ストップ組み換え栽培!NEWS 11
2003年8月15日
『遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワーク』
滋賀県中主町のGMダイズの続報
●キャンペーンの天笠さんも早速動いてくださっています。滋賀や大阪のみなさんと現地集会を開催する準備をしてくださっています。
●滋賀環境生協の藤井絢子さんも、実家に戻られていたようですが、すぐに動いてくださり、滋賀県職員の自宅と連絡を取り合いながら、「GM大豆事件」として県職員も15日から動きはじめたようです。おそらく藤井さんを通して国松知事にも連絡されていることでしょう。
●先日来ずっと私たちと農水との交渉に丁寧につきあって下さった国会議員北川れん子さんも翌14日から仲間の滋賀県県議さんにも連絡を入れてくれて、動いてくださっています。
●千葉の山田さんが現地各方面にあたってくださった様子では、中主町の農政課では「実験的に栽培しているというのは聞いている」という返事で、昨年も栽培地だったのかもしれませんね。一昨年の9ヶ所、昨年の6ヶ所は、要するにバイオ作物懇話会の会員であるということなので、再度すべて特定しておかないと、今後ナタネやイネや小麦がいつ作られてもおかしくないということなのでしょう。 茨城も下館の生産者や谷和原にいる「かくれバイオ作物懇会員」も早く特定して、監視しておかなければ来年またやられるということになりかねません。
山田さんによれば、近畿農政局は「国が安全性に関して消費者の不安があって積極的ではないので、県のほうとしても国に沿った方向だと思う」、という返事だったとのこと。農水省は常にこうして「消費者の不安」を持ち出して逃げ、先日の農水斎藤京子技術安全課長のように「安全なのに消費者は安心していない」という言い方で、PAの必要性に持って行くだけだ。彼らの頭の中には本当に消費者の安全だとか、生物の多様性の実際の意味だとか、現場の人の気持ちなどまったく頭にない。
わたしたちは「消費者は不安」を声を大大にして言う必要がある。今に至っては「不安と不信」も加えるべきで、何が「BSEを教訓にして消費者の信頼性を回復する」かだ。生産者は「いらない」「必要ない」をみんなで大きな声にする必要がある。こうしてゆく中で、「誰が必要としているのか」がはっきりしてくるはずです。
●安田節子さんからは、栽培者の「田中よしたか」氏は、中主町議会議員で、農業の株式会社「グリーンちゅうず」の社長である 田中良隆氏ではないかとの情報も頂きました。
■農水省は、先日13日の協議の中でバイオ作物懇話会に対しての評価について重大な発言(本音としての公式見解)をしました。 「バイオ作物懇話会がやっているのはPA(パブリック・アクセプタンス)のひとつと認識している。実際に作ってみて、こういうもので、安全で素晴らしいものだということを実物で示して農家の方や国民にわかってもらうことが大切だ」と。 これだけ「交雑」の話しを積み上げてきて、怒鳴られても結論がこれなのだから、彼らはまったく国民とリスクコミュニケーションを図る意志などない。
■滋賀県の仲間の教訓になればと、茨城での経過と基本的な事項について、以下関係者に送りました。
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経過と基本的な事項を以下まとめて報告します。参考になれば。
【除草剤グリホサート耐性遺伝子組み換え大豆(系統40-3-2)について】
1.申請者:日本モンサント株式会社
2.計画名:除草剤グリホサートの影響を受けない組み換え大豆栽培
3.利用区分:開放系利用
4.組み換え体
(1)作成方法:「パーティクルガン法」
※鉄砲玉のように遺伝子を物理的に打ち込む方法で、どこに遺伝子が組み込まれるかも偶然で、確かに組み込まれたかさえわからないので、目的遺伝子にマーカー遺伝子として抗生物質耐性遺伝子をくっつけて打ち込み、あとから抗生物質に漬けて生き残っている細胞がうまく組み込まれた細胞であることがわかり、この細胞を増殖させる。
従って、最後までこの抗生物質耐性の遺伝子による蛋白質が作物にまで発現する。
