遺伝子組換えパパイヤはハワイで多くの問題を起こしている
有機消費者協会OCA
Hawaii Island Journal
2003年4月1日
アラン・D、マックネリー
訳 河田昌東
「作物をウイルスから守れば地域を災難から救うと知ってあなたは驚きますか?」という書き出して昨年のナショナル・ジオグラフィック誌は始まっている。この広告はハワイのパパイヤに関するもので、パパイヤ・リングスポット・ウイルスのタンパク質を含む遺伝子組換えパパイヤで救われた、と主張している。「この健康的な植物はハワイの農業社会を守っただけでなく、パパイヤの生産量も上げた。そしてこれは植物のバイオテクノロジーがいずれ増加しつつある世界の人口を支えるまさに一つの例だ」とバイオテクノロジー情報センターの広告は主張している。
この遺伝子組換えパパイヤを作ったチームのリーダー、デニス・ゴンサルベスは最近、ハワイのパパイヤをリングスポット病による大災害からパパイヤ産業を救い4700万ドル守った、として名誉あるアレクサンダー・フォン・フンボルト賞をもらった、とコーネル大学の新聞発表は報じている。彼はこれまでアメリカ農務省のニューパシフィック・ベーズン農業調査センターを率いる人として知られてきた。その第一ビルは1800万ドルかけて作られ、12月にはハワイ大学英雄研究公園として画期的なものになるはずである。
しかし、ハワイのパパイヤ産業の心臓部にあたる南部プナでは農民達はそれほど病気から助けられた、という実感がない。カナダは最近遺伝子組換えパパイヤ販売に市場を開いたが、世界の多くの国々、特に儲け頭の日本は未だに認可していない。農家はこの遺伝子組換えフルーツの値段が暴落して文句を言っている。多くは廃業したり、他の作物に切り替えた者もいる。そして二つの遺伝子組換え品種「サンアップ」と「レインボー」がウイルス退治をした反面、農家はブラックスポット・カビとの戦いという新たな災難に見舞われている。このカビは在来種のパパイヤよりも組換えパパイヤの方が被害を受けやすいからだ。そして、新たな研究からこの新パパイヤは人間にアレルギーを起こすかもしれない、という問題を起こしている。
ハワイ郡のウエブ・サイトは次のように述べている。この島は州のパパイヤ生産の96%をまかなっているが、現在は年間のフルーツ収入が2000万ポンドしかない。これはコーネルの新聞発表の4700万ポンドという主張の半分以下でしかない。ハワイ・パパイヤ産業協会会長のデラン・ペリーによれば「今年は4000万ポンド以下しか期待できないと思う。実際生産のピークは80年代の始めで、約7000万ポンドもあった。ウイルスがでる前の90年代初めには5000万ポンドしかなかった。」従って、今までのところゴンザルベスと彼のチームが最低限言えるのは、パパイヤ産業の一部分を救った、ということでしかない。またパパイヤ産業は近隣の人々から農薬散布や安全でない作業に関する不満にも直面している。急速に広がっている反対運動はパパイヤ産業が工業生産的になることを批判している。
奇跡と化け物
遺伝子組換え作物はまだ一般的に同意された開発成果ではない。しばしば「遺伝子操作された(GE)」とか「遺伝的に改変された(GM)」などと呼ばれる。専門的に関わっている農学者達は「組換え遺伝子の」という言葉を好んで使う。しかし、そうした作物は、実際は全て同じものを指す。即ち、他の生物の遺伝子を人工的に作物のDNAに移植することである。
その結果は、印刷技術やコンピューター・ネットワークの進歩同様潜在的に強力な革命である。これらの革命と同様、遺伝子組換え技術も情報にアクセスし、加工し、伝達する技術である。しかも、遺伝子組換えは恐らく地球上の生命の最も本質的な情報を取り扱う。即ち、細胞に含まれ、その機能や同一性を決定している情報である。他の強力な道具と同様、遺伝子操作も潜在的に巨大な利点と大きな危険性の両方を併せ持つ。それは病気や先天異常を防ぎ、作物の収量を上げ、大きな富を作りだすことが出来る。それは又、文字通りの化け物を作り出すことも、生命を脅かすアレルギーを拡散したり、遺伝子の特許で世界の食糧供給を少数の強力な大企業の支配下におくことも可能である。
