●各地からの報告
・全体のまとめ | |
報告: | 纐纈美千世 | 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン |
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今年の全国調査は38都道府県で行われた。
参加団体は、あいコープみやぎ、なのはな生協、生活クラブ生協、新潟県共同生協、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、遺伝子組換え食品を考える中部の会、コープ自然派事業連合、グリーンコープ共同体。
今年は、947検体で検査キットを使った簡易検査が行われ、53検体がGM陽性と判定された。内、ラウンドアップ耐性が21、バスタ耐性が30、両耐性2だった(遺伝子組換え食品を考える中部の会のGMナタネ抜取隊では、3276本のセイヨウナタネ、雑種?129本が抜取られた)。
今年で11年目の全国調査だが、半数以上の地域で陽性反応がでている。今年は青森県八戸(生活クラブ生協)で初めて陽性が確認された。
15年間、市民による調査が続けられ、次々、新しい発見がなされており、世界的にも大きく評価されている。
韓国でも大豆などのGM作物が自生しており、関連の団体への呼びかけをしたところ、GM調査をしたいという姿勢を示している。
毎年の調査で、よい兆しがあるわけではないが、市町村、国に対して状況を訴えてゆくためには、地道に調査抜取りを続けてゆくことが大切。それにより、何らかの対応がなされているといえるのではないか。
多くのGM作物(食品)が輸入される中、少しでも状況を改善してゆくためにがんばって行きたいと考える。 |
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・あいコープみやぎ | |
報告: | 高野恵美子 | 石巻港、仙台港周辺 |
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2016年3月に全国GMOフリーゾーン交流集会を宮城で受入れることになった。
宮城県ではGM作物が自生しているという認識がなかった。今までは、あまり力を入れて調査をしていなかったが、今回はじめて組合員全員に呼びかけて調査を行った。生産者も参加してくれた。
仙台港と石巻港を調査し、33検体を検査した。そのほかに、生産者の圃場近くでも栽培しているナタネを検査した。
仙台港には飼料会社があるため、その周辺を調査した。セイヨウナタネは多数確認されたが、陽性のものは確認できなかった。 |
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石巻港では、飼料会社周辺で、2013年の調査では1検体RR陽性を確認している。この飼料会社では、菜種油を絞ったあとのナタネ粕を扱っている。
今回の調査の模様をNHKに報道してもらえた。
今回の調査では、33検体中、3検体がRR陽性だった。 |
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・なのはな生協 & 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン | |
報告: | 山元美穂 | 鹿島港周辺 |
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組合員1万人ほどの千葉の生協
初めての取り組みということで、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと合同で調査を行った。今年で二年目となる。
1997年、GM食品反対・表示義務を求める署名活動。1998年から、GM食品の扱いを中止。2000年、GMイネの開発作付け・輸入に反対運動。2001年、GMイネいらない署名活動。2007年、GM食品の表示についての法改正を求める署名活動を行った。 |
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鹿島港の調査では、19検体の簡易検査を行った結果、1検体に陽性反応を確認。こちらの飼料工場では、清掃活動を実施しており、ナタネの自生が少ない状況となっている。
なのはな生協では、食とくらしの安全を守るために遺伝子組み換え食品に反対している。
GMナタネの自生を防ぎ、生物多様性を守るために調査を継続し対策を求めてゆく。 |
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・生活クラブ生協連合会 | |
報告:
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土谷雅美
山口葉子 |
北海道〜兵庫県
愛知県名古屋港周辺 |
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生活クラブ連合会は、北海道から兵庫まで、33の生活クラブで組織している。
今年は18都道府県、489検体の検査を行った。内、25検体に陽性反応を確認した。昨年の調査では477検体中41が陽性だった。
青森、神奈川、長野、愛知、千葉からの7検体を二次検査した。
青森八戸港の調査ではRRナタネを確認。青森では、生活クラブ生協では、2006年から自生調査を行っているが、青森では農水省の発表を受け、2012年から調査を開始。農水省と現地への問い合わせをしたが、八戸港ではナタネの陸揚げはされていないことになっていることがわかった。にもかかわらず、今年初めてGMナタネが確認した。飼料工場ではナタネ粕の利用があるため、可能性がある。あるいは、他の飼料原料に混入しているのかもしれない。
ナタネは拡散しやすいことがわかったため、今後も監視してゆく必要がある。
生活クラブあいちの報告
