ヒトCYP2B6遺伝子を含むコメは様々な除草剤を解毒する

http://pubs.acs.org/cgi-bin/abstract.cgi/jafcau/2005/53/i09/abs/jf050064z.html

J. Agric. Food Chem., 53 (9), 3461 -3467, 2005.

(アメリカ化学会機関誌:農業及び食品化学:53巻(No9)頁3461〜3467. 2005年)

 

広瀬咲子、*川東広幸、小沢憲二郎、塩田憲明、乾 秀之、大川秀郎 、大川安信

(独)農業生物資源研究所、植物バイオテクノロジー部門(筑波)

神戸大学環境ジェノミクス研究センター(神戸)

 

訳 河田昌東

 

要旨:

生体異物である化学物質を不活性化するサイトクロームP450モノオキシゲナーゼという人間の(酵素の)遺伝子CYP2B6が、アグロバクテリウム法でコメ(日本晴れ)に導入された。CYP2B6(CYP2B6コメ)を発現している第一世代(R1)の遺伝子組換えコメの種子を発芽させると、5モルのメトラクロールに高い耐性を示した。メトラクロールはCYP2B6で分解される発芽前施用除草剤である。炭-14で標識したメトラクロールを培養後に薄層クロマトグラフィーで調べると、植物組織中とCYP2B6コメの培養液中の残存メトラクロール量は、非組換え日本晴れのそれより速やかに減少していた。 CYP2B6コメは試した17種類の除草剤のうち13種類の存在下でも成長することが出来た。その中には、5種類のクロロアセトアミド、メフェナセト、ピリブチカルプ、アミプロフォスメチル、トリフルラリン、ペンディメタリン、ノルフルラゾン、クロロトルロンがある。 これらの除草剤は作用機作と化学構造がそれぞれ異なる。生体異物分解ヒトCYP2B6を発現している遺伝子組換えコメは、広範な基質特異性を備え、除草剤耐性イネの開発だけでなく、農薬の環境インパクトを減らすにも良いはずである。

 

 

 

戻るTOPへ