止まらないGM瓦解

ISISニュース、

2003年1月17日配信

メイワン・ホー

訳 山田勝巳

 

 追い詰められたバイテク企業は、英国政府の膨大な緊急財政支援にもかかわらず学術研究を放り出している。 もう公的資金を財政的にも知的にも万策尽きたバイテク部門への投入を止めるべきだ。 メイワン・ホーが問題提起。

 

 

 昨年の夏バイテクの死を予言したが(さよならGMOs)、以来壊滅的崩壊に突入している。シンジェンタは、一連の基礎研究から手を引き、モンサントは社長と理事たちを追い出している。

 

12月4日には、スイスに本拠のあるシンジェンタがトレィ・メサ・研究所(TMRI)を1月一杯で閉鎖する予定であることを発表した。 TMRIは設立以来僅か4年で、米のゲノム解析をし、最初のアラビドプシス(訳注:シロイヌナズナ)と米の遺伝子チップを開発したところだ。

ここの閉鎖はシンジェンタと極限環境での微生物を分離する事業をやってきたサンディエゴに本拠のあるダイバーサを合併リストラする一部として行われた。 TMRIの180名のうち76名がダイバーサへ移り、30名がノースキャロライナのシンジェンタ・バイオテクノロジー社(SBI)に転勤になる。

 

ダイバーサへ研究開発副社長として赴任するTMRIのスティーブン・ブリッグスは、この動きを「素晴らしいチャンスだ」と言い、スイス・バ―ゼルのシンジェンタ植物科学のディビッド・ジョーンズは、TMRIの研究が「成熟期」に入ったことを示すという。

 しかし、多くは業界全体の研究費削減の動きの一部と見ており、カリフォルニア、スタンフォードの植物生物学者クリス・サマービルは「大きな後退だ」という。再編は、長い間噂されてきたが、閉鎖までは誰も予測していなかった。 ある上級研究者は、「全く驚いた」と告白している。 TMRIは、1990年代のカリフォルニア、テクノロジーブームの時に設立されている。 ノバルティス研究基金は1998年にブリッグスをノバルティス農業発見研究所(NADI)の所長として採用している。 2000年にノバルティスは農業部門を分離してシンジェンタを作り、そこにNADIを買収合併してTMRIにした。

 

TMRIは、米ゲノム配列の解析のほかに100,000種類の突然変異種を作り商業化には制限付で外部に供給してきた。 またアフィメトリックスと共同で米ゲノム約半分が入った遺伝子チップを開発し、これが未だに穀類では唯一の遺伝子チップであるとカリフォルニア大学、バークレイ校の植物性理学ラッセル・ジョーンズは言う。今回の閉鎖で、来年はじめに予定されていた全ゲノムの供給が遅れるかもしれない。

 

ブリッグスは、このTMRI閉鎖という「重苦しい体験」は、農業経済によるものだという。「ここ5年間縮小してきており、回復の兆しは見られない。従って研究費の大幅削減の危険性があり、収益確保に重点がおかれ研究が犠牲になる。」と言う。 シンジェンタの困難は他のセンターにも影響するだろう。 情報筋によると、物議の多いシンジェンタとUCバークレイの共同研究は、2,500万ドルの契約が切れる2003年には更新されないだろうという。

 

 今回の後退は、シンジェンタがまだ数年残している英国ジョン・インズ・センター(JIC)との共同研究中止の発表から1ヶ月、そして、シンジェンタの研究室を持つ予定にしていた政府のゲノムセンター設置発表直後のことになる。

 

 12月18日には、ここ2年間の業績不振の責任を取って、26年間努めたモンサントの社長で最高経営責任者ヘンドリック・バーフェイユが辞職を発表した。 バーフェイユは、2000年に今年初めにファーマシアから分離で幕を綴じたファーマシアとアップジョンとの合併を成功させている。

 

 モンサントは、4月に700名の削減をして東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド、北米の施設で行ってきた事業を集合している。 現在14,600人ほどの社員がいる。 2002年の初めの9ヶ月で17.5億ドル赤字を記録しており、その一年前には3.99億ドルの黒字だった。 9ヶ月の売上は19%落ちて42.5億ドルから34.5億ドルになった。 

 10月には、ラウンドアップのアメリカとアルゼンチンの期待はずれの売上減少を理由に2002年の収益予測を下げている。

 

 八方手詰まりのバイテク企業は、政府からの大規模補助金にも関わらす科学研究を放り出そうとしている。 財政的にも知的にも行き詰まりを見せているバイテクへの公的資金投入はもう止めるべきだ。  

 

出展:

"Retreat from Torrey Mesa: a chill wind in ag research(テリー・メサからの退却:農業研究に吹く冷たい風)" グレッチェン・ボーゲル

・サイエンス20002, 298, 12月13日; "Monsanto President Verfaillie Resignモンサント社長バーフェイユ辞職" AP記者ジム・サルター

 

http://www.austin360.com/aas/business/ap/ap_story.html/Financial/AP.V9067.AP

-Monsanto-CEO-Re.html Norfolk Genetic Engineering Network www.ngin.org.uk

 

 

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