オンタリオ州政府が注目の特許裁判に参加を申し入れ
デニス・ベッカート、
カナディアン・プレス(オタワ発)
2003年10月7日(火)
訳 山田勝巳
オンタリオ州政府はバイテク大手のモンサントとサスカチェワンの農民パーシー・シュマイザーが遺伝子特許で争っている最高裁で参加を申し出ている。
シュマイザーと彼の支持者は農民の権利保護に関心がある一方で、オンタリオ政府は遺伝子特許がいかに保健費用に影響があるかに関心がある。オンタリオが最高裁へ提出した宣誓供述書にはシュマイザーの裁判は「オンタリオ州民への保健政策をどうするかに重大な影響がある」と述べている。
モンサントは数年前に自社の遺伝子特許を侵害して除草剤耐性のキャノーラを栽培していたとして数年前に訴えている。この裁判は国際的に注目され世界中から寄付が集まった。
オンタリオ州はアメリカ企業ミリアド・ジェネティックスが遺伝的に乳癌傾向があるかを調べるテストに使用料を払わないとして訴えられた経緯がある。ミリアドはガンの特殊な遺伝子に権利があると主張し、この検査はオンタリオが使っているものよりも3倍もの費用がかかる。「これは、あまたある遺伝子検査の最初のものだろう。これは保険の問題だ。」とオンタリオの司法長官室のサラ・ブレークはいう。
環境活動家や反グローバル化の団体に支持されているシュマイザーは、「遺伝子は自然の生命体であって人の発明したものではないので特許にはならない」と主張している。オンタリオ州は、遺伝分子は特許可能だが分子中の遺伝情報は該当しないという。オンタリオ州は以前連邦政府にこの問題に対する見解表明を求めたが、回答を得られなかったとカナダ国民評議会のナデジ・アダムはいう。 「オンタリオ州は遺伝子に特許は取れないという法的な明文化を求めたが、政府はこの件に関わるのを拒否した。今回オンタリオ州政府はこの問題を検討し法制化する機会と捉えている。」