2003年8月6日
内閣府
食品安全担当大臣 谷垣 禎一様
遺伝子組み換え食品の安全性評価に関する質問、要請と食品安全委員会への要望
1.食品安全委員会は、BSEの進入を防げなかった苦い経験から消費者主体の食品安全行政への転換、安全性確保に予防原則を導入するなど審議会の提言を受けて発足した組織であるはずです。遺伝子組み換え食品は、長期の影響が不明なものであり、慎重な対応が求められます。遺伝子組み換え食品に対する食品安全委員会の対応は、これまでの厚生労働省の安全性評価のあり方と比べ、慎重に行われるとものと期待されますが、これまでの対応とどのような点に違いがありますか。
2.遺伝子組み換え食品について新たな知見がでた場合、早急に対応がとられる必要があります。安全性に関する国際的な文献情報の収集はどこが担っていますか。またその情報を食品安全委員会に審査対象として上げる判断はどこがするのですか。新たな知見がでて、それを調査や追試し、審議にかけ、安全性確保のための措置を速やかにとるまでの具体的手順はどうなっていますか。
3.6月12日安全確認答申された遺伝子組み換え品種同士の後代交配種(トウモロコシ4品種、ワタ2品種)の安全性は、どのように評価審査されましたか。
従来の組み換え品種と在来品種との掛け合わせによる交配後代の安全性評価は、当時の食品衛生調査会の寺田雅昭委員長(現食品安全委員会委員長)名で出された「後代交配種の取扱いについて」という文書で、@組み換えDNA操作により新たに獲得された性質が後代交配種においても変化していないことA亜種間での交配が行われていないことB摂取量、食用部位、加工法等の変更がないことの3点が評価項目となっています。このたびの、初めての遺伝子組み換え品種同士の交配品種については、どのような評価項目によって審査したのですか。データも公表してください。
4.また、同文書では、「組み換え品種の後代交配種についても、これまでに充分な食経験がなく、遺伝子組み換え食品の安全性のいっそうの確保を図る観点から、後代交配種の安全性評価についても厚生省による調査・研究を引き続き進めていくことが望ましい。」とあります。
この文書がでた1997年以降、後代交配種の安全性の調査・研究はどこでなされましたか。データ・研究報告書があれば公開してください。
5.6月27日に提出した河田昌東氏の後代交配品種の問題点への回答について、7月3日交渉のおり、厚労省から、担当は食品安全委員会とのことですので、回答お願いいたします。
6.専門委員の決定の仕方はどのような基準にもとづくものか。また、公募の専門委員の決定の方法はどのようなものですか。
以上
食・農ネット
ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネット
全国農民組織連絡会
中部よつ葉会
反GMイネ生産者ネット
日本有機農業研究会
音羽米研究会 ほか
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議 事 録
(1)GM食品に対する食品安全委員会の対応
○これまでの厚労省の安全性評価のあり方と比べて、どのような点で違いがあるのか。
■・安全委員会では食品の健康影響評価を行う
・GMについても、厚労省から意見を求められたときに科学的知見に基づいて答えることになっている。
まずは食品安全委員会では、GM食品の安全性評価を行うための基準を作成する。
リスク評価の結果に基づき、安全性未確認のGM作物が輸入されていないかなど、輸入時のモニタリング検査も食品安全委員会で行う。
必要に応じて、関係各省に意見などができるようになっている。
○厚労省のしていたこととまったく同じなのかどうか。横滑りのままのリスクアレンジメントとかマネジメントとかではなく、予防原則とか消費者主体の安全確保の新たな組織としてこれまでとちがったものでなければ意味がないはず。
■まずは新しく食品安全委員会の基準を作る必要がある。
○AGM食品の新たな知見が出た場合:
安全性に関する国際的文献などの収集はどこが担っているのか。またその条項を安全委員会に審査対象としてあげる判断はどこがするのか。新たな知見に対する調査・審議などの具体的な手順はどうなっているのか。
■食品安全委員会の事務局として機能する。7名の委員の専門性に合わせて、GM食品を含んだ形で食品全般の安全性、健康影響についての知見情報を適時収集している。事務局が収集した情報は委員に連絡、資料の配布をする。委員会自らの判断で認めた場合は科学的知見に基づいた食品の健康影響評価が行われる。その評価時の結果は速やかに関係各省に通知することになっている。
リスク管理機関である厚労省、農水が適切な措置をとることになる。
食品安全委員会の委員が科学的知見かどうかを判断する。
事務局の収集のためには、一般の地方の意見交換会や食の安全会議(8/1より)、食品安全モニターなどから収集して委員会の評価にかけてゆく。
