若人の犯罪にジャンクフードの消費が関連
研究結果は反社会的行動と食事の関連を示唆
ジェームズ・マイケル
02年6月26日
ガーディアン
訳 山田勝巳
内務省が後援する調査で、若い犯罪者の食事にビタミン、ミネラル、脂肪酸を加えたところ、反社会的行動が劇的に減ったと見られることが分かった。この結果、更に栄養の犯罪に対する影響調査を求める声が挙がった。
重警備刑務所で18−21歳の囚人に特殊なサプリメントを与えたところ、ダミーのピルを与えられたグループに比べて規律違反が1/4も減ったという実験結果が出た。 内務省と刑務サービスによって行われた調査の報告作成者によると、暴力を含む深刻な規律違反が37%も減ったという。 この結果は英国精神医学ジャーナルにもうすぐ発表される予定。
バーミンガムの元司教でナチュラル・ジャスティスの議長を務め、バーミンガムシャー・アイルスベリー少年院で行った今回の調査を後援したヒュー・モンティフィオーレは、ファーストフードの消費の増加と若年犯罪の増加には、直接ではないにしても、相関があると話している。
「ファーストフードの消費はどんどん増えている。調理済みの料理がスーパーにずらりと並ぶ。学校給食が好みの問題になってきており、栄養のないものの方が好まれ、まともな材料を使った料理は減るばかり。 誰も正しい栄養を欠くことが反社会的行動の唯一の原因だとはいっていないが、これまで分からなかった原因の大きな要因であることを示す証拠ではある。」
ギルドフォードのサレィ大学に在校中に調査を指揮したバーナード・ゲッシュは、「サプリメントは受刑者が食べるまともな食事の中にもあるミネラル、ビタミン、脂肪酸であるにもかかわらず、行動改善は非常に大きい。」と話す。だが、その効果は長続きしなかった。 実験が終わって間もなくスタッフが報告したところによると彼等への暴力が40%増えたという。 ゲッシュ氏は、現在オックスフォード大学で生理学を研究する傍ら犯罪行為の原因を調査するナチュラル・ジャスティスの代表もしている。 彼のチームは、栄養素は感情に影響のあるセロトニンやドーパミンなど脳の信号伝達物質を作る生化学プロセスに不可欠のものだと指摘する。
受刑者に微量栄養素を含む食事を与えるには刑務所予算約20億ポンドに更に350万ポンド/年余計にかかる。 「この方法は再試験してみなければならないが、今のところ安くて効果が高く、人道的な方法だ。」とゲッシュ氏は語る。 この結果は、思春期の子供にも良いことを示しているとも言う。 元刑務所警部ディビッド・ラムズボトハム卿は、内務省がこの調査の示唆するところをしっかり検討する必要があると話す。
ノッティンガム・サウス選出の労働党議員アラン・シンプソンは、学校や病院でも同様の調査を実施すべきだと要請して、「我々は未然に防げる時限爆弾を座視しているかも知れない。子供達を叩きのめすのではなく、きちんと食べさせることで、もっとましな子育て法を発見できるかも知れないのだ。」と述べた。
政府は国民の食習慣を過保護(福祉過剰)国家のようにならないで変える方法を模索している。健康的食べ方のメッセージは、良く理解されているようだが、実際に行動が変わるのはまだまだだ。