ミシシッピの農民は種子採取の権利のために闘う

 

ロバート・シュバート(Cropchoice.com editor)

CropChoice.com News

2001 年4月l 9日

 

山田勝巳 訳

 

Scruggsはラウンドアップ耐性大豆やBt大豆、綿から種子を採取することを認めている。彼に関する限り、一度種子のためにお金を払ったらそれをどうしようとそれは彼の物だ。Scruggs 家は北アメリカで8代続いた農家である。「その間ずっと我々は種子を保存してきたんだ」とミシシッピで大豆や綿、大麦などを栽培してきた農民のミッチェル・Scruggsは云う。「それは我々の先祖代々伝わってきた神から与えられた権利だ。それは大企業が特許の悪用でアメリカの農家からこの権利を奪うようになった今まで、一度も犯されたことは無かったんだ。彼らがこんなことをするのは、彼らが世界の全ての食糧と繊維製品を支配するためだ。そのために彼らは種子を支配するんだ」

彼はモンサントに訴えられている数百人の農民の一人だ。セントルイスに本拠を置くバイオテクノロジーの巨大企業は、彼らが遺伝子組み換えの種子を採取し、それを植えて特許を侵害した、として訴えている。

この裁判で訴えられている農民の大半は、自分たちが種子を採取したのではなく、広範な汚染によって自分たちの作物がモンサントの組み換え体の形質にポジテイブになってしまった、と主張している。

Scruggsは在来種の遺伝子汚染が広がって重大な問題を起こしていることは認めながらも、農民の種子を採る権利を守ることに焦点を当てている。

最後に、彼は農民のSOSとして良く知られている団体、Farmers Save Our Seedを設立した。彼によればこれまでに数百人の生産者が団体のフリーダイヤル(1-877-727-6207)に電話してきた。

 

抵抗力を操作する

遺伝子組み換えまたは遺伝子工学は、科学者が異なるものをつくるために、ある遺伝子を別の植物種に挿入するプロセスを言う。作出する植物と分類学状遠い種から遺伝子を導入するので、それは従来の育種とは違っている。

 モンサントとパイオニア・ハイブリッド・インターナショナルのようなバイオテクノロジー会社は、主な商業作物(大豆、綿、コーンと菜種)で  除草剤と昆虫に耐性を付けるためにその技術を使った。彼らは、この技術が収量を増やし、除草剤の使用を減らすことによって農家の収益性を向上すると言う。

 批評家は、その技術が上手くいっていないと言う。

モンサントは、除草剤ラウンドアップ(グリフォサート)に耐性を持つラウンドアップ・レディ作物を作りだした。これは、例えば、農民が耐性のある大豆を雑草の中に植え付けることができることを意味する。ラウンドアップは大豆以外の雑草を枯らす。モンサントには、タバコ芯食い虫、コーン・ボーラー、ボールワーム等の害虫を駆除するために細菌チューリンゲンシスの殺虫遺伝子を持つ何種類ものBtコーンと綿もある。

 モンサントは特許セクション101でこれらの遺伝組み換え種子を保護するために実用特許を得た(U.Sコードのタイトル35)。これは、農民が法的に種を保存して、植えることができないことを意味する。その代わりに、かなりの費用で毎年種子を再購入しなければならない。

 Scruggsは、ラウンドアップ・レディ大豆50ポンド袋に、24.50ドルを払う。それで、1エーカー分である。彼が昨年生産した大豆の13,000エーカーの、75パーセントは、ラウンドアップ・レディであった。これに対し、普通の品種で残りの25パーセントの面積をまくのには、エーカーにつき7.50ドルだった。

 モンサントは農民から不当な利益得ている。例えば、Scruggsがとれた大豆の種子を一袋保存して、それを近所の販売業者に売れば4ドルになる。それは、綿も同じだ。彼は、昨シーズン、綿を4,700エーカー植えた(そのうち半分は、遺伝子組み換え作物であった。)種子は、エーカー当たり40ドルだった。普通の種子は、エーカーにつき10ドルである。

モンサントと他のバイテク会社は、1970年の植物品種保護法(PVPA)ではなく、特許保護に頼っている。PVPAは大豆、コーンと小麦のような種子植物の作出者の権利を保護するけれども、種子を保存する農民の大昔からの慣行を認める例外を含む。

