遺伝子がナタネではカノーラに組込まれ、カナダ産ナタネの約30%を占めることから、今回検出された遺伝子組換え体3体は、カナダ産カノーラまたはその交配種である。また、今回我々は検出しなかったが、陰性だったものの中には、生井氏の示唆によれば、結実性の悪さなどからアベンテイス社のPAT遺伝子(除草剤グルフォシネート耐性)と抗生物質ネオマイシン耐性neoを持つ、雄性不稔・稔性回復の一代雑種MS1−RF1、MS1−RF2,MS8−RF3またはこれらと日本で栽培されているセイヨウナタネあるいは在来ナタネやハクサイ・カブなどラパ種との交配種が存在する可能性もある。
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(4−3) |
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今回の調査で、港以外の搾油工場周辺での組換え体検出は国内で始めてである。かねてからこうした汚染は懸念されていたが、現実であることが証明されたもので、他の類似施設、例えば家畜飼料工場などの周辺でも同様の組換えナタネ自生の可能性は高い。国または地方自治体や港湾管理当局は早急に全国のこうした危険性のある場所を調査し、対策を立てる必要がある。アブラナ科植物は他家受粉性が高く、わが国で栽培または自生している同種のセイヨウナタネをはじめ近縁のアブラナ科植物も多いことから、このまま放置すれば組換え遺伝子が各種の自生種や栽培種と遺伝子組換え品種との自然交配によって自然界に広範囲に広がり、取り返しがつかなくなる恐れがある。ナタネ街道などの取り組みにとっても、花粉飛散によって知らないうちに組換え遺伝子が侵入することは大きなリスクを負う。
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オランダの研究者らによれば、モンサント社の除草剤耐性タンパク質CP4EPSPSには、イエダニのアレルゲン、Derp7のエピトープ(注:抗体が認識するアレルゲンのアミノ酸配列)が含まれており、組換えナタネが広く分布することになれば、新たな花粉症発生の恐れもある。
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