遺伝子組換えで作り出された種子は、収穫後15年間土壌を汚染する

http://www.organicconsumers.org/ge/soilpollute100105.cfm

 

有機消費者協会
記者発表 2005年9月30日

翻訳 房谷まひる

 

 遺伝子組換え(以下GM)ナタネは、栽培後、以前考えられたよりも長い15年の間、非GM作物を汚染するかもしれないという事が、新たな調査でわかった。これはGM作物を商業化する計画、及びGM作物と非GM作物を栽培する為の共存のルールを紹介するEUの計画を大幅に遅らせる事を示す。

 

 この調査は、ナタネの種子が収穫の際にこぼれ落ちた後、どれくらいの期間土壌で生き残り、その後発芽するのかを見た。以前はGMナタネの種子は土壌に10年間存続すると考えられていた。しかしながらイギリスとスコットランド内5ヶ所における新たな調査は、こぼれた種子20粒のうち1粒は土壌で9年間生き残り、そのうち1%は、収穫されてから15年後に発芽可能だという事を予測する。研究者は通常のナタネの播種の割合が1平方メートル当り100粒なのに比べ、あるものは1平方メートル当たり10,000粒 (平均3,575粒)の種子を落とすという事を発見した。

 

 研究者達は以下の結論を下した。

 

 たとえ収穫時にこぼれた1平方メートル当り平均3,575粒の種子95%が失われたとしてもまだ1平方メートル当り200粒近くの種子が取り残されるだろう。このような数から除草剤耐性作物を収穫して、9年後に蒔かれたアブラナ作物の中に1平方メートル当り2株以上のGM植物が自生植物として存在する可能性が非常に高い。たとえ次に植える作物が“通常のもの”(GMでない)としてもこの自生密度はEUの非GM作物における偶発的なGM種子の存在の許容範囲である0.9%を上回るだろう。

 

 EC(ヨーロッパ委員会)の共存指針は、非GM作物における0.9%を上回る汚染を防ぐ為の措置を要求している。しかしながら0.9%という高い敷居を採用すべきであるというECのアドヴァイスは、“根本的に無理がある”“法律上正しくない”という一流の勅撰弁護士によって異義申し立てられている。

 

 実際1平方メートル当り2株というのは約2%の汚染という事になる。15年後に1平方メートル当り1株というのは、まだ0.9%の許容範囲に違反する事を意味する。

 

 これらの結果は、農場規模の評価によって分った、GM除草剤耐性作物による野生生物への有害な影響は少なくとも2年間は続く事を示している、という今週のDEFRAによる新しい結果の発表に続くものである。

 

 GM凍結を批判して、Pete Rileyは次のように語った。

 

 これらの調査結果は、長期にわたる汚染問題なしにGMナタネを栽培する事は不可能であろうという事を示す。共存の概念は、夢の国の事のように思える。農民達は自分が栽培した非GM作物の中にどの程度GMが含まれているのか、予測できないだろう。彼らの土地は、以前の所有者が育てたGM作物によって、15年若しくはそれ以上の間だめになるだろう。

 政府は農民がイギリスのスーパーマーケットや食品及び動物用飼料の製造者に彼らが要求するGMフリーの生産物を供給し続ける事ができるように、イギリス国内における全てのGMナタネ実験の終わりをすぐに宣言すべきである。

 

Notes:
1.Lutman PJW et al , 2005. Persistence of seeds from crops of conventional and herbicide tolerant oilseed rape (Brassica napus). Proc.R.Soc B (2005) 272, 1909-1915 22nd September 2005.

2. The research was part of the BRIGHT project, published in 2004, which investigated the environmental and agronomic impacts of herbicide tolerant crops in typical arable rotations.

3. Scientific Committee on Plants SCP/GMO-SEED-CONT/002-Final 13th March 2001 Opinion of the Scientific Committee on plants concerning the adventitious presence of GM seeds in conventional seeds.

4. 2003/556/EC dated 23 July 2003, Commission Recommendation on guidelines for the development of national strategies and best practices to ensure the coexistence of genetically modified crops with conventional and organic farming

5 Legal opinion by Paul Lasok QC for The Five Year Freeze, Friends of the Earth, Which?, GeneWatch UK, The Soil Association and Greenpeace January 2005. For summary see http://www.foe.co.uk/resource/briefing_notes/summary_of_legal_opinion_o.pdf

6. The full report http://www.journals.royalsoc.ac.uk. and further information visit
http://defra.gov.uk/environment/gm/research/epg-cpec28.htm

 

 

 

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