身近に迫る遺伝子汚染
  〜GMナタネから雑草へ!! 長期自生の影響〜 Part3
その1開会/あいさつ/基調講演
その2全国自生調査報告
その3パネルディスカッション

 パネルディスカッション「GMナタネによる交雑をとめよう」
パネラー
 八田純人(農民連食品分析センター)
 河田昌東
コーディネーター:天笠啓祐(食農市民ネット)
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全国調査の報告に対する感想は
河田:
地道に行ってきた成果が出ている。GMナタネ自生の因果関係がわかってきた。熊本天草市のように行政との連携がとられている。
八田:
隠れGMナタネが今回確認されていない。確立が低い。両耐性のナタネが数多く確認されている。ハタザオガラシとそうでないナタネの見分けが、まだきちんとできていないようだ。

交雑種について
河田:
ハタザオガラシと雑種のちがいは、外見が明らかにハタザオガラシやイヌカキネガラシである場合はGM陰性だが、雑種と思われる個体の場合は、セイヨウナタネとも形がちがい、外見からはどちらとも判断しにくい。その場合、GM陽性の結果が出やすい。また、種子が付きにくい。
画像などで紹介できるようにしたい。

自然界に対する影響は
河田:
GM遺伝子を持った雑草が拡散する可能性がある。除草剤耐性の雑草が増える可能性があるが、それよりも種の壁を越えた雑草が拡散することが、自然界にどういった影響をあたえるかが問題。ヨーロッパではGMOがフランケンシュタインにたとえられるほど。

多年草化したセイヨウナタネが何故見つかるのか
河田:
以前の調査では3〜4cmもある太さの茎のナタネがよく見つかったが、近年数は少なくなっている。抜取りをしているのに、なぜかこの春の抜取隊で太い茎のナタネが道路わきで見つかる。年2回の抜取隊で見過ごすはずがない。抜取る場合、根を残さないようにしないと、それを基にまた太く育ってしまうのではないか。

抜取ったナタネの処分方法について
河田/八田:
可燃ごみとして処分するのがよい。名古屋大学でGMシロイヌナズナが校内に自生していたという報道があった。本来、きちんと殺してから処分する必要がある。

サンプリングするとき、種がこぼれないように注意する。二度と芽を出さないように焼却処分するのがいちばん。

抜取隊の際、関連企業が焼却処分をしてくれている。

検査で注意すること
八田: 検体をサンプリングする際、複数がまとまらないように一本ずつ別々に取り、別々に保管するようにする。さらに、抜き取るときに、前の検体を触って汚れたままの手を使わない。そうしないと、正確な検査結果がでないことがある。
試験管に検体の葉と水を入れてすりつぶす際、濃くしすぎると、判定線のところに緑色の線が沈着してしまい、間違った判定をしてしまう場合があるので注意が必要。
試験紙での判定が紛らわしい場合、それであきらめずに再検査するとか、二次検査を依頼するようにして、はっきり答えを出すようにしたい。

調査よりもナタネを抜取ることをもっと広める必要があるのではないか(抜取りの意義)
河田:いったんこぼれた種は、5〜6年発芽能力があるといわれている。抜取りは徹底的にする必要がある。関係するそれぞれの団体が、お互いに情報交換なしに、別々に抜取りをするとどうしても徹底しない。連携を密にして、それぞれの担当区域の抜取りをしっかりすれば、大きな効果がでるはず。

生物多様性(環境)に対する影響もさることながら、人体への影響について
河田:GM作物の認可について問題がある。短期間の動物実験では不十分で、世代を超えた長期の実験をする必要がある。フランスのカーン大学のセラリーニ教授による実験の例があるが、2年間をかけて行われた。その結果、重大な問題が明らかになったという例がある。

カルタヘナ議定書・名古屋クアラルンプル補足議定書の締結について、明文化を決めるのは国会?
天笠: 国連で議論、修正され、決まったカルタヘナ議定書に対し、それを受けた形として国内法を作る。現在の国内法では、GMナタネ自生問題に対する規制力がないというのが現状。環境・農水省がまず省令といった形で具体化したうえで、国会の審議を経て、改正されなくてはならない。
名古屋クアラルンプル補足議定書が、2010年に名古屋で行なわれたMop5で決議されたが、未だに(国際法として)効力を発していない。日本も調印したが、未だに批准をしていない。
昨年、韓国のMop7で、農水・環境省に聴いたところでは、審議は進んでいるという回答だった。その後、未だにこぎつけておらず、停滞している。


今日は大勢の皆さんの参加、ご苦労様でした。このような全国的な調査活動は、世界的にも貴重なものです。これからも地道に続けていってほしい。

食農市民ネットでは、ナタネ宣告調査、政府との折衝、国際会議への参加などを通して海外との意見交換も進めて行きたい。


講演者、パネラー、コーディネーター プロフィール
河田昌東(かわたまさはる)氏
分子生物学者。チェルノブイリ原発事故後、1990年より、ウクライナに赴き、救援活動。GM食品が輸入され始めた1997年より、遺伝子組換え食品を考える中部の会。2011年、福島原発事故をきっかけに、救援活動。現在はウクライナと福島で、ナタネで除染と採油による地域再生のための、ナタネプロジェクトを行っている
お問合せ
主  催 食農市民ネット
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
事務局遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
TEL03-5155-4756
Eメールoffice@gmo-iranai.org

または
  遺伝子組換え食品を考える中部の会
事務局食と環境の未来ネット
住 所 〒461-0004
名古屋市東区葵1-14-3
TEL
FAX
052-937-4817
052-932-8234
Eメールsk_mirainet@yahoo.co.jp
八田純人
農民連食品分析センター所長。
農民連食品分析センターは、1994年、日本のWTO協定受諾にともない、規制緩和による輸入食品が増加する中、その危機感から農業者、消費者に支えられて発足、運営されている世界的にもめずらしい機関。
農薬、化学物質、放射能、遺伝子組換え、細菌など、幅広い検査・分析を行っている。
天笠啓祐
1970年、早稲田大学理工学部卒。科学ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表。食、農、環境、政治、人権など、あらゆる社会問題に取り組む。
『生物多様性と食・農』『危険な食品・安全な食べ方 自らの手で食卓を守るために』ほか、関連著書多数。
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