モンサント、GM小麦認可に向けて前進
ウエスタンプロデューサー
イアン・ベル
2002年4月25日
訳 中田みち
モンサントはカナダ、アメリカ、日本でGM小麦品種の今年中の認可取得に向けて行動を開始しようとしている。
ラウンドアップ耐性品種はカナダの小麦市場を脅かすのではないかと懸念され、すでにカナダ西部で激しい議論の的となっている。しかしモンサントのスポークスパーソンによると、規制当局の認可を取ろうとしているからといって、必ずしもすぐにカナダのフィールドで商業的に栽培されるようになるわけではないという。トリッシュ・ジョーダンは、カナダでの認可取得には1年以上かかると見られること、またそれ以外にもモンサントとしてラウンドアップ耐性小麦を農家に向けて発売するまでに解決しなくてはならないことがあるという。GM小麦が市場で受け入れられるようにすること、また流通過程で組み換え体を他の作物からどのように分別管理するのかなどがそれにあたり、これらの問題について同社では対策を講じている最中だとジョーダンは言う。「私達はパイプラインを進んではいるけれど、まだまだやらなければならないことがたくさんあります。」
連邦政府は新たな品種を認可するかどうか決定する際に、市場が受け入れるかどうかは重視しない。プレイリー農場グループやカナダ小麦協会(Canadian wheat Board)は、品種登録過程においてこの基準が欠如していることを懸念している。彼らはこのラウンドアップ耐性小麦がカナダにとって重要な小麦市場にダメージを与えるのではないかと心配している。小麦協会によると、彼らの顧客の3分の2以上がGM小麦を断固として拒否しているという。
穀物産業はモンサントとともに、GM小麦によって発生するマーケティング、分別流通技術等の問題、すなわち分別管理の費用や適正な混入の許容量についても検討中である。しかしながら穀物業界が提案する制限が政治的に影響力をもつためには、法的規制になる必要があると小麦協会の市場開発部長、ゴード・フレイトンは言う。市場の受け入れを処理するひとつの選択肢は、農業者を巻き込んだ産業委員会かもしれないという。その機関が潜在的な市場への影響を調査し、政府に対して提案をしてくことが可能ではないかというのである。「いつが世界にとってGM小麦を受け入れる用意ができた時なのか、モンサントに決めさせてはいけません。」フレイトンは言う。
アメリカの農業雑誌では「GM小麦の発売計画は予定通り進んでいる。」とするモンサントのスポークスパーソンのコメントが紹介された。マーク・バッキンガムはファームジャーナルに、発売時期は2003年から2005年の間であると語った。一方ジョーダンは先週、モンサントはラウンドアップ耐性小麦を農家が商業栽培することを可能にする時期について、決定していないと言っている。同社は必要なら、2005年以降になることも覚悟していると彼女は言う。
ラウンドアップ耐性菜種はすでにカナダ西部で幅広く受け入れられている。除草剤耐性作物は生産者がグリフォサート主成分のラウンドアップを用いることによって、幅広い雑草を制御することが可能になる。
マニトバ州ケーンのビル・トウズのような生産者は、栽培学的な問題もラウンドアップ耐性小麦の解禁を前に解決しておくべきだという。もしもラウンドアップに耐性を持つ2種類の作物、たとえば菜種と小麦を栽培する農家がいた場合、もうひとつ別の作物を栽培する必要があるかもしれない。次の作物の播種前の野焼きで、除草剤耐性作物をいったん焼き払う必要があるためだ。このような問題があるために、耕地を保全する方法で耕作を行っている生産者は、雑草を抑制する手ごろな手段として除草剤耐性作物の代わりに耕運を増やすなどの手段を選ぶかもしれない。とトウズは言う。このことは土壌や水分の維持にも重要な意味合いを持つ。「カナダのシステムにラウンドアップ耐性小麦を受け入れるには、越えなければならないハードルがたくさんあるんだ。モンサントの人たちもそれを認めていると思う。」トウズは言う。