BSEプリオンを尿中に発見

ジュディ・シーゲル−イツコビッチ、エルサレム

BMJ  2001年10月20日

訳 山田勝巳

エルサレムの研究者等によると、尿検査で牛のBSEや人のクロイツフェルトヤコブ病(CJD)を起こすプリオンを検出でき、現在商業用のキットを開発中であると言う。 感染した動物や人が無症候性であっても分かるという。

この検査で、群の中に感染牛が居ても、感染していない牛は屠殺しなくても良くなる可能性がある。 また、人の変異型の感染者が献血するのを防いだり、感染地域でも献血できる人を確認できるようになるだろう。

このプリオン同型種を、ハムスター、牛、人の尿に発見したのはルース・ガビゾン博士とエルサレム、アイン・カレムにあるハダサー大学病院神経学部の同僚達である。この発見は生物化学ジャーナルの電子判で発表されている。 (www.jbc.org/cgi/reprint/C100278200v1.pdf).


 スコットランドにvCJDが多いのは貧しい食事によるのでは?

ブライアン・クリスティー、エジンバラ

スコットランドとイングランド北部のvCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)発生率が他の英国の地域より2倍高いのは、貧しい食事によるのではないかと推測されている。

エジンバラのCJD監視委員会の上級病理学者ジェームズ・アイロンサイド教授は、英国北部でパイやバーガーといった安い肉製品がより頻繁に消費されていることがこの違いになっているのではないかという。 これらの肉製品は、人の消費が禁じられる以前に、骨から削いだり、水流で落とすなどして得られた機械的に回収された肉が混ざっている可能性が高い。 この種の肉ではBSEに感染する危険性が高い。

これまで、英国では102人、フランスで3人、アイルランドで1人がvCJDで亡くなっている。 グラスゴウで開かれた英国協会科学祭で報告したアイロンサイド教授は、英国に於ける発生件数は確実に増える傾向にあり、1996−1999までは毎年約14名だったが昨年は28名に増えており、今年は既に17名の発生があったという。

アイロンサイド教授は、最悪の場合英国で14万人の死亡というこれまでの予測は、今の傾向が続けば上方修正する必要が出るかも知れないと言う。 分析によるとスコットランドやイングランド北部では百万人に2.71人なのに対し、南イングランドやウェールズでは1.47人であることが示されている。

BSEに感染した肉が食糧として出回ったのは殆どが1980年代から1990年代始めまでだが、アイロンサイド教授によると食事に問題があるかどうかを調査するのに食品業界の抵抗があり、「製品中にどのような肉が使われたのかという情報を我々に与えたがらない。」という。

食品企画局が現在この種の情報を得るために動いている。

英国北部にこの病気が多いもう一つの理由は、遺伝的に弱い可能性である。 監視委員会は、vCJDに罹った人達は、この国の1/3が持っている共通の遺伝因子を持っていることを発見している。

 

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