2015年、15検体を抜取りした。県道55号線では、大幅な道路工事があったため、ナタネの個体数が少なかった。
2010年、潮見埠頭の製油会社に申入れを行った結果、抜取り活動をしてくれるようになったため、ナタネの自生が少なくなっている。
昨年から組合員の啓発のため、ナタネ調査への募集をかけている。 |
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・遺伝子組換え食品を考える中部の会(愛知・三重県) | |
報告: | 石川豊久 | 三重県四日市港周辺 |
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三重県の製油所へのナタネ輸送ルートのほかに、知多市の穀物埠頭からの持ち出しによるものと思われる輸送先未確認のルートが四日市方面と豊明方面に及んでいる。いずれも国道23号線沿い。豊川市の国道1号線でも汚染があったが、抜取りを重ねた結果収束した模様。
今年の中部の会第17回抜取隊の結果について
3276本のセイヨウナタネと、雑種と思われるナタネ129本が抜取り駆除された。いずれも60%以上の陽性率でがあった。
今年、特に多くのナタネが抜取られた理由として、関連企業との抜取り作業区域を完全に分けて行ったことにも一因があると思われる。今後、国土交通省、三重県など、各団体と連携をとりながら、効果的な駆除ができるよう工夫をしてゆきたい。
今回の調査では、雑種と思われるナタネの親を確定することに重点を置いている。抜取られた雑種と思われる検体のうち、簡易検査でGM陽性のものばかり10検体を選び、京都学園大学金川貴博教授に鑑定をお願いしている。
環境省に提出する、隠れGMナタネ鑑定のためのGM陰性個体については、後日、名古屋港周辺で採取。簡易検査で両陰性と判定した14サンプルを、農民連食品分析センターに二次検査の依頼をした。今回は隠れGMナタネは確認されなかった。
今回の抜取隊では(毎回抜取隊の前に行っている)、下見調査で、すでに相当数のナタネが確認されていたため、急遽、多くの市民に参加をお願いした。
●自生ナタネの問題点
隠れGMナタネが確認される
雑種ナタネ?が頻繁に確認される
トラックからのこぼれ落ちが止められない
自生するナタネの勢力を抑制できない
抜取り駆除活動に終止符が打てない
名古屋・クアラルンプル補足議定書に調印はしたが締結していない
(国内法の改正に至っていない)
今のところ、2014年7月に三重県鈴鹿市でサンプリングされた『C1』という1個体に、イヌカキネガラシの遺伝子が確認されている。
環境省でも、在来ナタネとハマダイコンで交雑を確認している。アブラナ科の植物は種が異なっても交雑しやすく、楽観できない。
中央分離帯での駆除作業は、特に危険が伴う。市民の活動としては限界である。行政による早急な対応が望まれる。 |
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カルタヘナ議定書・名古屋クアラルンプル補足議定書の締結・国内法明文化が望まれる。
今後、全国の団体とも連携をとり、互いに協力をしてゆきたい。
中部の会では10月4日に抜取隊を予定している。一人でも多くの方の参加・協力をお願いしたい。 |
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| ●自治労名古屋学校支部給食部会 |
報告 | 山越美由紀 | 名古屋市の学校給食の改善活動 | |
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より安全な学校給食をめざして活動している。
名古屋市の小学校263校、特別支援学校4校の給食を作っている。名古屋市を5ブロックに別け、12万食余り供給している。
1999年、GM食品を名古屋市の給食に使わせない運動に取組む。その中で、遺伝子組換え食品を考える中部の会と知り合い、署名活動を行い、市議会に提案し、勝ち取った。
2007年以来、中部の会の抜取隊に参加している。2008年には、名古屋でのGMナタネ自生調査全国集会に参加。
同年、名古屋市の給食で使われていた7品目の中国食材の使用中止の申し入れをし、市議会を通して勝ち取ることができた。きぬさやなどの中国産については、名古屋市では無理との見解だったが、給食部会による材料調達の努力の結果、切り替えができた。中国産農産物の使用中止については、禁止農薬の使用や残留農薬の問題があったため。
その他に、ゴマは、グァテマラ産に、竹の子水煮、トマト缶詰、梅ぼしは国産に切り替えたが、価格が高いため、使用の頻度はまだ低い。
最近、中国産食材の学校給食使用が問題になったが、名古屋市では大きな問題にはならなかった。みそについては、一部中国産となっているため使用中止した。豆板醤などについて現在検討中。
大豆油などは米油に、醤油などの調味料は、アミノ酸無添加の本醸造醤油に切り替えた。
現在名古屋市では、1ヶ月3800円の給食費となっている。
みそ汁のだしはムロ削り、煮干。カレールーやシチューも手作りでだしもとっている。ハムやベーコンは発色剤を使わないものに切り替えた。そのほかアレルギーへの対応もしており、玉子の使用も控えている。
これからも、より安全な学校給食を心がけて行きたいと考えている。 |
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・コープ自然派事業連合(関西・四国) | |
報告: | 正橋裕美子 | 神戸港周辺 |
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コープ自然派事業連合では、GM食品は扱わないことを原則にしている。畜産飼料や油についても可能な限りGMを排除している。
GMナタネ自生調査は各生協で行っており、検査キットの費用は、組合員からのカンパでまかなっている。調査活動への参加呼びかけや、情報発信、GM学習会、講演なども行っている。
神戸港について
