ネブラスカ大学
ネブラスカ州クレイ・センター発
ポピュラーな非選択性除草剤耐性に遺伝子を組み換えた大豆は在来品種よりも収量が劣る、とネブラスカ大学の研究者らが発表した。
ネブラスカ大学農業自然資源研究所の2年間にわたる研究は、ラウンドアップ・レデイー大豆が近縁在来種よりも6%以上収量が悪く、高収量の在来種と比べると11%以上悪い、という結果になった。
多くの広葉雑草除草剤は雑草と同時に大豆も枯らしてしまうので、除草は手の込んだ作業である。ラウンドアップ・レデイー大豆は、最もポピュラーなグリフォサート除草剤のラウンドアップ・ウルトラで処理しても大丈夫にする遺伝子を持っている。
ネブラスカ大学の研究者達はラウンドアップ・レデイー大豆の収量低下の原因が、除草剤散布によるものかそれとも遺伝子の挿入自体に原因があるのか、二つのうちのどちらかであることを知った。彼らの研究では除草剤の散布は無関係であった。研究者達は13のラウンドアップ・レデイー品種に3種類の物質、すなわちラウンドアップと除草剤の働きを強め除草を促す硫酸アンモニウム、そして水をそれぞれ散布した。ラウンドアップ・レデイー大豆の収量はどれも1エーカー当たり55ブッシェルで、ラウンドアップは大豆の生長や発育、収量には影響が無いことを示していた。
この研究では、すべての試験区画の雑草は従来通りの除草剤と手作業で除草した。ラウンドアップは使わなかった。高収量在来種の大豆は1エーカー当たり57.7ブッシェルで、その姉妹種は55ブッシェル、ラウンドアップ・レデイー品種は52ブッシェルであった。この研究はラウンドアップ・レデイー大豆の収量低下の原因はグリフォサート耐性大豆を作り出すために使われた遺伝子の挿入過程にあることを示している。この現象はyield
drag(収量低下)と呼ばれている。これはyield lag(収量遅延)と呼ばれる。
収量が悪く種の値段がかさんでも、農家は在来種同様ラウンドアップ・レデイー大豆も植え続けるだろう、とエルモア予想している。この研究は、農家が在来種を選ぶかそれともラウンドアップ耐性種を選ぶかを決める際の助けになるだろう、とエルモアは云う。ラウンドアップ・レデイー大豆の種は値段が高く収量も劣るが、農場から雑草を無くすことが出来る。他方、在来種は、収量は良く種も安いが、除草は複雑で多分手間もかかるだろう。ラウンドアップ・レデイー大豆は1996年に導入されて以来どんどん普及してきた。もし、除草が問題ならラウンドアップ・レデイー種の採用の方が良いオプションかもしれない。
ネブラスカ大学の研究は、この研究に助成金を出したネブラスカ大豆評議会と生産者の疑問に比較的速やかに科学的な回答を与えた。