身近に迫る遺伝子汚染
  〜GMナタネから雑草へ!! 長期自生の影響〜 Part1
その1開会/あいさつ/基調講演
その2全国自生調査報告
その3パネルディスカッション

主催:
食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
場所:
名古屋市教育館
愛知県名古屋市中区錦3丁目16-6

この活動は地球環境基金の助成を得て行われています

<プログラム>

開会・あいさつ
司会:原野好正
あいさつ:天笠啓祐
 詳しくは動画でどうぞ
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1996年にGM食品(作物)が日本に輸入されるようになって、ことしで20年が経過している。

今や、GM食品に対する反対運動は世界的なものとなっており、その様式は多様です。米国や日本では市民的な運動が主体だが、欧州では環境保護団体や市町村に相当する自治体などが主体的に動いている。また、第三世界では農民、主婦層などが主体となっている。

GM作物は世界の経済にも大きな意味を持っており、現在、日本ではTPPが、欧州ではTTIPが問題になっている。

日本で行われているGMナタネの自生調査は、世界的にもユニークなもの。全国的な調査は2005年にはじめられているが、以来、学術的にも新しい発見が次々なされている。

国際的な連帯として、今年5月、ベルリンでGMOフリーゾーンの欧州会議が行われ、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンも参加してきた。11カ国400人の参加があり、世界的な規模といえる。
今回の会議の期間中、カナダとオーストラリアの市民団体と交流することができた。いずれもセイヨウナタネの生産国。日本でのGMナタネ自生調査の結果、近年、バスタ耐性の割合が増えてきており、ラウンドアップ耐性が減ってきているという事実を投げかけたところ、彼らはその情報すら知りえていないことを知った。国際的なつながりは、情報の共有、今後の運動の方向性のためにも非常に意義があると確信した。
この報告会では、現時点でのGMナタネ自生調査がどういう状況なのかを知り、その方向性を探る機会となることを願う。

基調講演:「GMナタネから雑草へ!! 拡がり始めたGM交雑」
河田昌東(遺伝子組換え食品を考える中部の会/食農市民ネット)

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基調講演の要約(詳しくは講演ビデオをごらんください YouTube)
中部の会の調査について
日本国内でもGM作物による汚染が起こっているのではないかという懸念をしていた矢先、2004年、農水省からナタネ輸入港である茨城県鹿島港で、GMナタネの自生が確認されたという発表があった。それを受けて中部の会でも四日市港の調査を開始した。

国道23号線の調査について
特に今年はナタネの自生が旺盛だ。
最近の全国調査では、輸入港ばかりでなく、内陸部の飼料、産廃業が関連したと思われる汚染が見受けられるようになってきている。
例として、新潟県上越市、愛知県豊川市、山口県周南市、熊本県玉名市など。
食用として輸入されたナタネで、潮濡れなどで使えなくなったものを、産廃として引取り、切削油などに処理している。愛知県豊川市の例がある。

1957年当時はまだ、26万ヘクタールほどのナタネ作付けがあったが、その後、ナタネの輸入自由化で激減してしまった。

GMナタネの自生
トラックによる輸送途中のこぼれ落ちによるもので、食品(製油)や家畜飼料、産廃などの目的によるものが確認されている。愛知・三重県の国道23号線では、汚染は100kmに及んでいる。

抜取隊では4人一組で、視認性の高い安全ベストを着用して、中央分離帯の抜取りもしている。
GMナタネ調査の結果、わかったこと
*国内で多年草化している
*世代交代が行われている
*多重耐性(ラウンドアップ、バスタ両方に)のナタネが確認される
*アブラナ科作物、雑草との交配が確認される
*隠れGMナタネが確認される

次々に新たな問題が出てきている(雑種の出現)
GMナタネ調査の結果、わかったこと
*国内で多年草化している
*世代交代が行われている
*多重耐性(ラウンドアップ、バスタ両方に)のナタネが確認される
*アブラナ科作物、雑草との交雑が確認される
*隠れGMナタネが確認される

アブラナ科は本来一年草だが、年輪から判断して、3年生など多年草化するものもある。
ブロッコリー、カラシナなどとの交雑とみられるナタネが見つかる。野生の雑草(イヌカキネガラシ?)との雑種が見受けられるようになってきた。ほとんどが不稔の鞘(さや)を付けるが、稀に種子の入ったものも混じる。
イヌカキネガラシ
セイヨウナタネ
雑種?
ナタネの仲間とはいえ、それぞれ、形状はあきらかにちがう。しかしながら、アブラナ科は種がちがっても、種間交雑が可能。

韓国農業の父と呼ばれる禹長春(ウ・ジャンチュン 1898-1959)が、アブラナ科の種間交雑の可能性をUのトライアングルという図式で証明した。

環境省では、セイヨウナタネはカラシナ、ハマダイコンとの交配が確認されている。イヌカキネガラシとの交配はまだ確認されていない。
隠れGMについて
突然変異により、GM遺伝子のプロモーターが壊れ、GMタンパク質を作れない
GMタンパク質の抗体との結合部位が突然変異
GM遺伝子の修飾(メチル化)で不活性化
GMタンパク質のユビキチン化で不活性化

国内農業、環境への影響として
国内ナタネ科植物の遺伝子汚染
生物多様性保護への脅威
生物進化への干渉
2010年、名古屋でのMOP5で、特にGM生物による被害への責任と修復について問題となった。ちょうどCop10の期間中に、三重県でナタネの県内自家採取断念を発表。この例は、まさに【責任と修復】にあたる。

責任の所在は、製油業者ばかりではない。GMナタネを認可した国、開発企業、港湾管理者、道路管理者など、多方面にわたる。日本政府はあくまでも『結果主義』だが、EUでは『予防原則』に基いている。

昨年 Mop7 の行われた韓国では、GMトウモロコシが問題となっているようだ。