中国はGM革命を先駆する

米国に次ぎ、中国では政府財源が作物バイオテクノロジーにも引き当てられる

 

ネイチャー・ニュース・サービス

02/1/25

トム・クラーク

訳 石川豊久(道長)

 

 中国は、増加しつつある人口をGM作物でまかなうことを望んでいる。西洋が遺伝子組み換え作物のリスクと利益に関して動揺を見せる中、中国はその技術には積極的である。

 

 最近の調査によれば、中国は北米以外のどこよりも多くの植物バイオテクノロジー生産物に取り組んでいる。中国の研究学会は141のGM作物を開発し、内65が環境へ放つことを承認されたと明言している。

 

 カリフォルニア大学の農業経済学者であるスコット・ロゼ−ル・ディヴィスは調査をおこなった。中国の遺伝子組み換えにおける成功は、このような作物から多大な利益を得られてしかるべき発展途上国が、西洋で得られた技術を享受することができないという利害関係に対する挑戦である。

 

 「英国ロング・アシュトンのInstitute of Arable Crops Research(適地作物研究所)の植物遺伝学者ナイジェル・ハルフォードは「発展途上国がバイオテクノロジーの恩恵を受けることはない。そのかわりに彼らは自身のための決定をしようとしているのだと強調したい」と語る。

 

発展途上国として、中国はGM技術に大きな投資をしている:

 世界の発展途上国のリーダーのうち、インドとブラジルの1500万ドルと比較して、中国は1999年には1億1200万ドルを費やしている(それと対照的に、米国は20〜30億ドルを費やしている)。中国のGM研究計画はすべて政府資金によるものである。

 

 組み換え食品は、現在おこなわれている食糧生産というものが、増加するその国の将来における人口の飢餓を満たすことのできるものとはいえない、という懸念からもたらされている。西洋において、GM作物が農家の支持を獲得している理由は、単に利益向上という点である。それに対して、中国の研究者は耐病性とか耐干ばつ性の米、麦、芋などというようなより優れた食用作物を作出することに焦点を合わせているようである。

 

ロゼ−ルは語る:

 「研究者というのは、技術への経済的なリターンを得るための大きな動機付けを持っているというものではありません。」もし中国のGM作物が食糧不足を満たすのであれば、その他のGM新作物が結局は輸出されるはずであるとロゼ−ルは推測する。中国がGM作物の技術を他の発展途上国に供給する世界のリーダーになるであろうことはもっともである。「中国と南・南西アジアの国々との間での売買がすでにあるのです。」と彼は語る。

 

食品としての安全性:

 「遺伝子組み換えに潜在的利益があったとしても、その環境と食品安全性は重大な問題です。中国はGM作物を環境に放つにあたって、その試験には厳格な規制を持っているけれども、食品安全性についてはさほどではありません」とロゼ−ルは認める。「わたしの見解では、ほとんどの中国人はこの分野では米国を手本として目指しています」と。

 

 中国でのより自由な規制は図表で明らかにできましょう。中国の作物バイオテクノロジーの研究は、米国のそれと比較して初歩的なものであるが、すでに環境安全性の認証を受けた65の作物を得ている。ちなみに米国で承認されているのは50未満である。

 

GM技術が米国よりも上回ろうという課題を克服するためのローコストな解決法もあるのである(ワシントン、『憂慮する科学者連合』ジェーン・リスラー)

 

 そして、発展途上国での農業バイオテクノロジーへの投資が、その研究によって得られた重要な成果を他の農業経営にもたらすということで、結局はよい結果を得られるものだと、GMの懐疑論者は主張する。

 

 「バイオテクノロジーは長期的な問題に対する、別の角度からの短期的な解決となるのも仕方のないことである」とワシントンDCの『憂慮する科学者連合』のジェーン・リスラーは語る。さらにGMテクノロジーが、克服しようとしている問題に対する他のローコストな解決策もあることを、リスラーは指摘する。チャイナ2のさらなる調査によれば、例えば、病気に対抗するために違った品種のイネ同士を植えることもまた、有益な方法であろう。

参考文献:

・『中国の作物バイオテクノロジー』:Huang, J., Rozelle, S., Pray, C. & Wang, Q.共著

・サイエンス誌:295, 674 - 677, (2002)

・『イネにおける遺伝子の多様性と病気の抑制』:Zhu, Y.他

    ネイチャー誌:406, 718 - 722, (2000)

 

 

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