スエーデンがGMポテトの栽培認可
ザ・ガーデイアン
04年4月9日
ポール・ブラウン記者
訳 河田昌東
スエーデンは遺伝子組換えポテトの栽培を初めて認可した。もっとも、これは食用ではなく製紙原料に使う澱粉ようである。この動きはEUにおける認可の混乱を示すもので、スエーデンはこの澱粉製造工程から出る廃棄物が動物飼料に使われ人の食物連鎖に入り込む恐れがあるとしてまだ認可していない。1998年にアーパド・プシュタイ博士がGMポテトの安全性に関する実験を行ってからGMポテトに関する議論が沸騰した。彼は後にこのポテトは自分では決して食べないだろうと言った。当時プシュタイ博士はアバーデーンのロウウエット研究所に居たが、GMポテトを食べたラットに免疫系統の欠陥が生じ、人が10年間食べたと等しい量で生育障害をもたらすことを発見した。彼の研究結果はGM推進側の科学者らから批判を受け、ロウウエット研究所は彼を解雇し、王立協会も彼を攻撃した。この騒動は彼の信頼性を傷つけ彼の経歴に犠牲を強いたが、GMポテトが安全かどうか分かっていないのではないか、という疑問をもたらした。それで、GMポテトを食用に栽培しようという計画はなくなった。
地球の友のピート・リリーは「GMポテトの安全性については満足の行く応えが得られていないたくさんの疑問がある。だからそれを人の食物連鎖から排除できるような厳しい規制が必要だ。」といった。GM作物を食べた動物が何らかの障害を生じたとか抗生物質耐性やその他の遺伝的形質を持たない、といった証拠はないが、一般の人々にはGMに対する相当な抵抗がある。
スエーデンの農業専門委員会メンバーは次のように主張している。「あれは食用ポテトじゃない。この新しいポテトは製紙工程で使われる澱粉を多量に含むが、澱粉を取ったあとの副製品は動物飼料や肥料として使われるだろう。これはEUの認可を妨げるものだ。反対が強ければスエーデンの認可には6年以上かかるだろう」と彼女は言った。
EUはコーンやナタネ、大豆を含む遺伝子組換え作物を1ダースも認可している(食品、流通)が、ポテトは初めての試みである。これはすでにスエーデン植物科学研究所で何年か試験栽培されてきたが、スエーデンにとっては初めてのGM作物認可になる。