モンサント一巻の終わり

ラウンドアップ抵抗性雑草がアメリカ農地の地価を脅かす

 

20021218

ngin bulletin archive

訳 鴨下顕彦

 

アメリカはラウンドアップで枯れないラウンドアップ・レッディ抵抗性雑草にやられている。ひそかに配布されているうちにGMウオッチ(GMWATCH)に見つけられた市場調査によると、ラウンドアップ・レッディ抵抗性が、アメリカ農地の経済価値を下げ始め、土地賃借料は17%低下した。調査された農場経営者の46%が、モンサントの除草剤ラウンドアップの有効成分であるグリホサートに対する抵抗性を抵抗性雑草の中で最大の心配事であるとした。報告書によると、グリホサート耐性雑草は、急速に、1つの作期の中だけでなく長期的な農地の価値に影響を与え得る問題となった。経済的に大きな影響を及ぼし、地主にとって大きな損失となるので、農場経営者と地主の双方が注意するべきだとしている。

 

モンサントのGM除草剤抵抗性の“ラウンドアップ・レッディ”作物のおかげで、グリホサートはアメリカで大々的に使用されている。しかし、雑草学者と地主たちは、グリホサート抵抗性の出現について懸念を深めている。グリホサート抵抗性のスギナモはデラウェア、テネシー、ケンタッキー、インディアナ、オハイオで発見されている。スギナモ(ヒメムカシヨモギ)は多果結実で種子は容易に風で運ばれ大きな問題となる。ほかにも、グリホサート耐性のライグラスがカリフォルニアで報告されている。アイオワとミズーリの雑草学者たちは、グリホサートにより耐性を示すフジバカマ類(waterhemp)の試験を始めている。イチビ(velvetleaf)、アメリカアサガオ(ivyleaf morningglory)、アカザ類(lambsquarter)がグリホサートで防除できないという苦情も出ている。

 

ラウンドアップを作物管理の簡略化の手段として促進してきたモンサントにとって最新の悪いニュースをもたらしたのは、その競争相手である世界最大のバイテク会社、シンジェンタ社である。シンジェンタ社は、PR会社であるGibbs&Soell社に市場研究調査を委託し、報告書を農家と地主とにひそやかに回覧していたのだ。農地のグリホサート抵抗性の集積を止めようとして、他の化学物質やRR作物を含まない輪作が使われ、ラウンドアップ抵抗性への懸念の波から利益を得られるとシンジェンタ社はもくろんだ。

 

しかしラウンドアップ・レッディ作物を使っているアメリカの農家は苦境に行き詰まるかもしれない。アイオワ州立大学のマイク・オーウェン氏のような雑草学者らによると、上記のような抵抗性への対処法は、少なくとも短期的に経済的に引き合うかは疑わしい。最近のセントルイスでの北中部雑草学会の会合でオーウェン氏は、生産者は他の農薬への余計な出費を避けようとしてグリホサートを使い続け、その結果抵抗性の出現により他の防除手段に転換せざるを得ないようになるであろう、と予想した。雑草学会の報告書は次のように結論している、“商品ルートに新しい効果の大きい化学物質がほとんどないのだから、グリホサートが効果を無くした場合、問題は転換できる別のプログラムがあるかどうかということだ。”

(“グリホサート抵抗性が雑草学会で大きな問題”、農場化学物質誌(Farm Chemicals)編集長マイク・ホルンバーグ、「成功する農場経営」誌(Successful Farming 2002126 http://www.biotech-info.net/dominating.html 参照)

 

以下はシンジェンタ社の報告書の結論である。

    特定の雑草抵抗性によって農場の賃借料が17%下がる。

    雑草抵抗性獲得の最大の心配事はRR作物のグリホサート抵抗性である。

    半分以上の農場経営者が、グリホサート抵抗性を、アトラジン、プルスイト、ALS除草剤、プロパニールへの雑草抵抗性よりも上位の心配事としている。

    専門の農場経営者の63%が、賃借料や農地評価を決める際に、今後グリホサート抵抗性の重要性が増すと予想している。“とうもろこしや大豆、綿花のRR技術の採用が増えていることを考慮すると、専門の農場経営者と田舎の土地評定者たちは、グリホサート抵抗性雑草は今後ますます重要になるだろう。全体として63%がもっと重要な問題になるだろうとしている“。

    専門の農場経営者の47%が雑草抵抗性に対処する管理を必要としている。将来54%にまで増えるであろう。

    専門の農場経営者の70%が、雑草抵抗性管理法を使用しているかどうかで小作人の選択にすでに影響が出ている、としている。

 

報告書は除草剤抵抗性が土地生産性への大きな問題となっている西オーストラリアをも調査している。調査結果を記述しているシンジェンタ社の10ページの白書はオンラインでPDF(アクロバットリーダー要)で見られる http://www.ecast.protusfax.com/redirector.asp

URL=http://www.syngentacropprotection-us.com/Resources/Prod/Touchdown/Land_Values.pdf または調査書のコピーをGibbs&Soell社のジェニファー・マックマヌス(jmcmanus@gibbs-soell.com)にメールで求められる。

 

 

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