ナタネの輸入量が全国最大の神戸港だが、清掃活動が行われており、群生するナタネはほとんどない。東灘区深江浜と灘区の住吉浜の2ヶ所で調査した。深江浜で4検体の陽性反応が確認された。住吉浜はこの2年間確認されていない。
今年は、中部の会の抜取隊に自然派から2名参加した。23号線沿いに自生するナタネ、雑草との交雑を目の当たりにし、汚染を実感した。
今年は、GMOフリーゾーンのサポーターを呼びかけた。133名の新たな登録があった。
地道な活動をしながら、GMノーの活動を進めて行きたい。 |
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・グリーンコープ共同体(関西・中国・九州) | |
報告: |
塩月恵子
牧 幸子 |
大阪、岡山(宇野・水島港)、福岡県博多港
天草市との協調取り組み |
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GMナタネ調査は2005年から開始した。今年は14の単協で調査を行った。295箇所の調査で、18箇所からGM陽性を確認した。
大阪、岡山、福岡について
●大阪
堺市で陽性を確認。大阪ではナタネの輸入がなく、製油会社もないため、今後注目して行きたい。
●岡山
宇野港、水島港で輸入しており、製油・飼料工場がある。以前はセイヨウナタネが確認されていたが、最近はきれいに整備されており、自生は確認されていない。
宇野港で見つかった1本がRR耐性だった。
水島港、中部飼料と西日本くみあい飼料付近でGMナタネが確認された。
●博多港
箱崎埠頭の14箇所で陽性を確認。港外への輸送ルートを解明するため、主要幹線道路である年高速1号線(中央線)と高速4号線の高架下も調査した。いずれもGM陽性を確認。
抜取隊参加者は『GMナタネ調査中』の看板を付けて活動している。中部の会からの報告でもあったが、ハタザオガラシとみられるナタネでも陽性を確認した(写真から判断すると、この個体はセイヨウナタネと思われる)。
熊本では行政にも調査報告をしたりして、意見交換をしている。これからも地道な活動をしながら、市民を巻き込んだ調査活動をしてゆきたい。
グリーンコープくまもとの報告
天草市の行政との関係作りをしている。今までは、グリーンコープの調査に行政が参加する機会があったが、今回、画期的なこととして、天草市が20ヶ所の調査を行ってくれた。今後、3年ほど天草市が調査を行い、対応を考え、また条例などを策定する際のデータに役立てられると思われる。熊本では陽性は確認されていないが、全国での調査資料を行政にも報告している。 |
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・八田純人(農民連食品分析センター) | |
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群馬県前橋市、みどり市、東京港、千葉県中央港、横浜港
台湾におけるGM汚染 |
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農民連では2005年よりGMナタネ自生調査を行っている。
例年はGウィークを利用して、バイクで福岡までの間を調査しているが、今年は関東中心に、千葉港、横浜港、東京港と群馬県みどり市、前橋市を調査した。 |
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前橋市では、昨年生活クラブ生協で陽性反応がでた飼料工場周辺を調査した。今回、GMは確認しなかった。みどり市の飼料工場周辺と他の工場への搬送ルートを調べたが、セイヨウナタネは確認できなかった。
千葉中央港では、今年もGM陽性を確認。
東京港大井埠頭では、ナタネはオーストラリアからの輸入をしている。セイヨウナタネは確認なし。
横浜港磯子周辺では、エースベーカリー近くでLL陽性を確認。 |
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●台湾の調査
台湾の食料自給率はカロリーベースで32%と低い。認可GM作物は、トウモロコシ60品種、ワタ6、ナタネ2、大豆20品種、計88品種。
台湾では食用油は7割が大豆油。おもな製油会社は4社あり、1社のほかはいずれも内陸部に立地している。
日本のGMナタネ調査実績から、
・陸揚げ実績のある場所でほぼ必ず発生
・輸入トン数より長距離運搬で顕著 |
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今回の台湾調査区域
高雄市の穀物埠頭と製糖工場周辺
台南市隆田の製油工場
高雄市
穀物運搬車両は密閉型。路上に大豆やトウモロコシがこぼれ落ちている。RR耐性大豆を確認。
台南市
7kmほどを調査。やはり路上に大豆などがこぼれ落ちている。道路わきには大豆が自生し、枝豆ができている。開花している花の色が紫と白を確認(ラウンドアップ耐性大豆は白)。
PCR検査の結果は15検体中、14がRR耐性大豆だった。
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自生の様子が日本の場合とちがう。台湾では大豆は鉄道コンテナ輸送が主だが、内陸部への輸送はトラックに移行していると思われる。高雄からは90km離れた大統益までを陸送している。
日本の例から、長距離輸送の場合、自生の状況把握が難しく、管理対策も難しいため、楽観できない。日本の例をふまえ、台湾にも、国境を越えた働きかけが必要なのではないか。
台湾のGM食品の新表示制度
台湾では非GMを『非基因改造』と表現している。
2015年7月より
ばら売りにも表示が必要
混入率が5から3%に厳格化
高度加工品も表示の対象に(大豆油、醤油、コーンシロップなど)
日本でもこのような制度は可能なのではないか。
GM作物の輸入では
GM、非GMを分けるコード表示がなされる。日本の市民運動も負けていられない。 |