インターネットでバイオ医薬植物栽培の仲介(抄訳)

 

エドモンズ研究所 

2003年2月12日 

連絡先: Beth Burrows

訳 山田勝巳

 

公益非営利のバイオセーフティで知られるエドモンズ研究所が、今日インターネット上で人里離れた場所で医薬植物を栽培する農家を探していると警告した。 「組み換え豚が許可無く市場に出され、実験作物が150エーカーのコーンや50万ブッシェルの大豆を汚染し、人間の消費に認められていない組み換えコーンが世界中に出回るなど人や環境の健康がいわゆる医薬植物で脅かされいて、厳密な科学的なメスを入れなければならない時に、インターネットでこれの栽培契約者を探すという事態が発生している。」と警告するのはエドモンズ研究所の所長で理事長述べス・バローズ。

 

バローズが言うのは「バイオ医薬植物栽培(biopharming)」のことで食用作物で医薬品や工業化学成分を生産するもの。 「ウェブ仲介者は、企業に対し、『貴社の作物を隔離された場所で安全契約栽培出来る者(リスト中の栽培者)がいれば連絡されたし』と誘い、農民向けには『うってつけの場所と最高の条件を備えている圃場には、医薬企業に対し一般作物の場合より最大20倍の借料を払うようにさせることが可能。』と誘っている。

 

この記事は、「ヨーロッパに本拠を置く地球的プロジェクト(global project)で、安全にバイオ医薬品、生分解性プラスチック、新ポリマーを非食用GM分子作物(molecular crops)を生産できる様にする」のが目的だという。 この中で、「分子作物(molecular crops)を温室内や孤立した所や、人里離れた所、類縁作物と離れた」所で栽培のできる農家には、「交雑と環境リスクはある」が「将来の巨大産業」が見込めると言っている。 

 

既に「数名のインド農家」が登録しており<http://www.molecularfarming.com> で「未来の可能性を追求」するよう促している。 バローズは、「人里離れた所で栽培したからといって危険性が少なくなることを意味しない」といっている。

 

ニューデリーの食料システム分析家でジャーナリストのデビンダー・シャーマも同じ記事を見て以下のコメントをしている。 「このウェブサイトによると、2002年の2月に広告を出して以来、医薬作物栽培を希望する農家がカナダ、アイルランド、オーストラリア、アルゼンチン、米国内12州、スコットランド、英国、ジンバブエ、ニュージーランド、インド、パキスタン、韓国、ギリシャ、トルコ、パナマ、ルーマニア、ナイジェリア、南アフリカで見つかっている。また、バルト海諸島の農民団体、ギニアでは147,000エーカーが可能と連絡が入っている。」と書いている。

 

このウェブサイトは、確かに「魅力ある契約内容」を提示してはいるが、「注意して読むと安全問題がたくさんあることに気付く」とバローズはいう。 ここで言っている解決策は、良く言って希望的解決策だ。 「保護する」といっているが保護するのは遺伝子流出に対してが殆どである上、問題はこれだけではない。

 

FDAが最近出した人畜利用目的の遺伝子操作植物由来の医薬、生物製剤、医療用具の産業ガイドライン(Guidance for Industry regarding Drugs, Biologicas and Medical Devices Derived from Bioengineered Plants for Use in Humans and Animals)では、「種子や植物の移動、栽培、収穫、加工、精製、梱包、保管、廃棄を含む製造の全工程で起こりうる環境影響を考慮する」よう勧告している。

 

「この作物を取り扱うことに伴うリスク以外に、輸送中や加工中に起こる事故についてはどうなるのか。人里離れた所にあるこの新規な作物を子供が取って食べた場合の責任はどうするのか。 人里離れた所の農家にこの作物の持つ問題や取り扱いを全て知らせるということを誰が確認するのか、そして、誰がこれらの辺鄙なところの農民がその指示に従うようにさせるのか。 注目に値するのは、”あなたの土地は公的賠償責任保険に入っていますか?”と農民に聞いていることだ。」とバローズは言う。

 

このウェブサイトには、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、中国語、韓国語、日本語の訳があるが、正確ではないことを認めている。 「何が正確に説明されていないのか、ヒンディー語、パーシ語、アラビア語、スワヒリ語を話す農民はどうするのか。 誰がこの契約の意味することを説明するのか。 何も知らない農民が偶然このサイトを見つけてもそのトリックを分かるだろうか。」とバローズは訝る。

 

デビンダ・シャーマは、更に警告する。「市民社会は、この生態系の危険に目覚めるべき時だ。 西洋人が家も裏庭もきれいに掃除して、我々をゴミ捨て場にさせるわけには行かない。」と。

 

連絡先:email: beb@igc.org, website: <http://www.edmonds-institute.org>

 Beth Burrows - 425-775-5383

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Dr. Devinda Sharma 農業専門家、ジャーナリスト(インド) 91 (11) 5250494,

email: <dsharma@ndf.vsnl.net.in>

Dr. Norman Ellstrand,カリフォルニア大学 リバーサイド- 遺伝子流出専門遺伝学教授 - 909-787-4194

Dr. Michael Hansen, 消費者連盟政策研究所 政策と研究- 914-378-2452

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PMP(植物性酸医薬品)の開発、試験、商業化については、工場施設内で生産される従来の医薬品同様法的規制と賠償責任に関する明確な制度がなければならない。 それまでは、試行錯誤の余地はまったく無いので、いかなる新規の圃場試験も商業化もUSDAは許可すべきではない。」とUS食品製造組合はFDAに正式文書を2月6日に出している。

 

 

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