モンサントの新バイテク・コーンが認可
Yahoo News
2003年2月25日
カリ-・ギラム(ロイター、カンザスシテイ発)
訳 河田昌東
モンサント社はコーン・ルートワーム(訳注:Diabrotica・ウリハムシの一種、通称根きり虫)を退治する新しいバイテク・コーンの最終認可を受け取った、と火曜日(2月25日)に発表した。その種子は合衆国内でこの春の作付けに間に合うように販売されるだろうという。 モンサントと合衆国のコーン生産企業は双方ともこの認可がおりるのを切望していた。モンサントがバイテク作物事業の安定成長に新たな製品を付け加えたように見えるからである。 「これはモンサントにとって非常に重要な製品だ。」というのはモンサントのスポークスマン、ブリアン・ハーレーである。彼は除草剤事業における売上の落ち込みをバイテク種子で挽回しようと努力してきた。
イールドガード・ルートワーム・コーンと呼ばれるこの遺伝子組換えコーンは、コーンの収量を落とし、農家の収入減をもたらす厄介な根きり虫の幼虫を標的にする土壌バクテリアのタンパク質を含んでいる。このコーンは根きり虫に対して自然のままで根を守ることが出来る。合衆国農務省は根きり虫のためにコーン生産者は毎年約10億ドルの費用をかけていると推定している。「これは非常に良いニュースだ。これで我々の農民達は本当に助かるだろう」とカンザス・コーン生産者協会のスポークス・ウーマン、スー・シャルテは言った。
モンサントは根きり虫退治のバイテク・コーンを商品化した最初の会社である。ダウ・アグロサイエンス社は現在開発中である。この新しいバイテク・コーンはモンサントの種子関連会社からでも、ライセンスを取った別の会社からでも買うことが出来るだろう。今年度は100万エーカーを少し下回る程度分の種子しかないだろう。潜在的な推定マーケットで1200〜1500万エーカー以上が根きり虫用の殺虫剤が使われているのだが、とハーレーは言った。「この市場を長期間にわたり恐らく我々が握るのは間違いない。」と彼は言った。
モンサントは農家がこの害虫退治に年間費やす推定1.5〜2億ドルと競争できる値段をこの種子につけるだろう、とハーレーは言った。当初の販売は東部コロラドと西部カンザス、西部ネブラスカの各地域に重点的に行われるだろう。これらの地域ではこの害虫の問題が最も深刻だからだ。モンサントは2005年までには5~600万エーカーに供給出来るだけの種子生産を拡張したいと望んでいる。
公共の利益のための科学センター( the
Center for Science in the Public Interest)のバイテク・プロジェクト・デレクターであるグレゴリ-・ジェフは、この新しいバイテク・コーンが農家を助け殺虫剤の使用量を減らすだろう、といった。しかし、害虫が耐性を獲得するのを防ぐために、バイテク・コーンを作付けしない緩衝帯を20%置くよう規制当局(EPA:環境保護庁)が要求しているので、このメリットは長続きしないだろう、とも言った。「EPAはモンサントが提案した20%の緩衝帯に同意し、長期的な公衆の利益よりも短期的な利益を優先したのだ」とジェフは言う。害虫の耐性獲得を長期間にわたって少なくしようとすれば50%の緩衝帯が必要だと科学者らは言っている。「これは環境にとって巨大な利益があるので、この製品が成功するのを我々は期待している。しかし、社会としてはこれが安全に使われたときだけその価値を認めるだろう。我々の考えではこの20%緩衝帯は安全ではない」とジェフは言った。
これに対し、ハーレーによれば殺虫剤を有意に減らすには20%が重要なカギを握っている、と反論した。