モンサントの社長辞任:株下落
2002年12月19日
ノーフォーク・遺伝情報ネットワーク
訳 河田昌東
モンサントのメルトダウンはなおも続く。社長のヘンドリック・ベルヘイリー氏は業績悪化の責任をとり同社の社長を辞任し、同社に対する批判に応えて透明性と統合性を目指す新モンサント社になった。しかし、モンサントがこれまでやってきた秘密主義の汚いトリック操作は今後も継続するだろう。
1)モンサントの社長が辞任、株下落
2002年12月18日
AP/ロイター通信
セントルイス発
モンサントの社長で代表取締役のヘンドリック・ベルヘイリー氏が辞任し、農業製品企業での26年間の経歴を終えた。関係筋によれば、調査期間中は議長のフランク・アトリー三世が暫定的なCEOの役割をする。記者会見で辞任の理由は、はっきりとは言われなかった。しかし、同社は今年度の売上が大幅に下落したと報道されていた。同社のセントルイス本社の電話は不通。
2)モンサント社長ベルヘイリー氏が辞任
ジム・サルター
APビジネス・ライター
http://www.austin360.com/aas/business/ap/ap_story.html/Financial/AP.V9067.AP-Monsanto-CEO-Re.html
セントルイス発
モンサント社の社長で代表取締役のヘンドリック・A・ベルヘイリー氏が水曜日(18日)辞任した。過去二年間のバイテク、農業関連の財政悪化が理由。アナリストによれば、25年間もモンサントのために働いてきた56歳のCEOの突然の失脚はショックキングなことだという。「彼はもう会議場に歩きながら、バイ・・と言うこともないだろう。今シーズン(の業績)が良くなかったからといって指導者を首にする性質のものじゃない。彼に責任を負わせるたぐいのものじゃないのに・・・」とセントルイスのジュリー・ニーマンは言う。
モンサントの株は水曜日のニューヨーク株式市場が閉鎖する時点で、19.02ドルで5.89%、1.19ドル下落した。同社の株価は今年1月の36.35ドルから半分以上さがった。議長のフランク・アトリー三世が暫定CEOを務め、今後のための調査を行う、と同社は声明を発表した。あるスポークスマンによれば今後の調査のタイムテーブルもまだ決まっていない。
「モンサントの株主がヘンドリックの辞任を仕方がないことだと分かっているか知りたい。ヘンドリックと他の取締役は過去二年間の業績が失敗だという点で合意したのだ」とアトリーは述べた。アトリーは、ベルヘイリーの辞任決定に関して不適切なことは何も無かった、といった。
ベルヘイリーは2000年のファーマシア・アンド・アップジョン社との合併とその発表、それに続く今年はじめのファーマシアからの離脱を通じてモンサントを率いてきた。ベルヘイリーの辞任はモンサントの困難な財政年度の真っ最中に起こった。同社は世界最大の除草剤ラウンドアップのメーカーで、かつ遺伝子組換えによるラウンドアップ耐性と害虫耐性の種子のメーカーでもある。同社の種子には、綿、コーン、大豆、キャノーラ・ナタネなどがある。モンサントはまた、アズグロー社、ハーツ社、デカルプ社などの種子も生産している。
同社は4月に世界のいくつかの地域、特に東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド、北アメリカなどでの工場の統合により700名の解雇を発表した。同社は世界中で14600人の職員を抱える。今年度当初の9ヶ月間でモンサントは一株当たり6.67ドルに相当する17億5千万ドルを株下落で失った。一年前は、一株1.51ドル相当の上昇で3億9900万ドルの収益があったのに。9ヶ月間の売上は19%下落し、42億5千万ドルから34億5千万ドルに減った。
10月にモンサントは2002年度の全収益の予想を低く見積もり、アメリカでのラウンドアップ売上低下と経済が崩壊したアルゼンチンでの予想外の売上下落をその理由に挙げた。
「私が思うにはモンサントは南アメリカのバスケットに卵を沢山入れすぎたんだ。南アメリカは同社が予想して言っていたほど成長が大きな地域ではなさそうだ」というのはモーニング・スター紙のアナリスト、ダン・キンである。キンは、モンサントは遺伝子組換え種子テクノロジーでも十分な利益をあげることが出来なかったし、数百万人の人々が飢えている世界も救えなかった。もっとも、キムの言うには原因の一部は遺伝子組換え作物に対する反対もあったし、この議論に巻き込まれたくない政府の態度にも原因はあったのだが。「今はどん底だが、モンサントにはこれからシェアを伸ばし、かつてのように成長するチャンスは大いにある」とキンは付け加えた。