2005年4月15日
ニッポン消費者新聞
米国
遺伝子組換え作物汚染拡大
医薬・工業品向け野外実験
米国の市民団体「パブリック・インタレスト・リサーチ・グループ」(U.S.PIRG)は4月12日、医薬品や化学物質(工業薬品)の生産を目的とした遺伝子組換え(GM)作物による環境汚染が深刻化しているとの報告書を発表した。産業用GM作物を野外実験するための2004年の申請書は前年に比べ倍増している。
U.S.PIRGは「米国科学アカデミー(NAS)から非難された規制を米農務省(USDA)は未だ改善しようとしていない。今回の分析で、ゴム印を押すかのように十分に考えもせずに申請を承認、環境に与える影響について正確なデータの収集さえ怠っている」と批判した。
「高まる危険―米国でのGM作物野外実験―」と題する報告書は、GM作物実験場の飛散による健康と環境のリスクに焦点を当てている。その概要によると、2005年1月時点で14の州と地域がGM作物を野外で実験。ハワイ州の栽培面積が最も大きかった。
USDAはこれまで商業栽培について、コーン、ダイズ、ポテト、トマト、小麦、西洋芝、アルファルファ、ビート、コメの十作物を承認しているが、2003年と2004年に初めて、栗の実、楡(ニレ)、アボガド、バナナ、ユーカリ、マリゴールド、ベニバナ、モロコシ、サトウダイコンの野外実験を認めた。そのうち約7割が、「企業機密情報」に該当。地域住民は、実験についての情報を一切入手できなかった。
U.S.PIRGは、独立機関による安全性審査、消費者の選択の自由を保障するための表示、有害情報に関する企業による説明責任の明確化を実現するまでGM作物栽培の凍結を改めて求めている。