愛知経済連会見
02/08/22

遺伝子組み換え食品を考える中部の会では8/22、名古屋市中区の愛知共済農業協同組合連合会への会見をしました。経済連側からは、見解は控えたいが、会見だけなら、という条件での承諾があり、今回のはこびとなりました。


出席:
野村和久 農産資材部 部長
安形昭彦 農産資材部 課長
村上喜久子、高橋智津子 中部よつ葉会
小川洋治  あいち生協
河田昌東  名古屋大学
伊澤眞一  名古屋生活クラブ
鈴木農生雄 音羽米研究会
石川豊久  道 長

会見内容: ■は当方側、●は経済連側

試験場での研究は必要なのか。我々消費者のGMはいらないという姿勢ははっきりしたものとなっている。経済連としては、消費者と一緒になって考えてゆかなくてはいけないのではないか。
現段階では導入することは考えておらず、研究が終わった段階で決める。ただ、経済連としては、消費者に買ってもらえるものしか作らない。
今後消費者レベルでの、もっとはっきりとした意思表示があれば、(経済連としての)方向性もおのずと決まってくる。

試験場から研究について、説明を受けていますか
試験場での状況については、あまり感知していない。

国内での開発も問題だが、すでに米国では『LLライス』の開発が済んでおり、FDA(米国食品医薬品局)からも認可が降りている。日本での開発が一歩遅れているという点で、開発にもプレッシャーがかかっているということができる。
日本での認可を止めれば、米国からのGM米も止められる。だから、国内でも開発しない、という姿勢をとるべきではないか。
経済連としては、消費者が望むものを作るのが大前提である。全国で170万haの水田があるが、愛知県で行っている不耕起乾田直播方式は500haであり、依然として日本では水田移植方式が主流となっている。その方法で十分稲作は可能でもあり、不耕起乾田直播がすべてではない

祭り晴は学校給食でも使われており、それがGM化されるのではないか(されているのではないか)という危惧さえされているのが現状だ。その意味でも、愛知県農試での研究は全国的にも注目されている。
経済連がGM祭り晴の種子を扱わなければ、生産者は生産することができない。生産に際しての補助金の関係で、経済連からの種子でなければ生産者は利益をあげることができないため。
仮に商品化されたとして、GM原種を県農試で作って、それを一般の農家などでの採種場で種を生産し、種子として供給されるようになるには、まだかなりの期間が必要である。また、それを経済連で導入するか否かについては、その時点で食味検査とかいろいろな検討がなされなければならない。
ここまで研究を進めてきて、今更後に引けないという状況があると思う。

食品としての安全性に係わる研究のための予算がとれれば、さらに進めたいというような意志もあるのではないか。
(県からは)商品化が目的ではなく、研究が目的であると聞いている。

国内で生産はされなくても、食品としての認可が下りたとすれば、米国で低コストで作られたGM米が日本に流入することは十分考えられる。生産者が作らない、消費者が買わないといっても、バイテク会社にとっては、短期間であろうがとにかく売れるだけ売って、儲かればあとはどうでもかまわないというようなことにもなりかねない。その点については十分に納得しておいてほしい。
7月の全国集会では大きな反響があり、研究に対する反対署名も32万以上寄せられた。全国的には大いに関心が寄せられている。
世間の消費者の動向というのは、BSEからもわかるが、風評で動いてしまう。そういう部分で経済が動いている。GMイネに対して、経済連として明確な意思表示も必要なのではないか。
愛知県農試の研究に、ひょっとしたら農水省も関与しているのかもしれないが、今のところ言えることは、消費者の好まないものは扱わない、ということだ。

農産物の輸入において、今後規制緩和も進んでゆくだろうし、国内の農業も企業農業への移行も考えられる。そういった段階では、GM化も現実的なものになりかねない。日本の米をどうしてゆくのかをよく認識しておかなければいけない。
米作りは、マーケットで評価されなければ売れるものではない。最近では、農協任せというような旧食管法的な考えの農家は減ってきている。経済連としては、消費者に安心して消費してもらえるものを提供してゆくのが役割だ。

国際的、政治的なプレッシャーなどもあり、米のGM化が止められないというような状況もありうる。その点についても、経済連としての姿勢を明確なものにしていってほしい。

会見の要約:
 愛知県農試でのGMイネの研究開発に対し、経済連の姿勢としては、
@ 消費者に買ってもらえるものしか作らない。
A 県からは実験だけで商品化は考えていないと聞いている。
という回答を得た。遺伝子組み換え食品を考える中部の会にとって、経済連よりこの見解を引き出すことができたという点では、今回の会見については意義があったということができる。ただ、私たちが県から聞いている「商品化はまだ分からない」という点と矛盾があり、疑問が残る。

 また、米市場のGM化については、経済連の姿勢いかんで止められるという考えには若干無理もあるのではないか。国内で生産はしなくとも、米国からの輸入ということも可能であり、またそれには国際的、政治的なプレッシャーもありうるということも認識しておかなくてはいけない。

 愛知経済連へは、今回が始めての会見ではあったが、その姿勢については案外明確に把握できたという点で、大きな成果もあったとかんがえられる。

 なお、遺伝子組み換え食品を考える中部の会からの質問状もこの際提出されましたが、今回は文書による回答は控えさせていただきたいということで、質問状に対する回答はなされませんでした。