組み換え大豆の除草剤使用量は増えている

 

Karen L. Werner

Bureau of National Affairs

International Environment Reporter

Volume 24 - Number 10May 9, 2001)

Page 378

訳 山田勝己

 

ラウンドアップ除草剤耐性大豆は従来の大豆よりもよけいに除草剤を使い、かつ収量も少ないと、北西科学環境政策センターの報告書は述べている。「除草剤を減らすことが90年代の重要な目的であったとすれば、RR大豆を導入したことで大きく一歩後退したことになる」と述べる報告の表題は「RR大豆が商業的に成功する物騒な時代:グリフォサートの効き目が落ち不安定な組み換え遺伝子の発現で抵抗力と収量が落ちる」となっている。ラウンドアップは数種類の農薬を一緒に使わないと効き目がない。

これに対しモンサントは、ラウンドアップの効き目は依然変わっていないという。報告書を書いたコンサルタントのチャールズ・ベンブルックは、農務省の現場レベルの実態を示したデータを分析したものでは初めてだという。 バイオテク業界と推進者の「デマ」を正すために分析を行ったと話す。

 

報告によるとRRシステムが最も効果的だったケースでは、従来方式の最大量より少ないが、2001年の使用料では一般的に0.5ポンドよけいに除草剤を使っている。 ラウンドアップの効き目が落ちているのは、ラウンドアップの効かない草が増えてきていることによる。

 

モンサントは、隣接する500カ所の圃場で試験を行い、収量がわずかに増えていて効き目が下がっている様子は無いと話す。

 

全米では6570万エーカーに大豆が作付けされ、3670万エーカー(55.8%)が従来の品種だった。RR大豆は38.8%の2540万エーカーで、その他の除草剤耐性品種が350万エーカーだった。ラウンドアップ大豆の人気で他メーカーは商品の値段を下げたが、それが除草剤の多用につながった。1998年の全米の平均除草剤使用量は、有効成分で1.17ポンド/エーカーで、グリフォサートは平均0.92ポンド/エーカーを3070万エーカーに散布している。RR大豆には、平均1.22ポンド/エーカーの除草剤が使われ、グリフォサートは1ポンド/エーカーだった。

 

RR大豆は、同品種で栽培条件が同じ非組み換えのものより5-10%収量が少ない。 ラウンドアップを散布することで(窒素固定の減少も含めて)収量減につながっている。

 

ベンブルックによると、急速にRR大豆を導入したことの教訓は3つあり、第一に組み換えによって一種の除草剤だけに依存することになるのは問題だということ、 第二に植物の代謝経路に遺伝子を挿入するのは「危険なやり方」で、特に他のストレスがあると予期せぬ結果を招きやすいこと、 第三に、栽培認可が下りて広く取り入れられるまで、独立した第三者機関による状況調査が無かったことだという。

 

ベンブルック・センターはアイダホのサンドポイントにある非営利政策調査センター。 報告は1998年の農務省の除草剤使用量データで一般公開されておらず、農務省がベンブルックに特別に用意したものである。

 

食糧農業政策センターのレオナルド・ジアネッチは、報告ではいわゆる低用量大豆よりもRR大豆の方が除草剤使用量が多いとあるが、低用量除草剤は、適用雑草が少なく、他の除草剤を必要とする。 だから、他の除草剤を足せば低用量とは言えないと話す。 また、低用量除草剤は土中で最長4年活性を持つが、グリフォサートは土に吸着し微生物によってすぐに分解される。

 

低用量除草剤は草が5cmまではよく効くがそれ以上では無理。 それに対しグリフォサートは15cmまで有効だ。 除草方法の違いも考慮する必要がある。ベンブルックの報告では大豆の品種間の違いは言っているが、手で取る除草については、触れていないし、除草剤についてもどんなものが使われたか検討されていない。

 

指摘された「収量の低さ」も、本当は「遅れ」で、RR大豆の開発が進めば良くなる。 収量は戻し交配をすることで差が無くなるだろうとジアネッチは見込んでいる。またベンブルックの報告では1998年から1999年にかけて1.06ポンドから1ポンド/エーカーに除草剤の使用量が減っている事には触れられていないと話す。

 

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