農場合併が遅れる?
アグリビジネス・イグザミナー
2001年12月11日
ジャネット・クバット・ウィレット
訳 山田勝巳
農業経済専門家は、環境に関する懸念のため農業生産部門の集約が遅れると警告する。
アメリカ経済の他の分野では、統合が急速に進んでいる。ウェルズ・ファーゴ社の農業経済専門家マイケル・スワンソンは、ウォルマート(小売りマーケットチェーン)での競争力をつけるため、そして、止める者が一人も居ないため、全ての農場が大型化していると話す。
現在ウォルマートと関連企業、小売業合わせて2100万人が働いており、3−4年後には、連邦政府を上回る最大の従業員数を抱える企業になると予測されるとスワンソンはいう。どんな分野でも合併で利益を得るのは上位20%で、下位20%は事業から締め出されている。残り60%は上へ行ったり、下へ行ったりだという。
しかし、当局の制限によって無制限に大きくなることが抑制される。
「我々は、グローバル化と、金持ちがより金持ちになる資本主義とビジネスのせいで、世界の多くの国で嫌われている。」とバージニア工科大学の農業応用経済学教授ディビッド・コールは言う。
ヨーロッパでは、かつて市民が飢えたためばかりでなく、都市と農村の人口バランスを取るためと、都市に人口集中を防ぐために、小さな農場を大切にしている。また、小さな農場を残したいと望んでいる。
既にアメリカでは、農業生産が35の地域に集中しており、そこでの生産量は全国の70−80%に達している。だが、大量の農業統合は食糧供給の危機も高める。もし天候異変、病害虫の発生、生物テロが特定のパンかごに起これば食糧供給が途絶える。国として全部の卵を一つのカゴに入れるべきではないとコールは言う。
同様に「農民も南米の商業生産の噂を鵜呑みにすべきではない。」とスワンソンは言う。中国はもっと脅威だ。中国はアメリカと45−50%の収量差があるが、ブラジルやアルゼンチンよりも耕作面積は大きいし、この国は自給を目指しており、永続的な輸出国ではない。「中国の脅威は非常に大きい。」と、スワンソンはトマトやリンゴ、養殖魚、ニンニクなど中国産がアメリカ市場に拡がっている商品を挙げて言う。また、一方で、メキシコはアメリカの主要な貿易パートナーで、今後もメキシコは、この関係を大切すべきだと言う。