GM殺虫作物で繁殖する標的害虫ー新たな研究で明らかに
ジョフリー・リーン
インディペンダント(UK)
2003年3月30日
訳 山田勝巳
昆虫を殺すために組換えた作物が実際には育んでいることが新たな研究で明らかになった。
この研究は、GMの主要なメリットの一つを否定するもので、GMに強く反対している人たちにさえも驚きをもって受け取られている。 これまで考えられていた以上に有機農業にとって脅威であることが示唆されている。 農業遺伝子工学で主流をなす殺虫作物の中核部分に打撃を与えるものだ。
有機農業でも殺虫剤として広く使われている自然なBt菌の遺伝子を組み込んだ作物は、1996年に400万エーカーだったのが2000年には1億エーカーと25倍に急速に広がり、2010年には世界市場で250億ドルに達すると見られている。
害虫が抵抗性を持つという問題が既に出ている。 環境運動家は、植物体によって常に毒に曝されているために時々散布されるよりも急速に抵抗力をつけるといっている。
ロンドン王立大学とベネズエラのカラカスにあるシモン・ロドリゲス大学の今回の研究では、害虫が毒を利用でき殺虫植物は労せずに害虫制御をするのではなく、実際には養うことになっているという皮肉な事態になっていることを警告している。
研究者は、南部アメリカと熱帯地方で問題になってきているコナガの幼虫に普通のキャベツとBt毒キャベツを与えたところ、Bt毒キャベツを食べた幼虫が56%も早く大きくなった。 幼虫が毒を『消化し利用できる』ことを発見し「補助食品として」使っているのではないか、そしてGM作物の毒が害虫のために『栄養バランスを整えた』可能性があると見られている。 『Bt組み換え作物は、予測していなかった栄養効果があり、耐性のある害虫の適応力を増進している』と結論している。
地球の友の食品キャンペーン担当ピート・ライリィは、『これも、まさにGM作物の予測しなかった有害な影響の良い例だ。もし、地球の友が殺虫作物は害虫をより大きく健康にする可能性があるといったら笑いものになっただろう。 害虫抵抗性GM作物が持続性農業に関係があるという業界の主張を全く否定するものだ。』と話す。
土壌協会理事のパトリック・ホールデンは、この研究は「こまで考えられていた以上に有機農業にとって脅威である」ことを示しているという。 有機農業で時々使われるBt殺虫剤に抵抗力ができるだけでも問題なのに、害虫がこれを『高たんぱく食』として利用するとなれば問題は更に深刻だ。