唖然! モンサント隔離圃場見学

2003年8月1日

山田勝巳

 

本日モンサントの茨城県河内村にある研究所の「隔離」圃場見学が催された。「隔離」と言えば周辺が森で山奥の印象を受けるが、ここは周りが畑や田圃のど真ん中。隔離と称して周囲に渡してあるのは5cmメッシュの1.8m高のフェンスのみ。 しかも、今回花粉飛散で問題の大豆に花が咲いているだけではなく、穂をつけたコーンまで植わっている。これが最先端バイオ圃場の隔離の現状。それも農水省の隔離圃場としての要件を満たしていると言うのだ。

モンサントの社員八名と見学者二十五名だったが、約束は二十名だったはずと五名超過していることに対して抗議を受けモンサント側の警戒しているのが伝わってきた。隔離圃場の広さは8700uで半分が大豆、半分がコーンで大豆はデモンストレーション用と交雑試験、GMコーンは高リシンの環境影響調査用と言っていた。飼料添加物として使われるリシン生成遺伝子をコーンに組み込んだと言う。大豆の交雑試験には、日本で一般に栽培している「たまほまれ」、「丹波黒」、「納豆小粒」等が植わっていた。モンサントの隔離圃場でこれらを見るとみんなGM大豆に見えるが、これらはGMではないという。

 

隔離フェンスは花粉の飛散防止では全く無く、外部からの侵入を防ぐ為のもので、大豆の部分には5cmメッシュで1.8m高のフェンス、トウモロコシは2.7m高の暴風ネットがあるのみ。周辺の農場にはフェンス西側約5mのところに在来の大豆が、同じく南側5-6mのところにスィートコーンが植わっていた。

 

病原菌を無差別に撒くことをバイオテロと言うが、GM花粉を無差別に撒き散らすのはGM花粉テロとでもいうべきか。もし、アメリカがバイオテロを予防する立場であれば、モンサントを総攻撃してテロ根絶の為社員全員収監、全世界の作物を全て焼き捨て更地にしてしまうだろう。この隔離圃場はまさに外部からの侵入を防いでGM花粉テロをする為の要塞ともいえる。

 

モンサントの案内担当の女性は、内部から土などが靴に付着して漏れ出ない様にするため、用意された長靴に替えるか靴カバーを使うようにと言ったが、花粉はお構いなしだ。服に付くなり風で飛んで行くなり全く考慮されていない。本来ならクリーンルームのように服を防塵着に着替えてエアシャワーをかけて出入りを管理すべきものだ。

 

GMコーンについては高リシン・コーンを日本へ輸入する為の環境影響調査だというがその内容も評価法も分からないが、その過程で花粉を飛散しても良い内容になっているようだ。モンサントの言いなりになっている農水省の管理体制の杜撰さが問題なのだろうか。

 

隔離圃場は、すべからく病原菌と同じように扱い外部からの侵入だけでなく内部からの漏洩も厳重に防ぐ隔離で無ければ意味がない。早急に業務改善命令等でコーンの花粉が飛散しない為の処置をすべきだ。また、大豆の交雑試験についても、モンサントの一方的試験ではなく、独立した第三者が厳正に行なうべきだ。現状では安全性審査データと同じように企業の御都合データをそのまま採用するはめになることは間違いない。

 

このようなデタラメな「隔離圃場」をGMに反対する我々にも堂々と見せていること自体、それを監督する農水の認識がひどくずれている事を示している。全国でこのような基準のもとに隔離されていることを思うと......唖然。

 

GMコーンの花粉飛散防止は、緊急で対策をしなければならない。環境影響調査の内容と隔離の定義を「遺伝子散逸の防止」を前提にした違反罰則付きのものに変更すべきだ。取りあえず即刻改善命令を出す必要がある。

 

 

ゆっくり、ゆったり、ゆたかに、ゆかいに

山田自然農園

 

 

戻るTOPへ