20041027

日刊 酪農乳業速報 第8355

 

BSE プリオン調査会、自らの中間報告書巡り紛糾

 

 食品安全委員会のプリオン調査会(座長・吉川泰弘東大大学院教授)は26日、厚労・農水両省が諮問した牛海綿状脳症(BSE)の国内対策見直し案について審議を開始した。しかし、同調査会が自ら取りまとめた中間報告や、米国産牛肉の輸入再開をめぐる行政対応を批判する声が続出。諮問案以前の問題で紛糾し、議論はほとんど進まなかった。

 「中間報告書は調査会の意見を十分反映していない。検出限界の月齢は示さない話だったはずだ。座長一任後、取りまとめまでに修正文を読む時間がなく、意見を表明する機会もなかった」(山内一也日本生物科学研究所主任研究員)、「検出限界20ヶ月齢以下の線引きは科学的根拠に乏しく、十分賛成できる中身ではない。諮問案以前に中間報告書を議論しなおすべきではないか」(品川森一動物衛生研究所プリオン病研究センター長)―。複数の委員がこの日、声を荒げて中間報告の内容やその策定過程を批判、中間報告書を拠り所に政府が全頭検査から20ヶ月齢以下の牛を除外する見直し案を決め、大きな社会問題に発展したことに困惑の表情を隠さなかった。

 米国産牛肉の輸入再開問題をめぐっても、「われわれは国内対策の検証をしてきたはずなのに、中間報告書は対米交渉に使用されている印象を受ける」(横山隆動物衛生研究所プリオン病研究センター研究チーム長)と、政府の対応を批判する意見が相次いだ。

 こうした指摘に対して吉川座長は、中間報告書の策定過程で意見疎通が十分でなかったことは認めたが、「現時点で判明している事実をまとめたという点で内容自体に誤りはない」として、報告書を見直すことに否定的な考えを表明、諮問案の議論を促した。会合終了後も委員の間から「釈然としない」との声が聞かれた。

 

 

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