Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 96, Issue 14, 8022-8027 , July 6, 1999

植物ウイルスが宿主を変え脊椎動物に感染し、

その後脊椎動物のウイルスと組換えを起こした証拠(要約)

 

Mark J. Gibbs* and Georg F. Weiller

オーストラリア国立大学生物科学部バイオインフォーマテイクス研究室

 G.P.O. Box 475, Canberra 2601, Australia

(訳 河田昌東)

 

  小型で円形の一本鎖DNAゲノムを持ち脊椎動物に感染するサーコウイルス(circovirus)と植物に感染するナノウイルス(nanovirus)との間にはいくつかの類似性がある。我々はサーコウイルスとナノウイルスの複製開始タンパク質(Rep)のDNA配列を分析し、サーコウイルスのRepN-末端領域がナノウイルスのRepの同じ領域の配列と同じであることを確認した。しかし、それらのC-末端領域はピコルナ様ウイルス(picorna-like virus)のRNA結合タンパク質(protein 2C)と関連があることを発見した。それで我々はRepのこの領域に対応しているDNA配列は一本鎖のRNAウイルス、恐らくカリシウイルス(calicivirus)との組換えによって獲得されたものだと結論した。

これはDNAウイルスがRNAウイルスから遺伝子を取り込んだという明らかな証拠であり、これらのどのウイルスも逆転写酵素の遺伝子を持っていないという事実は、この能力に関して他の要因が関わっていることを示唆する。これまでサーコウイルスはナノウイルスの兄弟グループの一員であると考えられて来たが、組換えを考慮した我々の系統遺伝学的分析では、サーコウイルスがナノウイルスから派生したことを示している。ナノウイルスDNAは植物から脊椎動物に伝達されたのである。この伝達されたDNAにはウイルスの複製開始点が含まれている。つまり、この配列が保存されていることは複製能力を保持していることを明瞭に示している。これらの特性を考え、我々は(植物から)伝達されたDNAは一種のウイルスで、植物から動物への伝達は宿主変換によると結論した。我々はこの宿主変換は脊椎動物がウイルスに感染した植物の液に暴露された際に起こったと推測する。調べた全てのカリシウイルスは脊椎動物に感染するので、宿主変換が始めに起こり、それから組換えが脊椎動物の中で起こったことを示唆する。

 

 

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