食品安全委員会として食品の安全性評価をするのだから、GM食品の安全性評価の新たな基準を委員会として定めなければならない。
○厚労省が持っていた安全性評価とはちがう、新たなものを作るということか。
■食品安全委員会として今まで厚労省がつくっていた審査基準をそのまま使うのではなく、検討しなおして作るということだ。
その場合コーデックスの7月のガイドラインとかFAO、WHOの報告書であるとか、各国の科学的知見を汲んで検討することになる。
単に国際整合性ということでなくて、消費者の立場に立って厳しく見き、国民の健康を最優先し、あくまで科学的知見にもとずいて判断してゆく。
○これから新しい知見をくわえて厚労省時代の古い基準は破棄されるのか、あるいは追加されるのか。
■あくまで厚労省のGM食品の安全性審査の手続き告示については改正されているが、GM食品の県境影響評価は、食品安全委員会が行うことになっている。厚労省では健康影響評価リスク評価は行われない。
○厚労省の今までの基準はどうなるのか。消費者からすればダブルスタンダードとなる可能性があるのではないか。
■評価をする上でも新基準を作るということだが、現在の厚労省の基準については、食品安全委員会で評価して出た結果を踏まえて厚労省の基準も変わる。
今までの厚労省の安全評価指針に対して、それ以上のものがデータとして必要ということになれば、安全性の確認されている55の食品についても求めることになる。
○GM作物とGM作物の後代交配種の安全確認がされた。5月末に申請され、6月頭には安全が確認されたが、その基準がきちんとデータとして見えてこないし、明確な説明がなされていない。
96年ごろとはちがって、2003年までには新たな科学的知見も出ているだろうから、再度見直しという対象になるのか。
■そういうものがあれば再評価を行う。
○コーデックスの新しい基準が出ているから、その基準で第一号として見直しをしてもらいたい。再評価をすべきではないか。
■食品安全委員会で認めれば再評価する。
基準の見直しは委員会の7名で行うが、その下に専門調査会を作る。GM食品については、新食品等専門調査会を立ち上げる。その中で検討されることになる。
担当専門委員200名の中から遺伝子組み換え専門調査会に選抜する。
○もう一度聴くが、食品安全委員会について、今までの規定がいろいろあるが、それをもう一度見直す意味で、消費者から声を聞きながら新しく基準を見直してゆこうという意味の部署として考えていいのか。位置づけがわかりにくい。
○新しい知見ばかりでなく、今までのものも改めて見直すということか。今までの調査会のGM部会の委員がそっくりそっちへ行ったのではあまり意味はないんじゃないかと思える。
○今日のGM作物同士の後代品種は安全という消費者の意見を汲み取って問題も審査しなおしてもらえるのか。
■まだ発足して1ヶ月程度であまり決まっていない。ただ委員会でもってすべてを判断してゆき、我々はそれをサポートしてゆく。
○国民の要望があって、それを再評価まで持ってゆけるような道筋があるのかということだ。
■委員、関係行政機関から、国民の意見などいろいろな方向からの情報から判断する。
○具体例として、英国ニューカッスル大学で腸内細菌にGM大豆の遺伝子が移行しているという報告があったが、そういう知見についてどこで誰が評価するのか。
■基本的に集まってきた情報については事務局でまとめて必要なものについては、常勤の4人がいるので、リスク評価をする必要があるとなれば、食品安全委員会で審議することになる。
○行政は都合の悪い知見について無視したりする。何処へ言っていったらいいのか。
■委員会のできたいちばんの目的は、リスク管理機関だけが独立して第三者機関として切り離してリスク評価を第三者的立場で科学的見地から行う。
○今までは厚生大臣に持っていっていたものを、事務局にもっていったらいいのか、委員にならいいのか、事務局では消えてなくなりそうだ。食べ物の不安を持ち込める確実なルートがなければ意味がない。
○2000年9月、モンサントのラウンドアップ耐性大豆の安全性審査に疑問があると文書で提出しているが、それに対しても答えをもらっていない。そのためにはたいへんな労力とお金を使って資料を書き写しまでして提出したのに、廃棄されてしまったといわれた。今度の食品安全委員会ではどうなるのか。再度提出するので答えてほしい。今回のもの(GM品種とGM品種との後代品種は安全という)についても再度提出したい。
○専門調査会の評価グループには科学的な評価のできる試験研究機関は含まれているのか。
■必要に応じてできる。
○一般からの推薦というのもあっていいのではないか。
食品安全委員会とリスクコミュニケーションのところだけ消費者から公募をすると決めているが。事務局レベルで委員会に提案するものをまず国民に見せるシステム作りをしてほしい。
それをまず、食品安全委員会のさきがけとしてほしい。