血液によってvCJDが伝染する
英国医学ジャーナル(BMJ)
2000年5月6日
ロジャー・ドブソン、アバーガベニー
訳 山田勝巳
症状の出ていない人からの輸血によってvCJD(新変異型クロイツフェルトヤコブ病)が移る可能性があると研究者が警告した。しかし英国の保健局とイングランド及びウェールズ国立血液サービスによると、血液によってvCJDが移るという証拠はなにもないという。 全血は英国では現在使われて居らず、白血球除去工程で白血球がないので理論上のリスクがあるということだという。
ニューベリーとエジンバラの動物保健研究所の研究者達は新たな研究(ランセット2000;356:955-9)の一環としてBSEに感染した牛の脳を食べた羊の血液を採取した。症状が出る前の19頭の羊から採血し、これをニュージーランドからの健康な羊に輸血したところ610日後にその中の1頭がBSEの兆候を見せ始めた。他の羊は元気であったが、感染した羊よりも後から輸血していると報告されている。
「BSE感染実験で、症状の出ていない別の羊から取った全血を輸血することでBSEを移すことが可能なことを示した。英国で献血された血漿を、血液製剤に使うのは中止されており、現在はBSEやCJDの発生が非常に少ない国からの血漿で作られている。」とある。 全血は現在英国では輸血に使われていない。
保健省は、生後11ヶ月の赤ちゃんが母親から胎児の時に感染して後にvCJDで死亡したというのは「推測」であるとしている。
オーストラリアの赤十字は、厚生大臣が推定30,000人からの献血を禁止する勧告を受け入れた場合の緊急対応策を準備している。 これらの人は、英国に1980−90年代始めに6ヶ月以上滞在したことのある人達が含まれる。アメリカ、カナダ、ニュージーランド政府は既に同様の禁止令を出している。