※この組み換え大豆系統40-3-2は、承認のあとから、DNAの中に見たことがない塩基配列が発見されて、再審査となっています。これは上記のような鉄砲のように遺伝子を打ち込む時に、ある部位のDNAの破片が飛び散って、違うところに再置換されて組み込まれたためにおきた「今まで見たことがない塩基配列」としてこの組み換え大豆のDNAに定着してしまったものと判明した。しかし、なぜかこの塩基断片はタンパク質をコードしておらず、新たなタンパク質はできていいないとして再認可された経緯のある大豆です。
上記のように、これは科学的というより、かなりいい加減なアバウトな「技術」です。「実質的同等性」なる安全性基準はこうした技術的な基準でしかありません。こうして人為的・物理的に組み込まれた遺伝子断片は入れやすい代わりに、はずれやすく、容易に遺伝子がはずれて、他の植物や微生物に移転伝搬(接合・形質導入・形質転換)してゆきます。
但し、目的遺伝子にプロモーターをくっつけて発現しやすいように人為的に操作していますので、発現力は強力です。回腸を切り取った人の腸内細菌にこの遺伝子が伝搬していることや、土壌細菌への伝搬、除草剤耐性のスーパー雑草が数年の間にすでに現れた事実などは、それを証明しています。
(2)性質
1)宿主:マメ科Glysine属ダイズ(Glycine.max)栽培種
2)主な供与DNA:グリホサート耐性遺伝子 CP4
EPSPS (系統40-3-2)
5.利用内容:加工原材料として外国より輸入、及び育種素材としての利用
6.国内における安全性確認の状況
1996年 環境安全性(栽培)評価 承認
2001年 食品安全性評価 承認
2003年 飼料安全性評価 承認
(というのを農水省は出してきているのだが、別の資料平成15年5月23日付けの技術会議資料「遺伝子組み換え植物(GMO)の安全性確認状況」の一覧表では、この系統40-3-2の大豆の安全性が確認された年は下記のようになっている)
閉鎖系温室実験による安全性確認 USA
非閉鎖系温室実験による安全性確認 1994年
隔離ほ場試験による安全性確認 1995年
一般ほ場試験による安全性確認 1996年
輸入目的の安全性 1996年
食品衛生法にもとづく安全性確認 2001年
飼料安全性にもとづく安全性確認 1996年
【認可の手順】
■実験段階の「閉鎖系温室」「非閉鎖系温室」は文部科学省による「NDA実験指針」による試験の評価。上記、組み換えダイズの「閉鎖系温室での安全性評価試験」はアメリカで行われたものを元に承認している1994年に「非閉鎖系温室」の試験が文部科学省により認められた。
■「隔離圃場試験」および「一般開放系栽培」の承認は農林水産省技術会議に移管し、「農林水産分野等における組み換え体の利用のための指針」に適合しているかどうかを審査して承認。
この系統40-3-2の組み換えダイズの一般圃場での栽培の認可は1996年となっている。
【国内での一般ほ場での栽培の動き】
「バイオ作物懇話会」なる任意団体がモンサント社と契約を結んで一昨年2001年より一般圃場で栽培を開始これを農林水産省の外郭団体の「農林水産先端技術振興センター」(通称STAFF)がバックアップ
2001年に全国で9ヶ所
2002年に全国で6ヶ所
昨年までは、モンサントとバイオ作物懇話会との契約が「花が咲く前に鋤込む」「種は取らない」ことが条件で、組み換え体の種を無償で供与していた。その理由を彼らは昨年は「日本では消費者が不安を持っていて、交雑したらDNA検査でモンサントのものだとすぐにわかってしまうから」という言い方をしていて、「種の管理もかなり厳密にモンサントから管理されるのだ」と長友自身も言っていた。
しかし、「種は栽培者に取らせない」というモンサントの言い方は、「特許」の問題にからんでいて、シュマイザー事件のベースになっていることを伺わせていた。ところが今年2003年は、昨年までの様子を伺いながら、モンサント・バイオ作物懇話会は「枝豆まで取る」「二次雑草(除草剤耐性のスーパー雑草が出てくるかどうか)の様子まで調べる」ということを主張しだした。
■昨年2002年11月21付けで農水省は「安全性が確認された組み換え大豆を栽培する場合の留意点について」(14農会第997号)をモンサント社ならびに各農政局に通知。
要点は、
@組み換え大豆が、今後農家等が試験的に導入し、一般ほ場で栽培されることも想定されます。
Aこの場合、食品、飼料、環境に対する安全性の観点からは、栽培することに何ら問題はありません。
Bしかしながら、我が国の国産大豆については組み換え大豆でないことが販売戦略になっており、生産者団体も組み換え大豆は一切取り扱わない方針となっています。