昨年2月、コナ地区では2週間立て続けに二つの集会が行われた。最初は、2月8日土曜日にカイルア・コナで開かれたが、それはハワイ・マノア大学が主催しスポンサーだった。同大学は遺伝子テクノロジーの将来にとって大きな貢献をする開発をし、遺伝子組換えパパイヤを開発しただけでなく、そこの研究者らはクローニング技術でも基本特許を取得している。 その一週間後、遺伝子技術の急激な広がりに反対するために、地域の活動家らが三日間のワークショップを開いた。その後数週間の間に、急激に成長しつつある少なくとも二つの反GMグループが生まれた。南部コナ地区にセンターがあるがハワイ州横断の組織、ハワイ遺伝子操作アクション・ネットワーク(HI GEAN)とまだ名前がないがプナ地域のフォーラムである。この二つは毎週GEと関連の集会をカラパナ近くの有機農場で開いている。
推進派と反対派の両方とも、互いに全く無関心ではない。組換えパパイヤの開発者の一人であるリチャード・マンシャルドがハワイ大学の会議に出席するためにコナにやってきたとき、彼は会議の後HI GEANの活動家ナンシー・レッドフェザーの家に立ち寄った。彼はまたHI GEANに対し、パパイヤが組換え遺伝子を持っているかどうか農民が自分でチェック出来る新たなテスト・サンプルを与えた。彼は意図に反してプナの反GE運動の活性化を助けたかもしれない。
悪い場所の種
農家の一人にジョン・カバリーがいる。「私は生まれてこのかたずっとそうしてきたんだ。土地を耕し農薬も使わなかった」と彼は言った。彼の農場は大半のパパイヤ・プランテーションに見られるような巨大で整然とした畑とは様相が異なる。ここのパパイヤは狭い間隔で植えられ、間にマンゴーが植えられ、レタスやココナツ、ミカン、ロレニア(カスタード・アップルとバンレイシの仲間)が散在している。それで、単一作物が植わっている大きな畑のように木から木へと感染病が広がるような事はない。彼はHIGEANメンバーがプレゼンテーションをしている集まりに自分のパパイヤを持ち込み遺伝子のテストを受けたが、結果には少しの疑いも持っていなかった。カバリーは政府が有機農産物の認証に当たって新たな厳しい規制をする以前にパートナーが市場で買ってきたいくつかのパパイヤが原因で遺伝子汚染が怒っているかもしれないと信じていた。その種から生えた木は、ファイトフテラ(phytophthera)と呼ばれるカビ病が発生し切り倒していた。しかし、それら何本かの木から花粉が飛散し他の木を汚染したかもしれない。
厳密な連邦政府の基準に従えば、遺伝子遺伝子組換え作物は「有機」と表示してはならない。GM株が全滅したのを確かめたくて、とカバリーは言った。彼の農場は組換えパパイヤの木を全部切り倒し、数千個の種子を破壊し、ハワイ大学から新たに非GMパパイヤの種を入手してあちこちに植えた。「私はこんな巨大化学会社と対決なんかしたくない。」彼は塾考し、会社と対立しない方法を選んだ。「私は自分達がやっていることを正し、コミュニテイーとともに働き、人々を教育して、我々が自分達の環境を守り、子どもや孫を守った方が良いと思う」と彼は言った。
我々の間のカビ
皮肉にも、ファイトフテラやその他のカビ病にかかりやすいかどうかが、そのパパイヤが遺伝子組換えかどうかを知る指標である。ハワイ大学の研究者たちは、このサンアップとレインボーという組換えパパイヤの種を公にしたとき、ファイトフテラに罹りやすいことを知っていた。ハワイ大学の農学者ステーブ・フェレイラは2001年4月号の雑誌にこのカビ病への感受性について書いていた。「これは重大な問題だ」と認めた上で彼は言った。「ウイルスが爆発的に増える前は、パパイヤにとって最も深刻な問題はカビ病だった。実際我々はファイトフテラを遺伝子組換えで解決しようとしているが、まだ何年もかかるだろう」
