就学前幼児全員が残留農薬を体内に保持している
2001年8月10日
ブラッド・ウォン
シアトル・タイムス・レポーター
要約 山田勝巳
都市と都市近郊の子供達が、家庭用農薬にどの程度曝されているかを調査する始めての調査で、ワシントン大学(UW)の研究者は、微量のガーデン用農薬をシアトル地域の何十人もの就学前児童の尿から検出した。
検査した96人中一人を除く、全ての子供から微量の農薬を尿から検出したと研究者は話し、「庭に農薬を使うと報告した家庭の子が、そうでない家庭の子より、かなり濃度が高い。」
濃度は低い(ppbレベル)ので頭痛、吐き気、かすみ目、呼吸困難といった急性症状を起こすことはないと、調査を援助した大学研究者アレックス・リューは言う。
だが、長期的暴露、いかに微量でも、は健康被害(学者が今後検討することだが)になるかどうかということは問題だ。この答えが分かるまでは、有機リン系殺虫剤を使うのは注意を要すると研究者は話す。
「用心するにはどうするか。 私は、騒ぐのではなく慎重にすべきだ、という方針だ。」と話すのはこの調査に参加した環境保健科学教授のリチャード・フェンスク。
農薬と子供 農薬の情報はキング郡のウェブサイト:www.metrokc.gov/hazwaste/house
U.S. 環境保護局のウェブサイト:www.epa.gov.
大学研究者は、ダイアジノンやダースバンなどの有機鱗農薬を検出する検査を行った。 ダースバンは、クロロピリフォスを有効成分として含んでおり、その名で知られている。
この農薬は昆虫の神経系を冒して殺す効果があり、ダースバンは最も一般的に使われている米国産家庭農薬だと環境保護局は話す。
EPAはダースバンとダイアジノンを家庭用に小売販売することを制限するか排除するよう今年から義務化した。 EPAによると、一般人特に子供の健康を守るために、この2種の化学物質を4年かけて廃止にするという。
キング郡の危険物担当は、EPA規則とUWの推奨に照らして、有機ガーデニングを広めるための活動を開始している。
この研究は1998年に2才から5才の幼児の尿を検査して行われた。 1990年代初めからUWは子供と農薬の関係を研究してきており、3年前に660万ドルの連邦基金を得て、進展を見た。 調査の結果は、子供がどのように農薬に暴露するのか、成長している神経系にどのような影響があるのかを研究する科学者の一助になるだろう。
昨年発表された研究結果では、キング郡のリンゴ果樹園で使われるアジンホスメチルとフォスメットを調査している。 尿検査の結果、残留農薬が連邦安全基準を上回る子供が半数以上いた。 シアトルの調査と違い、田舎の子供は、農薬散布時期と衣服に粉を付けて家庭に戻る両親から暴露するケースが多い。
シアトルの調査が、これまでの調査よりも農薬検出率が高いのは、検査方法がより進化したためだとしている。
郡の担当者は、農薬の使用を止めるよう指導して歩いている。 やっかいな芝の害虫ガガンボに悩まされる家庭ではダースバンやダイアジノンを日常的に使っている。 ガガンボの幼虫は芝を食害して茶色の目に付く点を残す。 しかし、適切に手入れをすれば、有機的に維持することが出来ると説いているが、みんなが受け入れるわけではない。 有機的害虫管理と農薬を併用するワシントン樹木サービス社のエド・ウォ
ルターは「子供と低レベルの汚染、そしてこれらの農薬が3−5年後に無くなるというのじゃ仕方がない。」と言いながら、微量な農薬が本当に子供に害があるのか疑問視している。