食べ物は安全か? バイオ医薬植物の危険性


カレン・チャーマン

農業・健康・環境ジャーナリスト

2003年2月13日

訳 山田勝巳

 

アメリカ国民は、世界で最も安全な食料を食べているといわれ続けている。 だが、最近曝露された医薬品や工業化学物質を生成する特殊な遺伝子組み換え作物は、安全と今後の食品供給に重大に疑問を投げかけている。バイオファーミング(バイオ医薬栽培) といわれる問題の栽培は、次世代のドル箱として年中破産状態の商業穀物栽培農家に取って喉から手が出るほど欲しい利益どころか富をもたらす救世主と大々的に宣伝されている。 全く今の破産と夢破れた農村風景には、200万ドルを1エーカーで叩き出せると言いふらされていることは、とてつもなく魅力的だ。

 

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この夢は、農家にとってもそれを食べる消費者にとっても悪夢になりそうだ。 バイオ医薬栽培は、アメリカ農業の屋台骨を崩したという言い伝えにさえなりかねない。何故か? 作物と農場はそれぞれ閉鎖されていないからだ。 開放された環境にある生物として、植物は繁殖し他の作物と混じる又は「汚染する」ようになっている。だから、政府が試験薬や化学物質を作る栽培植物を開放環境で試験栽培しても良いとバイテク企業に認めれば、我々としては、医薬品や産業用化学物質を食べるのだということを覚悟しなければならない。 パーデュー大学の農業生物工学教授ダーク・メイヤーが指摘するように「農業作物のひとつとして新たな遺伝物質が導入されれば、対象外の作物が僅かに汚染されるのは避けようが無い。 これは種子業界では常識だ。」

 

今ここで言っているのは、バイオ医薬植物の選ばれた作物コーンのことだ。 しかし、医薬企業は大豆、キャノーラ、米、大麦、トマト、ポテト、レタス、小麦、サトウキビでも実験しているヨーロッパの役人は、アメリカが医薬品を作る作物を栽培するなら安全性に懸念があるのでアメリカの輸出品を禁止するといっている

 

遅すぎる?

アメリカ農務省の記録では、1991年以来36州の開放環境で300以上の実験医薬圃場で栽培しているとなっており、最近3年間は、殆どが農業ベルト地帯だという。2002年11月にはプロディジーンが50万ブッシェルの食用大豆を医薬コーンで汚染したことで逮捕された。その2ヶ月前には、同じプロディジーンが医薬コーンで周辺の155エーカーを汚染したため焼却命令を出されている。

 

今のところ連邦規則では医薬作物汚染を許していないが、バイテク業界は、汚染は避けられないとしてこれを変えようとしている。  穀物取り扱い業界は、2000年のスターリンク事件で300品目以上に亘る商品回収で懲りて、現在では医薬穀物については、汚染を測定できる許容範囲を決めるべきだと要求している。

 

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"連邦管理局は、国民がまだあまり注目していない医薬作物をどう扱うか頭を抱えている。"

この混入を認めさせようとしているのは穀物業界だけではない。バイテク研究者と指導的農業大学もそうで、更にワシントンポスト誌によると消費者グループである公益科学センターも、初期の安全性試験を行うのであれば微量の医薬作物混入を認めるべきだといっている。食品製造業者はずっとバイテク食品の熱烈な支持者だ。ただ、被害の大きい回収と消費者の信頼を失うことを怖れているのは理解できる。 彼らは、バイオ医薬に食用作物を使うことに強く反対している。しかし、全米食品加工組合の代表ジョン・キャディと話した今では、「規制が現状のままでは、ゼロ許容でなければならない」とキャディは言っていたが、もし政府が許容値を決めてその範囲であれば安全といえば、食品製造者としての心配はなくなるのだろう。

 

健康の害を否定する

"連邦管理局は、国民がまだあまり注目していない医薬作物をどう扱うか頭を抱えている。"警告を発するのではなく、危険性を否定しているメディアもある。 ワシントンポストとロサンジェルスタイムス誌は、バイオ医薬植物による工業化学品や医薬蛋白質は、「腸内で問題なく分解される」から害が無いとロサンジェルスタイムス記者のステファニー・サイモンは書いている。

 

消費者連盟の研究者マイケル・ハンセンは、十派一絡げに推測することは出来ない、多くの成分が腸内で分解されるだろうが、一つ一つについて吸収できる形まで分解するか試験しなければならないとし、「全てが秘密になっているのでこのような試験が必要か分からない。今は、全くデータが無い状態での話だ。」という。工業用化合物のためのバイテク食用作物についての安全性試験は自主的に行うことになっている。医薬の場合は安全性試験を通らなければならない。

 

"人間は、工業用化合物を食べるようにはなっていない。."

 

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しかし、検査方法は不十分で、食品全体や植物に生成した医薬品でさえ試験せず、バクテリアに蛋白質を挿入した出来たものを使うの標準的検査法だ。 企業にとっては、安くて簡単かもしれないが、植物とバクテリアでは遺伝子の扱い方はまるで違うから、バクテリア中の組み換え蛋白質では植物に生成されるかもしれない毒性やアレルギー性の蛋白質は検出できない。

 

人間は、工業化合物を摂取するようにはなっていない。 不快で危険を及ぼす副作用のあるものも多い医薬品は、特定の病気に対して特定の量が処方される。 食品ではないのだ。 しかし、食用作物にこれらの成分が生成されるとなれば、好むと好まざるとに関わらず私達の皿にのるのは間違いない。 TomPaine.com から最新情報を希望する人は、ここをクリックしてください。

 

 

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