平成16年6月29日

農林水産技術会議事務局技術安全課

 

原材料用輸入セイヨウナタネのこぼれ落ち実態調査

 1.調査の趣旨

国内での栽培を目的としない、食用・飼料等の原材料用として外国から輸入する遺伝子組換え作物であっても、例えば陸揚げ地から加工場までの輸送過程でこぼれ落ち等による環境中への逸出が想定されるため、「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」(以下「指針」という。)では、一定の画された区域で試験的な栽培を行い、我が国の環境中で生育した場合の特性を把握した上で、遺伝子組換え作物を原材料用として輸入する場合の安全性を確認してきたところである。

 

また、平成16年2月からは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)が施行され、拡散防止措置を執らずに遺伝子組換え作物を使用する場合には、同法に基づき生物多様性影響評価を行った上で、農林水産大臣・環境大臣の承認を受けることとなっている。この中で遺伝子組換え作物を原材料用として輸入する場合についても、これまで同様、我が国の環境中で生育した場合の特性を把握した上で原材料用輸入の場合の生物多様性影響を評価することとしている。

 

本調査は、カルタヘナ法の検討過程での、原材料用として輸入する遺伝子組換え作物の生物多様性影響評価のあり方の検討に資する観点から、原材料用として輸入する作物の環境中への逸出の実態について調査したものである。

 

2.調査の概要

(1)調査対象

1) 我が国に原材料として大量に輸入され、肥培管理が行われなくとも道路沿い、空き地等で生育が可能であるセイヨウナタネを対象とした。なお、トウモロコシ、ダイズについては、高度な栽培管理を要し、道路沿い等の環境では生育が難しいことから調査対象としなかった。

 

2) セイヨウナタネの主要な輸入港であり、その立地環境から茨城県鹿島港周辺を対象とした。

 

(2)調査期間

平成14年5月〜平成16年3月

 

(3)調査実施機関

(財)自然環境研究センター、独立行政法人農業技術研究機構(現在、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構)、独立行政法人食品総合研究所

 

(4)調査結果(総括表は別紙1[PDF]、調査地点の位置は別紙2[PDF]、調査の詳細は別添資料[PDF]参照)

1) 鹿島港のナタネの陸揚げ地点を中心におおよそ半径5kmを調査対象地域とし、調査対象地域内の交通量の多い交差点など13カ所を調査地点として、各調査地点に長さ50m×歩道全幅の調査枠を3〜5カ所、合計48カ所の調査枠を設定した。

 

平成14年5月に、セイヨウナタネの生育を調査したところ、48調査枠中25調査枠でセイヨウナタネの生育が確認された。

 

なお、平成15年2月に、平成14年5月に設定した調査枠と同じ46調査枠(平成14年5月の48調査枠のうち2調査枠は工事のため調査不能)及び新たに設定した2調査枠を調査した。その結果、平成14年5月に設定した調査枠と同じ46調査枠については、平成14年5月にセイヨウナタネが確認された24調査枠のうち17調査枠でセイヨウナタネが確認された。また、平成14年5月にはセイヨウナタネの生育は確認されなかったが、平成15年2月の調査でその生育が確認された調査枠が4調査枠あった。このほか、平成15年2月に新たに設定した2調査枠においてもセイヨウナタネの生育が確認されたことから、平成15年2月では48調査枠のうち23調査枠でセイヨウナタネの生育が確認された。

 

2) 平成14年5月に生育が確認されたセイヨウナタネが、輸入由来であるか否かを判定するため、種子20点及び植物体7点を採取し、種子成分分析(鹿島港周辺では栽培されていない、いわゆる”カノーラ”型(エルシン酸が含まれず、かつグルコシノレート含有量が低い)であるか否か)と遺伝子分析(組換え体に導入されている遺伝子が検出されるか否か)を行った。

 

その結果、種子20点のうち種子成分分析ができた16点中15点が、いわゆる”カノーラ”型であり、かつ、種子20点中6点、植物体7点中2点は組換え体に導入されている遺伝子が検出されたことから、原材料用として輸入されたセイヨウナタネがこぼれ落ちにより環境中へ逸出したことが確認された。

 

なお、環境中に逸出した原材料用輸入セイヨウナタネが世代交代している可能性が示唆されたが、一方、新たなこぼれ落ちによる種子供給があることも考えられ、セイヨウナタネが世代交代しているかどうかは確定できなかった。

 

3) 本調査の結果、ナタネ陸揚げ地点周辺において、原材料用として輸入されたセイヨウナタネの生育が確認されたことから、遺伝子組換え作物を原材料用として輸入する場合についても、これまで同様、我が国の環境中で生育した場合の特性を把握した上で生物多様性影響を評価することとしたことは適切であると確認された。

 

 

 

戻るTOPへ