アイルランドに未承認GMトウモロコシBt10汚染飼料が入港 廃棄処分へ
05.5.26
欧州委員会の25日の発表によると、シンジェンタ社が米国で4年間にわたり販売、およそ150平方qで栽培されたとされる未承認遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・Bt10に汚染されたコーングルテンを含む船荷が24日に到着したと、アイルランド当局から通報を受けた(European Commission,Bt10: Ireland notifies contaminated consignment stopped in port;http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/05/608&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en)。アイルランド当局はこの貨物が飼料チェーンに入らないようにするために必要な措置を取っている。これは、Bt10を含む製品の輸入を防止するためのEUの措置の採択(⇒EU、Bt10トウモロコシ問題で米国からのコーン・グルテン等の事実上の輸入停止を決定,05.4.1)以後にEUに到着した汚染貨物の最初のケースで、取られた措置が機能していることを示すものという。
この措置が取られて以来、米国からのコーグルテン飼料と醸造用穀粒の貨物は、製品がBt10を含まないことを証明する承認された試験所による分析報告を付したものだけがEUに入ることができる。5月15日、アイルランド当局は、Bt10を含むコーングルテンの荷が5月24日にアイルランドに到着したことを、食品飼料迅速警報システム(RASFF)を通じて欧州委員会とEU各国に通報した。アイルランド当局は、船の入港に先立ち輸入業者から通報を受け、汚染飼料が飼料チェーンに入らないこと、それが廃棄処分されることを確保するために必要な措置を取っている。汚染飼料は、アイルランド当局の監督下で処分されることになる。
EUが緊急措置を決めた後、シンジェンタ社はBt10を検出する方法を提出、4月28日にEUのGMO基準試験所である欧州委員会の共同研究センター(JRC)がこれを承認した(JRC評価報告⇒http://gmo-crl.jrc.it/detectionmethods/Bt10%20validation%20report.pdf、評価方法詳細⇒http://gmo-crl.jrc.it/detectionmethods/Bt10%20Detection%20Protocol.pdf)。欧州委員会は、アイルランドでの今回の発見は、船がEUに向かっているときに検査結果が利用できるようになった結果と言う。現在までに、コーングルテンと醸造用穀粒の290の検査が米国で実施され、そのうちの289の検査の結果は陰性だという。
船には分離された5つの船倉があり、一つの船倉には大豆殻のペレットがあるのみで、トウモロコシはなかった。残る4つの船倉のうちの3つにはコーングルテン飼料と蒸留用乾燥穀粒があったが、いずれもBt10は検出されなかった。第4の船倉にはコーングルテン飼料の分けられた二つの荷があり、その一つ(2,546トン)が陽性反応を示した。
汚染物質は陸揚げされ、処分に関する決定が出るまで専用倉庫に拘留される。アイルランド当局は、船荷の他のすべての飼料に関するリスク評価を行うつもりという。この評価には、当局によるさらなるサンプル採取と検査の結果の検討、船積み港に関する情報の検討が含まれ、評価結果が出るまで、この船荷のすべての飼料物質は当局により拘留される。このリスク評価が満足な結果を得て完了すれば、検査で陰性だったコーングルテンと蒸留用乾燥穀粒を市場に出すことができるという。
わが国の農水省・厚労省は、検査の準備が出来次第、輸入時検査を行うと言い、厚労省は、Bt10が混入していることが判明した場合には、食品衛生法に違反するものとして積戻し等の措置を取ると言っていたが、検査の準備が出来たのかどうかについてさえ未だに発表がない。
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