GM種子汚染拡大に警告

政府の科学者に対する迫害の調査を

 

ザ・ガーデイアン(UK)

ポール・ブラウン(環境通信員)

20003年7月26日

訳 河田昌東

 

政府のGM試験栽培で、自分の土地に遺伝子組み換えナタネを植えた農家の人たちが、汚染の恐れがあるので、この秋には同じ土地に在来種のナタネを植えないようにと警告している。 環境省は昨日、GM混入が多すぎて国内で販売できない作物を農家が栽培するのを止めるようにと警告を発した。文書の中で、同省は以前考えていたよりもはるかに多くのGM種子が土壌に残留していることが研究の結果わかった、といった。環境大臣エリオット・モーレーは次のように言った。「GM試験栽培で土地に残った種子が発芽し、次期収穫物がGMに関する新たなEU基準値を超える恐れがある」

地球の友のピート・リリーは「これはGM作物が引き起こす新たなダメージの証拠だ。政府が国内で商業栽培を認可すべきでない、という理由になる」と言った。一方、土壌協会は首相に対し、政府の専門家パネルの誰がGM作物の脅威に責任があるのか調査するよう要求する文書を送った。

 

科学とリスクの専門家、アンドリュー・スターリンクは、彼がGM技術に批判的だったという理由で予算を削除され、専門家としての立場を傷つけられたと批判している。彼は政府の専門家パネルのチーフであるデービッド・キング卿に対し、正式の抗議文を出した。デービッド卿は彼に対する迫害は嘆かわしいことだ、と述べてこの事実を公表した。スターリンク博士が彼に対する迫害について出した異議申し立ての手紙は、研究の自由を抑圧する危険があると明記して、委員会の議事録と共に公表する予定であった。しかし、貿易産業省がこの手紙(の公表)は迫害した人物を特定しかねない上、抗議行動を誘発する恐れがある、として異議を唱えたのだった。スターリンク博士はこの迫害が政府の専門家パネルのメンバーによるものではない、と明らかにしている。スターリンク博士は、サセックス大学の科学政策研究グループで働いているが、昨日は休日であることを理由に彼を迫害した人物の名前を特定することは拒否したが、彼に不当な圧力がかかった事実は明らかにすべきだ、と主張している。同委員会の彼の同僚もこれには賛成している。

先回の委員会の議事録によれば、デイビド卿がこの委員会の成功は、メンバーの研究と専門的な立場、資金に対してそれを損なうような秘密工作がなく、メンバーが誠意をもって貢献できるかどうかに基本的にかかっている、とし「そうした恐れが積もれば、オープンな議論や合理的な議論、重要な批判が出来なくなる恐れがある。結局、特権的なアカデミズム内部や規制当局の人間によるそのような行動は、科学のアドバイス・システムに対する信頼と適切な機能を危うくする重大な脅威をもたらす。専門家パネルはこのことを強く支持する」と述べたという。

専門家パネルはGM作物の科学的研究をレビューし、スターリンク博士に対する迫害には言及せずに先週月曜日に報告書を出した。委員会のメンバーの一人、有機農業専門家のカルロ・ラインヘルト教授は委員会を辞任したがその理由は明らかにされていない。

 

 

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