 Scruggsに対する訴訟は、植物品種保護法と実用特許の関係を問うものだと、Waideの弁護士Sosamma  Samuel-Burnettは話す。弁護士事務所は、モンサントのScruggsと他の農民に対する特許の違反訴訟を弁護している。これらの生産者は、モンサントに対して特許誤用と独占禁止法違反を主張して反訴を起こした。

 「実用特許が種子の第1世代関して特許の保有者を保護するとしても」、と、サミュエル-バーネットが説明する、「同じ特許がその種子の子孫に及ぶかどうかは非常に疑問だ。」

有性生殖植物の特許が正当かどうか以外に、Scruggsの弁護士は、モンサントが、その組み換えの種子を半分の値段で外国の市場(例えばアルゼンチン)に売ることは独占禁止法を犯していると論ずる。モンサントは、これらの国の農民が種子を保存するのを許して、技術合意を求めていない。

 種子を保存させないための禁止命令申請のモンサントによる告訴に続く2000年の審理で、Scruggsはモンサントがより安いコストでアルゼンチンで直接ラウンドアップ・レディ大豆と綿の種子を売っていると宣誓して証言した。

 モンサントは、Scruggsに要求金額を出さなかったと、サミュエル-バーネットは主張する。過去のケースには、モンサントがロイヤリティ料金の120倍を請求したものもある。

明らかに、Scruggsが種子を保存するのを止める努力は、法廷を越えた問題である。

「俺を見せしめにしようとしている。」モンサントは彼の家の向かいに監視カメラを設置し、彼の動きを監視するためにヘリコプターと飛行機を使っているという。何度電話してもこれに対するモンサント側の話は聞けない  

 

種子保存の短い歴史とバイテクの出現

 コロラドで小麦とアルファルファを作っている農民デイビッド・Dechantは、アメリカ農業における種子保存を調査した。農務省ができる前は、特許庁が自由に種苗を農民に配布したいたことが分かった。

 1855年の特許庁「農業についてのレポート」は、これについて書いている:

「どんな利益でも特定の国や王国の特権や繁栄のために独占的に所有する時代は終わった;そして、自由で国際的な通商と交換の原則は、諸国の幸福に対する最も確かな基盤である。」

Dechantは、当時と今の違いに愕然とする。

「変われば変わるものだ」「種子の特許権をとることはかつて聞いたことも想像もできなかったが、今では、国家や王国が独占できるように、海外のそれも土着の民族が大昔から使ってきた種や苗木に特許を与えるようになった。多国籍企業は事実上の王国だ。さらに、知的所有権は、自由な国際交流に取って代わった。」

ジェネンテックの設立で、バイテクは1970年代半ばにその速い成長を開始した。その4年後に、アメリカ最高裁判所はジェネラル・エレクトリック社の油流出を浄化するために、油を消化するバクテリアに特許を与えた。1987年にUS特許商標事務所は人間以外の動物も特許できると発表、1年後に最初の癌にかかりやすい組み換えマウスに特許を与えた。  

 

特許から独占へ

 Scruggsは、モンサントの特許は農業を独占する道具になっているという。

「モンサントは、農民の敵だ。米国民もモンサントが食料を支配しようとしているのに気付いたら嫌うに決まっている。企業が、全ての食料を支配するのを望まないよ。」  モンサントは議会に36人のロビイストが居て、上院下院の民主・共和両党に何百万ドルもつぎ込んでいる。モンサントは種子業界を独占するために特許を乱用している。」と言う。1996年と1997年の生産者会議の時に、モンサントがその野望を披露したとき、農民が退場したのを覚えている。Scruggsは、非組み換え種子の入手が困難になってきていることがその証拠だという。業界がパイオニア・ハイブレッドの9594株大豆のような非組み換え種子を特許登録しても間に合わない。

 モンサントは,Stoneville,Delta  and  Pine Land , Ellis  Brothers  Sure  Growなどの大会社が売りに出す最良の綿品種にもBtを組み込んでしまった。Scruggsによると、DPL50株は、普通の綿では最良品種だが、組み換え品種のために使われなくなった。当然モンサントは、これらの会社から使用料を取っている。大豆も同様だ。モンサントは、デカルブ、ハーツ、アスグロウを所有し、かつ他の会社とも契約がある。

 メンフィスの種子会社を経営するBob  Young  もScruggsの見解に同意する。

「モンサントは種子業界を牛耳っている。技術がある。扱っているものの内95%がラウンドアップレディ大豆とコーンだ。   殆どがBtコーンだ。」と言う。

 

