アメリカ司法省はモンサント社を独占禁止法違反の疑いで捜査
ウオールストリート・ジャーナル
2003年3月14日(セントルイス発)
訳 河田昌東
司法省は除草剤と農業バイテクの巨大企業モンサント社を独占禁止法違反の容疑で捜査中と発表した。
最も良く売れているラウンドアップ除草剤のメーカーであるモンサント社は、木曜日(13日)、有価証券に関する年次報告書で、“グリフォサート・ベースの除草剤企業に反競争的指導をしたかもしれない”と述べていた。グリフォサートはラウンドアップの主成分である。
モンサントのスポークスマン、ロリー・フィッシャーは金曜日(14日)、同社に司法省は色々なグリフォサート販売店や配給会社に関する情報を要求した、と述べた。彼女がいうには、モンサントはこれまで政府の非常に広範囲な情報要求に協力してきた。フィッシャー氏は、司法省の調査が何時始まったか、同省が何を探しているのか、などについては返答を拒否した。“我々の立場からいえば、これまで適正に行動してきたし、彼らの要求にも協力している”と言う。
司法省のスポークスマン、ブレイン・レスメイラーはこの問題について話し、あるいは調査開始の確認を拒否し、同省のポリシーではそうしたコメントを禁じている、といった。
モンサントのラウンドアップ販売:
最も売れているこの除草剤には、同社がグリフォサートに関するアメリカの特許が切れた2000年以降プレッシャーがかかっていた。調査に際し、モンサントは特許の期限切れは同社がラウンドアップ除草剤で競争、特にノーブランドのメーカーとの競争にさらされることを意味する、といった。モンサントによれば、農業用除草剤では世界で5から10社のライバルがおり、ローカルな企業とも競争関係にある。そうである以上、我が社は歴史的にさまざまなマーケットで価格を抑えると同時に、デスカウントや利益還元、その他競争のためのさまざまな戦略をとってきた、とモンサント社は言った。「しかし、価格安くしたからといってそれを上回る利益を得る保証はどこにもない」と同社は言う。
司法省の調査はモンサントの社長にまで及ぶ可能性があるだろう。なぜなら調査官はこの問題に慎重になっているから、というのはシカゴのハリス・アソシエーツのアナリスト、ビル・ヤコブスである。調査がどれだけ進展するかは、モンサントがどれだけ多くの情報を調査官に示すかどうかにかかっている、と彼は言う。
ヘンドリック・ベルヘイリー:
ヘンドリック・ベルヘイリーは昨年12月18日に突然モンサント社の社長と最高経営責任者を辞任した。これは同社のさらなる激変を示す動きの一環であったが、遺伝子組換え食品に反対する消費者との戦いの結果でもあった。長く化学企業の経営者だったフランク・アトリーが新生モンサント社の代表で最高経営責任者となった。先週の金曜日、モンサントは2003年度の収益見通しをひと株あたり1.2ドルから1.4ドルと再確認した。同社はまた次年度四半期で年間収益の10%を、上半期で利益の85%から90%を得るのを期待する、と改めて表明した。モンサントは4月30日には利益の4分の1を獲得する、と言った。アトリー氏はモンサント社の取り締まり役の間2年以上にわたって部長や議長として働いてきた。彼は又取締役会議長でもあり、特別委員会のメンバーでもあった。彼は28年間を前アメリカ・シアナミド社で働き、1995年にシアナミド・インターナショナル社の社長でリタイアした。アトリー氏はまたネレウス薬品社の取締役でもあり、ニュージャージーのラマポ大学とニュージャージーの薬学歯学大学財団の管財人としても働いてきた。彼は現在イタリアの個人企業フィンゴールド社の社長である。全米マリン協会の役員になる前、アトリー氏はバージニア州リンクバーグのリンクバーグ大学の化学生物学の学位を授与された。