Cこういった中で、一般ほ場で栽培される以上、万が一でも周辺の非組み換え大豆との交雑や収穫物の混入といったことが起これば、生産・流通上の混乱を招かないとも限りません。
D従って(開発者のモンサント社に対して)
●当該栽培農家等に対して、栽培に当たっては事前に周辺地域、住民の理解を十分に得るとともに、栽培地が属する都道府県の大豆の生産流通担当部局、JA等の関係者に、事前の栽培に関する情報提供が必要であることを周知徹底すること。
●また、生産・流通上の混乱を招かないための交雑・混入防止等の措置について十分に徹底していただけますようお願いする。
(各農政局および管内都道府県に対しては)
●管内における組み換え大豆の一般ほ場栽培に関しては、日頃から情報収集に努められるように
●情報があった場合には、その栽培者に対し、事前に周辺地域、住民の理解を十分に得ること、生産・流通上の混乱を招かないための交雑・混入防止等の措置を行うことを徹底して頂きたい
●必要に応じて、状況確認を行って頂きたい。
以上を通知した。
この通知の性格は、農水省によれば、モンサントに対してはあくまで「お願い」の文書。各農政局・都道府県に対しては通知と。お願いなので義務はないとする。
推進派はこの農水省通達は、バイオ作物の国内栽培に農水が圧力をかけたとしている。
この通知によって、実質的には都道府県への報告や、周辺住民への理解等が課せられ、やりにくくなって、今年は当初は茨城県谷和原村だけしか作付けできない事態になっていた。
従って、現時点では
@県農産課や町役場(農産課?)へ事前報告があったか (彼らは農業改良普及センターを県の出先機関とする)
A周辺地域、住民の十分な理解を得ているか、
農地の「バイオ作物懇話会」への栽培権移転は農業委員会を通っているか?
B生産流通上の混乱を招かない交雑防止措置等を取っているか
等の確認が先になる。
【大豆の交雑について】
農水省は「閉花受粉で開花した時点ですでに受粉しており、自家受粉率が高く、虫媒花だが媒介昆虫がいなければ、これまでの試験データでは75cmで自然交雑率0.06%という報告があり、交雑率は極めて低い」バイオ作物懇話会長友は「大豆は自家受粉で、交雑しないことが科学的に証明されている」モンサントは「60cmは離せば交雑しない」
などと言っているが、
@虫媒花で、ミツバチでさえ行動半径は2kmとされ、養蜂業界によれば、外国では大豆のハチミツもある。また女王蜂用のプロポリスのために花粉を意識的に集める習性もある。
A植物の進化の過程で受粉率の向上に向けた受粉方法の進化は、他家受粉から自家受粉へ連続的な進化過程で、他家・自家・風媒・虫媒という受粉形態に明確な区分はなく、自然の中ではその複合的な方法で受粉している。
B国内の交雑防止のための基準としては、日本の「種苗法」第5条第1項の規定にもとづく野菜の指定種苗の基準では、えだまめの種苗の純度確保のためには、開花期に母本が父本以外の交雑花粉源から10m以上隔離することとなっている(農水省による)
C海外での遺伝子組み換え大豆を限定的圃場試験する際に交雑防止のための最小隔離距離はカナダで10m、アメリカで0m(但し物理的混入を防ぐのに必要な距離は必要)となっている(農水省提出資料による)
【茨城県での経過】
栽培者は一度も県に報告に行っていない。
そのかわり「農林水産先端技術振興センター」(通称STAFF)が茨城県の農産課を訪問し、その際に下館市(しもだて)での栽培の話しがあったが、県は納豆小粒の産地であることからとんでもない、交雑が起きたらどうするかと猛烈に反発。結局地主もめんどくさくなって断念し他方、谷和原村での栽培は、すでに種を播いた後の報告だったため、STAFFの理事の「今年も開花前に刈り取るだろう」という発言から、県は交雑前に措置されると判断して黙認。
ところが、私たちが「花が咲き始めた!」と騒ぎ出し、「すぐに約束どおり刈り取れ」と要求しだしたところから、バイオ作物懇話会長友代表は「そんな約束はしていない。今年は枝豆までやる」との回答で、STAFFも「そんなことは言った覚えはない。県は誤解している」などと逃げ、農水もお願いであって指導はできないと逃げ、現地にて交渉がおこなわれ決裂状態の中で、7/26日農民・生協職員・市民の手によって鋤込まれた。
警察は不法侵入・器物損壊の事件として扱い、我々も一通り事情聴取を受けて来た。
