汎用のGMウィルスプロモーターはガンを増加する

スコットランドの医師が警告

 

GM専門家が作物によるガンのリスクを警告。 

GM食品の健康影響調査が終わるまで試験栽培を禁止するよう業界に要求。

 

サンディ・ヘラルド(スコットランドUK) 

2002年12月8日

ロブ・エドワーズ環境編集長

訳 山田勝巳

 

GM食品を食べるとガンになるかもしれない。 今日、スコットランドの指導的組織病理学専門家の一人がこうはっきり警告した。

 

アバーディーン英国診療所の組織病理顧問スタンリィ・イーウェン医師は、GM食品に使われているカリフラワーモザイクウィルスが胃癌と大腸ガンを増やす危険性があると指摘した。 彼は、アバーディーンシャー、ロスシャー、ファイフで行われている栽培規模のGM作物試験栽培場付近に住む住民の健康監視をするよう求めた。 住民の食べ物や水がGM成分で汚染され悪性腫瘍の成長を促進する可能性があると指摘した。

 

「不安をかき立てるつもりではなく率直に申し上げたい。 試験圃場周辺で生産される農産物で暮らしている人たちは危険に曝されているのではと非常に心配している。」 独自の科学諮問委員の支持を得ている政府は、GM試験が人の健康や環境へのリスクは全くないと言い張ってきた。 しかし、試験栽培は、GM作物の毀損で逮捕者が何十人も出るなど多くの反対を伴ってきた。  スコットランド議会の健康と住民福祉委員会で行われたイーウェンの警告に、反論が出るのは必須。 委員会は、GM食品の安全性調査をほぼ終えるところで今週には報告書を提出する予定になっている。

 

組織病理学者として29年の経歴を持つイーウェンは、現在グランピオンでの大腸ガン患者を識別する実験計画を指揮している。 1999年には、前ローウェット研究員だったアーパッド・プシュタイ博士と共にGMポテトがねずみに害があることを示す研究を発表している。 

 

健康委員会への提出分で、イーウェンは、GM食品のプロモーターとして使われているカリフラワーモザイクウィルスの使用に重大な懸念を表明している。 このウィルスは、組み込まれた遺伝子を発現させるための小さな駆動力になっている。  しかし、イーウェンは、ウィルスには感染性があり、胃や大腸で「成長因子」として働きポリープの成長を促す役割を果たし、ポリープの成長が早く大きくなるほど悪性になる可能性が高いという。

 

家畜にメイズのようなGM作物を食べさせることも危険だという。 「牛のミルクにGM由来のものがあり、牛乳やチーズという形で直接摂取されるし、幾分調理されるとしてもヒレステーキでは、活性なGM成分がある。」 GM成分は10分間の調理で壊すことが出来るし、胃の酸や酵素で分解されるが、調理しないGMフルーツや野菜の遺伝子は胃にごく普通の感染症があると影響を受けないことが懸念されるとイーウェンはいう。 「GM DNAが胃や大腸の表面を侵して、ガンの形成を未確認だが促進する可能性のある成長因子になることは十分に考えられる。」  イーウェンは、全てのGM技術に反対するわけではなく、特に医療の面では現実的恩恵があると信じているものの、現状の技術には危険を感じており、委員会に対し動物実験で安全が確認されるまでGM作物の試験栽培の禁止を求めている。

 

英国医師会の医師らも、人の健康に未知の危険性があるとしてGM禁止を提案している。 ロスシャーで監視をしている反対者が集めた6000人の署名によって、委員会調査が開催されることになった。 「イーウェン医師の懸念は、病気に限定しているが、彼の示した証拠が示すリスクはGM作物全体に及ぶものだ。」とハイランドとアイランドのGM懸念という団体の運動指導者ジョー・ハントは述べている。 「一つのDNA断片が問題だということではなく、植物細胞の遺伝子操作に対する反応の結果自体が問題になっている。 現在作られている主だったGM作物全部が同じ影響を及ぼす。」

 

ハントは、GM食品が安全かどうかを確かめる長期的研究が必要なのに、「スコットランド政府は、500万ポンド以上を使って蝶や雑草への影響調査をしている。行政府は、安全を確認していないのに、11箇所でGMを承認しており、2004年からは国中のどこでも栽培を許可しようとしている。」と問題提起している。 行政府は、スコットランド国民党の影の環境大臣ブルース・クロウフォードからもGM作物試験栽培を凍結するよう要求されており、「リスクが全く無いという絶対の保障ができるまでGM成分を食品ルートに流す事は認められない。」と話す。 環境大臣ロス・フィニーがGM作物周辺の植物が汚染されうると文書で認めていることを指摘している。 フィニーはしかし、政府は承認済みのGM作物には安全リスクの怖れはないと全会一致で結論していることを言い足している。

 

イーウェンの保健委員会への証拠は、現在独自にコンサルタントとして働いているアーパッド・プシュタイの提出書類でも示されている。 GM汚染が人の健康を脅かし、取り返しのつかない環境ダメージを引き起こすと警告している。  プシュタイは、「遺伝子工学の戦略を全面的に見直す必要がある。人類にとって重要であり影響が甚大であるから、ニ、三の多国籍企業に決定を任すべきではない。」という。

 

 

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