ジンバブエが組換え遺伝子で汚染したアメリカの食糧援助を拒否
フィラデルフィア・インクワイアー紙
アンドリュー・メイクス記者
南アフリカ・ヨハネスブルグ発
02年6月2日
訳 河田昌東
ジンバブエはアメリカの食糧援助申し入れにノーと言い、遺伝子組換えを含んでいるとしてコーンの輸出は拒否された。
三百万人のジンバブエの人々は食糧危機に直面しているが、同国は先月アメリカからの1万トンの食糧援助の申し出を拒否した。理由はそのコーンが組換え遺伝子を含んでいるからである。
アメリカ政府はジンバブエが拒否した後、それを飢餓に苦しんでいる別の南アフリカの国へのギフトに差し替えた。アメリカ政府はGMOと非GMOの分別をしていない。ジンバブエのアメリカ・コーン受け入れの不同意は、南アフリカの切迫した食糧危機に対する人道的計画への不愉快な挑戦である。南アフリカの6カ国では1900万人が旱魃と食糧供給計画の失敗から飢餓に瀕している。すばらしい農業生産を誇るアメリカは、必要な国々に食糧を配給する国連食糧計画への巨大な提供者である。しかし、アメリカの穀物は南アフリカで最も食糧が不足しているジンバブエには向かない、というのだ。ジンバブエの当局者はアメリカ政府が、その食糧が安全だと証明すれば自ら試験せずに受け入れるに吝かでない、といっている。
国連代表のアフリカ人当局者と提供国の特使は今週ヨハネスブルグで会合し、どうやって生産国からの食糧を数ヶ月以内に配分するか決める予定である。 「我々はGMOがどうこう言っているのではない、その食糧が安全基準を満たしていればいいのです。私達はこの議論から抜け出そうと努力しています」というのは世界食糧計画の女性広報官ブレンダ・バートンである。
ジンバブエの近隣諸国はアメリカのコーンの分け前をできるだけ沢山受け取りたいと願っている。「もしジンバブエがそれを欲しくないなら受け入れたい人々は沢山いる」とマラウイのケア・インターナショナル代表ニック・オズボーンは言う。マラウイの人道援助担当者は、旱魃で2度目の不作により9月までには厳しい食糧不足がやってくると予想している。ジンバブエへの食糧輸入は一般的には問題ではない。というのはジンバブエの農家は通常余分に農産物を作るからだ。しかし、同国の1200万人の人々は激しい旱魃と、政府に後押しされた兵士らによる略奪による数千人の白人農家の農地放棄、さらには政府による備蓄穀物の売却、により今年3度目の強力な打撃をこうむっている。
結果
ジンバブエは今年平年の4分の1しかコーンを生産できないと予測されていて、160万トンの輸入が必要である。コーンは南アフリカの人々の主要な農業生産物である。マラウイのような貧困国では田舎の人々の食糧の70%はコーンである。
ジンバブエは2年前に遺伝子組換えを制限したが、理由は国内の商業農家を保護するためである。ジンバブエはビーフとダチョウをヨーロッパに輸出している。ヨーロッパの消費者は非遺伝子組換え飼料で飼育した家畜の肉を要求している。政府による多くの白人農場の接収でジンバブエの農業セクターが動揺し、同国は昨年ヨーロッパへの肉の輸出を停止した。「ヨーロッパ人はGMOに関して全く偏執狂的で、我々は市場を守れるかどうか心配だ。しかし、それは全て学問的な問題だ」というのはジンバブエの牛生産協会の理事長ポール・ホットマンである。 ジンバブエの商業農家は家畜飼料の値段の急騰に直面しており、政府に遺伝子組換え穀物の規制を緩めるように要望している。組換えコーンは通常耐病性や旱魃耐性に作られている。
政府は援助された遺伝子組換えコーンがジンバブエ国内で再び栽培されることを懸念している。そうなればテストされないコーンが非可逆的に広がってしまうからだ。
「規制を延長しようというのはたやすいことではない。何故なら我々は食糧危機に面しているからだ。」と言うのはジンバブエのバイオ安全研究委員会のアビサ・マーファである。
しかし、ジンバブエ政府は遺伝子組換え食糧を国民に食べさせようとしている。今年、同国は遺伝子組換えかどうか未確認のコーン粉とコーン・大豆混合紛を約43トン、2750万ドルでアメリカから輸入することで合意していた。ジンバブエはコーン粉とコーン・大豆混合粉は、加工済みで国内栽培される恐れが無いので受け入れる、といっている。しかし、供給国は製粉したコーンにかぎるというジンバブエの要求は未加工のコーン粒より高くつくので受け入れられないのだ、とマーファはいう。
ジンバブエは、国内栽培が出来ないように、コーン粒が同国に入ってすぐ製粉する条件でアメリカのコーン粒を受け入れざるを得ないだろう。家畜飼料生産者のド’ホットマンは、コーンが輸入されても、その大半は種子としては使われないだろう、という。「人々は飢えている。飢えていればそれを植えるよりも食べてしまう方を選ぶだろう」
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