「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準案等に関する意見交換会」
案件1.遺伝子組換え(種子植物)の安全性評価基準案
http://www8.cao.go.jp/shokuhin/iken-bosyu/pc_idensi1204-betten1.pdf
案件2.遺伝子組換え植物の掛け合わせについての安全性評価案
http://www8.cao.go.jp/shokuhin/iken-bosyu/pc_idensi1204-betten2.pdf
意見陳述申込書 河田昌東 名古屋大学理学部
案件1. 遺伝子組換え(種子植物)の安全性評価基準案について |
過去の基準と比べ一定の改善が見られ評価出来る。例えば組換えによる非意図的な変化による影響の評価の必要性を認めたこと、組換えDNAの生産物の安全性だけでなく、組換えDNA技術そのものに起因する健康影響の評価も行うとした点、組み換え体の栽培様式変化に伴う残留農薬など間接的な影響評価の必要性を認めたことなどである。しかし、他方でますます安全性に対する懸念が広がっている「抗生物質耐性遺伝子の利用」に対しては従来と変わらず、この点はより厳しい規制を設けるべきである。基準案では抗生物質耐性遺伝子が作るタンパク質の量や消化安定性のみを問題にしているが、今問題にすべきは抗生物質耐性遺伝子の水平伝達による体内での耐性菌生成の危険性である。また、遺伝子産物の成分・構造分析の基準もあいまいである。今後登場が予想される、花粉症緩和米、ワクチン生産用作物など第2世代遺伝子組換え体についての安全性評価が欠落している。 |
案件2. 遺伝子組換え植物の掛け合わせについての安全性評価の考え方について |
リスクレベルに応じた整理を行い分かりやすくなった。宿主の代謝に影響を与える可能性がある場合は安全評価が必要という考えは評価できる。しかし、実際にどんな代謝に影響があるかは代謝マップ上で理論的に推定し、特定の代謝産物の濃度を検出する以外方法はない。だが代謝マップでは考えられない変更がありうる。害虫抵抗性コーンでリグニン濃度が有意に(130〜200%)上昇している例がある。たまたま危険物ではないが、こうした意図しない代謝変更にどう対応するかがあいまいである。GM同士の交配種DNAの安定性も親GM植物同様、6〜7世代までの安定性を確認すべきである。(案)ではGM遺伝子の不安定性がもっぱら欠損や発現抑制により無害化の方向に向かうがごとく述べられているが、発現抑制の原因であるDNAのメチル化の特異性(遺伝子レベル)は必ずしも確認されておらず、他の宿主遺伝子の意図しない発現抑制や発現上昇もありうる。 |