市場に懸念、でもキャノーラ農家はGMへ

ウィニペグ・マニトバ発ロイター

2001年11月13日

抄訳 山田勝巳

 

国際市場や消費者の心配にも関わらずカナダでのGMキャノーラの作付けは増えている。 ナタネはカナダ西部の農業を支えてきたが、GMキャノーラの登場で貿易に影が差し、グリーンピースなどの環境団体からは、適切な安全検査が行われていないフランケンシュタイン食品と批判されている。

 

更に、農家とモンサントの間で裁判沙汰が起きており、連邦裁判所は農家のパーシィ・シュマイザー氏が企業の特許を侵害したと判決したが、農家は、花粉やトラックのこぼれ種で自分の圃場が汚染されたと控訴している。

 

組み換え作物の確実な増加

 

キャノーラは25億カナダドル/年を稼ぎ出し麦に続く輸出商品だが、今年は61%に当たる400万ヘクタールが作付けされた。 カナダの大量穀物取扱システムは、GMと非GMを分別取扱はしないため、全てのカナダ産キャノーラはGMとされている。

 

農家は、雑草管理、収量増、農薬の低減と耕起する回数がへる事による土壌浸食が防げるため作付けを次第に増やしてきた。 業界の調査では、2000年のGM農家はカナダドル5.8/エーカーの増収になっているという。

 

1996年には4%だった作付けも1999年には53%に達している。 農家はモンサントのラウンドアップレディキャノーラにカナダドル15/エーカーの技術料を払って栽培している。

 

食用のナタネがカナダで育成されたのは1950年代末で、脂肪酸の少なく動物が嫌がる硫黄成分が劇的に少ない品種は1974年に開発リリースされ、これにカナダとオイルをもじってキャノーラと銘々した。

 

世界のキャノーラ商品は、マーガリンで45%、ショートニングが60%、サラダ油は80%に達している。 またGM成分を取り除いたものはインク、医薬品、化粧品にも使われている。

 

ヨーロッパは新たな輸入を停止   

 

 カナダのキャノーラは、環境影響と人の健康影響への懸念のためヨーロッパでは1998年以来GM作物は輸入停止になっている。 その分は、メキシコ、中国、そして最大の顧客である日本で新たな市場を見いだしている。 生産者団体は、ヨーロッパ市場は年30万トンと少なく、科学的証拠もないのに断るのなら諦めても良いと考えている。 カナダのキャノーラ輸出は1999/2000が400万トン、2000/2001は500万トンである。 「世界で誰もGMを望まないなら止めるが、GM作物で適切な収入が得られるならそちらと取り引きする。」と生産者団体のアドルフィは話す。

 

中国のバイテク規制の混乱

 

  最近の業界の心配は、昨年200万トンのカナダキャノーラを購入した中国の新しいGM政策の行方である。 9月までは中国への輸出が無く、ここ二週間で15万トン輸出したものの、表示と輸入規則の懸念は残る。  カナダの農家は、技術コスト、市場性、遺伝子交雑とスーパー雑草等に不確実性があり、GMへの懸念は増している。 農業者団体は、しかし、非GM品種にプレミアムが付かない現状では、これらの問題点もGMキャノーラを作ることの利益に較べれば小さなものだと言いうる。

 

 

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