ザンビアのGM忌避は英国医師会の報告に基づく
アンディ・コックラン
ニュー・サイエンティスト
2003年1月29日
訳 山田勝巳
今週ヨーロッパを訪れているザンビアの研究者によると、遺伝子組み換え食品の安全性懸念は主に英国医師会の発言によって食糧援助を断る決定を下したと述べた。 飢餓は現在も240万人のザンビア国民を危険に曝している。
この発言は、USとEUがGMで貿易戦争がおこりそうなだけに重要である。 ザンビアが世界食料計画によるアメリカからの援助品であるトウモロコシにGM混入があったため拒否した件で、アメリカは欧州各国や非政府組織が健康や環境リスクを誇大に吹聴してアフリカの見解を捻じ曲げたと非難している。
ニュー・サイエンティストは、ザンビアは主にBMA(英国医師会)のGM食品に対する否定的見解に影響されていると伝えられている。 この見解はブラッセルの農業サミットに参加しているザンビア大学の分子生物学者ルーク・ムンバによるものである。
1999年に書かれたBMAのGM食品の政策文書には、「GM作物生産やGM食品の摂取が人の健康や環境に対し深刻な影響があるかどうかは今のところ定かではない。 害があっても元に戻すことは難しいだろう。」と述べている。 特に、BMAはGM作物の「マーカー」である抗生物質耐性遺伝子がバクテリアに広がって、抗生物質に抵抗力をもつことを最も恐れている。 また、アレルギーを起こすGM食品もあるようだとも述べている。 どちらもまだ確証がない。
ムンバによると、ザンビア政府は決定の前に著名な学者にアメリカのトウモロコシを受け入れることの是非を尋ねたという。 世界150の団体や研究者に諮問したものの、もっとも強い影響を受けたのはBMAの見解だという。
「ザンビアでは、BMAの見解を取るのが通例になっている。 BMAは、GM食品に全く信頼を置いていないと聞いている。」 ザンビアは、歴史的に英国と繋がっており、BMAは権威ある団体と受け止めているとムンバは言う。 サミットに参加している他のアフリカ諸国は、BMAが「GMに賛成を表明しているアメリカ医師会、英国王立協会、第3世界科学アカデミー、FAOと見解が違っている」ので、ザンビアに考え直すように求めている。
BMAの学者活動家ビビエンヌ・ナサンソンは、医師会はGM作物に害があるとは言っていないという。 「GMを使うなと言うことは我々の方針ではない。 ザンビアがどうして受け入れないのか分からないが、彼等が決めることだ、」という。 BMAは、GM食品に対する方針を見直すかどうか話し合う予定だという。