組み換えファン

 裁判を別にすれば、Scruggsはモンサントのラウンドアップ・レディ綿と大豆は気に入っている。南部の農民にとって頭痛の種である雑草シックルポッドの生える畑には使っている。彼の知る限りでは、ラウンドアップでしか処理できないが、いずれラウンドアップも効かなくなることは承知している。丁度以前使っていた成長阻害剤が効かなくなったように。

Scruggsは雑草を抑制するための薬品や管理技術を開発するために、公的機関による研究を望んでいる。「全て企業まかせではまずい。」雑草がない畑では、普通の品種の方が収量が多いから良いね。」という。

 モンサントの組み換え作物の収量減を経験しているのはScruggsだけではない。例えば、ノース・ダコタの大豆農家Rodney  Nelsonが居る。2月に

「収量が少ないから、ここら辺じゃGMOは嫌われているね。雑草に悩まされていないGMO大豆農家なんてまずいないね。」パイオニア・ハイブレッドのデータを示して普通の9071株大豆以上に収量が上がるのは、GM大豆にも普通大豆にもないとネルソンは言う。ネルソンは、モンサントが、どうして組み換え技術を増収技術だと言うのか理解できない。「農家が誰も高収量なんてのは信じないね。」

 ネブラスカ大学農業天然資源研究所の2年間の調査で、ラウンドアップ・レディ大豆は、近縁種より6%、高収量品種より11%収量が低いと出ている。平均すると3ブッシェル/エーカー低く、160エーカーだと480ブッシェル少なくなる。

 アーカンサス大学の1998年の調査では非組み換え大豆が最も成績が良かった。

収量が低いだけではない。1996年以来、組み換え作物が登場して商業的に広がり始めてから、除草剤の使用量が増えたと農業経済学者でコンサルタントのチャールズ・ベンブルックは言う。雑草がラウンドアップに抵抗力を持つにつれ、2,4−Dのような別の除草剤は必要になってきている。「ラウンドアップに耐性のある雑草には当然他の除草剤が使える。じゃ、費用が減る、除草剤が減るというのはどうなるのか。2,4-Dは0.4ポンド/エーカー使う。ラウンドアップ2種類混合を0.7ポンドずつで計2ポンド弱をエーカー当たり播く。」とベンブルックは言う。

 不耕起生産者などはラウンドアップを3回散布する。これに0.2から0.5ポンド/エーカーの除草剤を播種前に散布する。バイテクと化学企業連合は1999年に普通大豆に低濃度の除草剤13種類の組み合わせを強力に宣伝していた。(これら農薬の有効成分は平均0.1ポンド/エーカー。農務省大豆農薬使用データより)極低濃度で使用するチフェンスルフロン(thifensulfuron)  は、0.002ポンド・エーカーで使う。それを全米大豆面積の5%に散布している。

 1998年には平均1.4ポンド/エーカー散布(0.92ポンドがグリフォサート、0.5ポンドがその他の除草剤)している。加えて、ラウンドアップ・レディ大豆は普通大豆よりも約40wt%余計に有効成分が必要だ。これに対し、普通大豆は1998年には約1ポンド/エーカーの除草剤だった。

ベンブルクの結論は、ラウンドアップ・レディ大豆は非組み換え種より大量に除草剤が必要だという。ラウンドアップ・レディ技術は、利点もあるが持続性や減農薬ではない。  

ロドニー・ネルソンも同意見だ。彼が普通大豆に散布するraptorのような除草剤は、2-4オンス・エーカーだ。ラウンドアップ・レディ大豆を作った僅かな経験では、ラウンドアップは2クオート(64オンス)/エーカーだった。

「だから、モンサントは我々が農薬を少なく使っているなんて言い逃れできないね。」と言う。 

 値段の高いGMの種と除草剤の量が増えて農家の生産費は増えたとカナダ、オンタリオのゲルフ大学放牧専門家のE.Ann.Clarkは話す。問題は作物自体ではなく、生産方法だ。コーン、大豆、そしてコーンと毎年毎年作り、同じ除草剤を撒くと雑草に抵抗力を付けて下さいといっているようなものだ。穀物と畜産農家は、輪作の一貫として冬場の穀物を生産べきだ。これに除草剤を減らす、又は無くすことで生産費を減らし、利幅を拡げて純益が上がるようになる。「一種類の除草法に頼りすぎると、それに耐性ができてしまう。ラウンドアップも例外ではない。」とクラークは言う。

    

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