飢える大衆の求めるもの
バイテク討論への投稿
(biotechdebate@iatp.org)
2001年11月17日
グレン・アシュトン
訳 山田勝巳
GEとバイオテクノロジーの問題が混乱している。 私や他の多くの人は、GE(遺伝子操作)とバイオテクノロジー(生物工学)は同義で用いられるべきではないと言い続けてきた。 GEは、バイオテクノロジーの狭い一部である。 カソリックに関する限り、バチカンのGE反対は極めてはっきりしており、食糧安保を向上するバイテク等の方法は支持している。
組み換えサツマイモは、食糧安保を推進する道具かも知れないが、私が挙げた検査やリスク評価、環境アセスメントが一切取り上げられていない。 検査や分析もされないものが環境中に持ち込まれるのは、賢いことや慎重な事だろうか。 アフリカが飢えているからと言って性急にこの技術を導入すべきではない。 更にアフリカの地域サービスや国の監視サービスは、無いかあっても貧弱でしかない。 南アフリカでさえも農業省がこの方面の監視は問題だと認めている。 アフリカでは非常に対応力のある南アでさえそうなのだから、他の国は、推して知るべしだろう。
勿論、ジンバブエがそうだったように、アフリカではバイテクは重要だったし、これからもそうだろう。 しかし、ジンバブエの実験では、GMOを特定して除いており、適用できるローテク・バイオに集中している。 やかましく言われているエイズワクチン食品は、既に実在し、既成事実であるかのように宣伝されているが、これは工業のSFでしかない。 誰も全ての研究を止めろとは言っていないが、未開発の技術を存在するかのごとく提示してはいけない。
自分の目的のために誇張した悪口雑言を使うことにかけては、性急な導入に反対する者よりも、GEの推進者の方が遥かに長けている。 この高投入・ハイテクをむやみに強調すると(
ポトリカスのゴールデンライスを思い起こしていただきたい。彼がそれを国連などの上層部へ持ち込んだ後、ゴールデンライスにモンサントの特許が与えられた。 ビタミンAを食事にもたらす方法としては、完璧なものとはほど遠いのに、産業界と推進者にたっぷり吸い取られてきたモンサントは、PRによる大成功をかぎ取った。)、アフリカや他の途上国が収量を上げられる多くの有益でリスクの少ない方法よりも、試されも実証もされていないリスクの高いGEのようなものに気を奪われ騙されることになる。
先ず最も危険性の高い技術を利用すべきだと言い続ける産業側、GE推進側の姿勢に、私は芯から嫌気がさしている。 そんなものは一番最後にすべきだろう。 アフリカの農民が自給できるようにする金の掛からない方法がいくらでもある。 なのに釣りをする方法を教えるという古くからの教えをGE推進者が悪用している。 勿論魚を与えるのではなく釣る方法を教える必要がある。 産業側は、教えれば自分の鎖から独立するような方法を教えるはずがない。 つまり、利益を求める産業側には、釣り方を教える気持ちは更々なくて、魚と釣り道具を永遠に売り続けたいのだ。 農民が真に、本当に、自立、自給を教われば、アフリカに「開発」の必要なんか全くない。 外国の投資家を引きつける魅力はない、そしてアフリカは永遠に静寂の中に生きるだろう。
これは実に難題だ。アフリカとの対応をする場合は、回りを見る必要がある。 世界の他の地域とは違って、飲み込まれないで21世紀の資本主義に跳躍する手段を持っていない。 そして現在の作物を促進し続けるとしたら、GEはその危険性を高めることはあっても減ることはない。 アフリカに解決策が必要なことは事実で、サツマイモがそれかも知れないが試験はしなければならない。 改善しようと思って破壊したらどうなるか、強化されたウィルスが突然変異を起こして、ウィルス抵抗性のサツマイモを駄目にするばかり
良識を持ってしてもある程度のリスクは取らざるを得ないだろう。 しかし、世界にこれ程恵みをもたらす多様性を訳もなく簡単に破壊しうるものをアフリカの救世主のごとくに推進しようとする業界関係者や科学者は無責任だ。