私たち(遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワーク)は、花粉の飛散防止措置を行った旨の声明を出し、この事態に至った責任の所在を明らかにし、社会的責任を全うする旨の宣言を行い、農水省の放置責任を追及し、警察に対して農水省の行政としての無作為責任、外郭団体STAFFの無責任、モンサントとバイオ作物懇話会そして地主への金の流れ、農地法違反を捜査するよう要求。
以後、数度にわたって農水省と交渉。
さらに茨城県河内村にあるモンサント隔離試験ほ場への視察、ずざんな管理状態、農水省の監督責任を追及してきた。
7/26茨城で鋤込まれたことを受けて、バイオ作物懇話会代表長友は、急遽、滋賀県、岐阜県での播種に走った。中部農政局と岐阜県は、地主栽培者に対して「ここでは作ってもらってはこまる」旨の指導をした様子で、すでに播種したものを、この畑(水田転作?)に水を入れて、種を腐らせる措置をしたとのこと。
【関係連絡先】
【バイオ作物懇話会】
代表:長友勝利 自宅:〒880-0035 宮崎県宮崎市下北方町高下6122
tel/fax:0985-27-1600 携帯:090-2633-3360
会員数:自称「全国で700名」
【農水省担当部局】
■農林水産技術会議事務局 技術安全課 課 長 斎藤京子 (元消費生活課?)
課長補佐 飯田健雄
tel/03-3502-8111(内線5091) 直通 03-3501-3780 fax/03-3502-4028
東京都千代田区霞ケ関1丁目2番1号
■消費・安全局 農産安全管理課 課 長 小栗邦夫
課長補佐 福嶋正人
※この部署がカルタヘナ関連省令、施行細則を作る部署
tel/03-3502-8111(内線3119) 直通 03-3502-5968 fax/03-3580-8592
■生産局 農産振興課 課長補佐(豆類班担当) 真鍋郁夫
※この部署が大豆生産振興をする部署なのだが、組み換え大豆も暗黙推進する
tel/03-3502-8111(内線3533) 直通 03-3591-8733 fax/03-3502-0869
以上の3つの部署が担当して、バイオ作物懇話会長友・STAFF刈谷・モンサントと連携しながら、組み換え作物の国内栽培国内汚染をすすめようとしている。
【農林水産先端技術振興センター】・・・農水の天下り先 モンサントとの共同研究
責任者:刈谷照男(参与)
〒107−0052 東京都港区赤坂1丁目9番13号
三会堂ビル7F
電 話 : 03−3586−8644 FAX : 03−3586−8277
【日本モンサント株式会社】
窓口は、パブリック・アファアーズ部 バイオ作物情報室
室長 坂本智美
tel/03-6226-6083(直通)、fax/03-3546-6191
東京都中央区銀座4-10-10 銀座山王ビル8F
【国内汚染が目的】
■組み換え大豆の国内栽培の目的は、「日本の在来大豆を組み換え遺伝子汚染させること」
この組み換え大豆系統40-3-2は、「搾油用の大豆」に除草剤耐性遺伝子を組み込んだもので、これを母系としている。通常、本当に日本で栽培をさせようとするならば、日本の在来種(たとえばタチナガハ)を父系に持ってきて掛け合わせたものを導入するはずだが、モンサントも農水STAFF幹部も、「お金をかけてそんなことをするつもりはない。日本などは大豆はもうほとんど栽培されてない。日本で組み換え大豆を導入しても農薬が売れるようになるわけではない。儲からない。市場としてのターゲットは中国だ」と昨年来言っている。
国内栽培するつもりのない日本で、こうまでして栽培をしようとする目的は、国内の消費者・生産者が「遺伝子組み換え」への深い違和感をもっており、実質的に障壁となっていることから、日本の大豆を交雑・汚染させてしまえば、もうこんなことは言っていられないし、事実上国内大豆は壊滅し、安い外国の組み換え大豆を輸入せざるを得ない事態を引き起こそうとしているとしか考えられない。
組み換え大豆の国内栽培を禁止したブラジルで、金の力で生産者に違法栽培させて、国内汚染を引き起こさせて、栽培禁止を骨抜きにしたモンサントのやり方と同様のやり方を、この日本でもすすめようとしている。
この時期に国内大豆を汚染させてしまおうとばかり。
■しかし、数年後の国内での組み換え大豆栽培のための事前実地調査という見方もできる。
