有機食品のGM汚染
多くのいわゆるオーガニック食品は遺伝子組換え大豆を含んでいる
Nature news service
04年2月6日
ジム・ギルス
訳 河田昌東
4月1日に発行予定の学術雑誌の研究によれば、英国で市販されているオーガニック食品は広範に遺伝子組換え成分を含んでいる。この実態暴露は土壌協会のような食品の有機・GMフリー認証を行う団体に対し、取り扱う製品を早急に調査するよう求めている。
遺伝子組換え大豆はウエールズのポンテイプリッドにあるグラモルガン大学のバイテク研究者、マーク・パトリッジとデニス・マーフィーによって検査された25の有機食品と健康食品のうち10検体に見つかった。10個のうち8個は土壌協会の規則に拠れば遺伝子組換え成分を含まない「有機」表示があるか又は「GMフリー」明示しているものだった。
この研究はアイルランドと英国の食品基準庁が以前行った試験を再確認するものだが、広範な食料品が恐らく微量のGM成分を含むことを示唆している。 大豆は有機であれ非有機であれ非常にポピュラーな食品成分である。一般のスーパーで売られている加工食品、例えば植物性ソーセージや大豆ミンチなど60%以上のものには大豆抽出物が含まれている。大豆粉や未加工大豆も有機食品や健康食品店でポピュラ―である。さらに、有機の肉は有機作物試料で飼育した家畜のものでなければならないが、多くの農家は有機大豆ミールを飼料に使っている。
壊された信頼
この結果は有機食品の信頼を損なうものである。土壌協会は英連邦で「有機」表示をつける権限をもつ16の団体が利用している最も徹底的な試験を行っているが、製品中の全ての成分を追跡し、GMフリーと宣言している農家に確認することが出来るといっている。これらの団体はGM物質の上限を0.1%に設定しており、これ以下では混入の測定を行うのは不可能である。しかし、マーフィーの論文は土壌協会が表示した中の少なくとも1製品には―――有機大豆粉だったが――組換え大豆の許容濃度0.1%より僅かに多い混入があったことを明らかにしている。ベジタリアン向けソーセージのようなその他の製品は0.7%までの含量があった。 「この調査は我々がさらに何かをやらなければならないことを示している」と土壌協会のスポークスマンは言った。マーフィーは、将来有機食品産業は彼らの製品をGMフリーにするのにもっと困難になるだろう、と言った。
世界の二大生産国であるアメリカとアルゼンチンからくる殆どすべての大豆は遺伝子組換えである。世界で三番目に大きな大豆生産国ブラジルは、昨年9月にGM大豆を合法化した。多くの国でGMフリー作物はしばしば収穫後に遺伝子組換え品種と混合する。非GM大豆として売られている大豆でも1〜2%の組換え体を含む。「何年か経てば問題は10倍も悪化するだろう」とマーフィーは言う。しかし、土壌協会の政策部長ピーター・メルチェットはマーフィーが問題を大げさに言っていると考えている。「北アメリカにおけるGM汚染のレベルは食品産業界を驚かせるが、アメリカには非GM大豆を栽培している畑がまだ何百万エーカーもある」と彼は言う。
文献:
Partridge, M. & Murphy, D. J. British Food Journal, 106, in press,
(2004).