この間、有機農業のリーダー、魚住さんに教わったことは、大豆というのは日本原産のような作物で、日本の各地でその気候風土に応じて在来の膨大な多様性があるとのこと。丹波黒豆やだだちゃ豆を茨城で栽培しようとしてもできなかったり、納豆小粒を隣の栃木へ持っていっても上手に作れないという。同じ品種の中でも早生から晩生まで播種する時期がそれぞれ違っていたり、受粉の時期に必ず夕立や雨がないとだめでそれから逆算して播種期が代々決まっている等々、種と同時にこの種はいつどのように作るかまでのノウハウが各地の風土と長い人の歴史の中で育まれ、豊かな多様性と地域特性をもったものだという。
魚住さんは当初から、モンサントはそれを知っていて、今はまだ母系の組み換え体が搾油用のもので、父系もアメリカ大陸の北から南までの各緯度に対応した父系をかけあわせて、日本の緯度に対応した父系のものを日本の九州から北海道までに植え付けてみて、品種の日本の風土への適応性を見るのではないかと言っていた。となると、父系にどの日本の在来種をかけあわせるかも調査対象になっているかもしれない。
さらに日本の気候風土の中でいつが播種時期に適しているかを見るために、各地に早くから遅くまで撒いて実がなるかどうかも調べて、日本でも播種時期を確定したいのかもしれないとも言っていた。
■生物多様性条約カルタヘナ議定書の国内法施行前に強行しておきたい意向がある
今国会で承認されたカルタヘナ議定書関連法案の施行が来年1月に迫っている。この関連法案が施行されると、栽培が承認されたものでも、「第一種使用」であれ、もう一度書類を整えて関係大臣に申請して承認を受けなければならなくなる。
アメリカ産の大豆が、日本の気候風土の中での品種特性や、播種時期、結実、除草剤ラウンドアップ(グリホサート)を撒いたあとで二次雑草(ラウンドアップ耐性のスーパー雑草)が生えて来るか等を勝手に自由に確かめるられるのは今年がチャンスとばかり。彼らも粘っている。
■農水省はカルタへナ議定書の影響範囲を「野生種」の枠に押し込め、農業分野での日本人が古くから大事に育て守ってきた在来種への汚染については、議定書の範囲外、農業のことは農水省がやると言って、環境省からの規制をブロックしようとしている。
【カルタヘナ議定書関連法案国会承認での衆参両院の「付帯決議」】(参考までに)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
1.遺伝子組み換え生物等による生物多様性影響については未解明な部分が多いことから、科学的知見の充実を急ぐとともに、「リオ宣言」第15原則に規定する予防的な取り組み方法に従って、本法に基づく施策の実施に当たること。
2.遺伝子組み換え生物等による生物多様性影響の防止に万全を期するため、環境省のリーダーシップの下、関係省庁間の十分な連携を図るとともに、本法実施に係る人員・予算の確保等必要な体制の整備に努めること。
3.遺伝子組み換え生物等に対する国民の懸念が増大していることにかんがみ、「基本的事項」を定めるにあたっては、広く国民の意見を求め、その結果を十分に反映させるとともに、国民に分かりやすい内容のものとすること。また、「基本事項」の策定後においても、十分な情報公開の下、国民とのリスクコミュニケーションを積極的に推進すること。
4.「生物多様性影響評価書」の信頼性を確保するため、評価手法・基準等を定めるに当たっては、国民のコンセンサスを十分に得るため、広く意見を求めること。また、評価後におけるモニタリングの実施とその結果の情報開示が図られるようにすること。
5.遺伝子組み換え生物等の第一種使用等の承認に当たっては、関係する国際機関における検討や諸外国の研究成果等を踏まえつつ、学識経験者の意見を尊重し、客観的な評価の下に行うこと。
6.遺伝子組み換え食品の安全性に対する消費者の不安が大きいことから、その安全性評価を行うに当たっては、科学的知見を踏まえ慎重を期するとともに、表示義務の対象、表示のあり方、方法についても検討を行うこと。
7.遺伝子組み換え生物とともに移入種による生物多様性影響が懸念されていることから、移入種に係る法制度を早急に整備すること。
8.国際的な生物多様性の確保を図るため、生物多様性条約、カルタヘナ議定書を締結していない米国等に対し、あらゆる機会を利用して同条約、同議定書に参加するよう積極的に働きかけること。
右決議する。
以上、経過と基本事項についての第一情報です。