広く導入して以来、この新しい品種は新たな災難、ブラックスポット・カビに苦しめられ、農家は高価で有害な殺菌剤を畑に散布せざるを得なくなった。カポホ・ソロという最も普通の非GMパパイヤはリングスポット・ウイルスには酷くかかりやすいが、カビの感染には耐性がある。「レインボーは多分カポホ・ソロよりもファイトフテラに罹りやすいだろう。理由はレインボーが雑種で、片方がカポホ、他方がサンアップだからだ。後者は組換え遺伝子を持ちファイトフテラに大変罹りやすいから」とリチャード・マンシャルドは言った。農民が何故カポホ・ソロの遺伝子組換え版でなく雑種を手に入れたかは偶然である。
遺伝子操作は新しい遺伝子を小さなメスでDNAに正確に挿入するような技術ではない。ウイルス耐性のサンアップパパイヤは「遺伝子銃」と呼ばれる道具で作られたものである。金属のデスクをスクリーンめがけてライフルの弾と同じくらいのスピードで発射すると、このデスクからDNAを塗布した1ミクロンほどのタングステンの玉が飛び出す。この小さい玉は微小なショットガンの玉と同様目標の植物細胞の膜を貫通し、宿主のDNAに当たる。その結果は科学的に厳密ではなく、ある細胞をとれば、科学者が意図したように挿入したDNAが入ったものも入らなかったものもある。科学者は玉が十分な細胞に当たったかどうかは、統計的確率に依拠せざるを得ず、結果的にたった1個しか上手くいかないこともある。
「この遺伝子操作では、多数の組換え体の中から望むものを選択しなければならない。ラッキーに見つかる場合も、あるいは見つからない場合もある。だから、組換え前のものと同じように振舞うものをスクリーニングしなければならないのだ」とマンシャルドは言った。
マンシャルドによると、ハワイ大学−コーネル大学チームは抗ウイルス性のカポホ・ソロ細胞を単純に見つけたわけではない。この組み換え体は始めサンセットという品種の中で上手く働いた。残念なことにこのサンセットはファイトフテラ菌に大変感染しやすいのである。それで、チームはこの組換え体のサンセット株(サンアップと改名された)をカポホ・ソロと交配してレインボー株を作った。これはサンアップよりもカビに抵抗性があったが、カポホ・ソロよりは弱かった。「今はウイルスに抵抗力のあるカポホ・ソロの遺伝子組換え体もある。しかし、それはまだ試験段階だ」とマンシャルドは付け加えた。
アレルギーの危険
農民達が農場でカビの心配をしている一方、消費者には健康上の別の心配が持ち上がってきた。ロンドンの反GM団体ISIS(社会の中の科学研究所)は「GMパパイヤ・スキャンダル」というタイトルの論文を西オンタリオ大学の遺伝学名誉教授、ジョー・カミンズの名前で、インターネット上で公表した。その中で、彼はGMパパイヤの中の組換えタンパク質は人間にアレルギー反応を起こす危険がある、と指摘したが、環境保護庁(EPA)はその可能性を調べもせずに認可した、と主張している。
「認可の際に、市場に出る前に潜在的なアレルゲンは同定しなければならない。しかし、GMパパイヤのリングスポット・ウイルス殻タンパク質が、既知アレルゲンのアミノ酸配列を含んでいて潜在的なアレルゲンであるという最近の報告があるにも関わらず認可されてしまった」と彼は書いている。
カミンズ教授はオランダの生物学者ギジュ・クレーターとアド・アシム・ペイネンバーグの科学論文を引用した。彼らは組換えパパイヤのリングスポット・ウイルス殻タンパク質を含む多数のタンパク質をテストし、このタンパク質が既知アレルゲンと同じ6個又は7個のアミノ酸配列を含むことを発見した。「この研究結果はこのタンパク質の潜在的なアレルギー性を更に臨床的に調べる必要を示している」と二人の科学者は結論している。カミンズはアメリカのEPAに連絡しクレーターとペイネンバーグの発見について訊ねた。「EPAの公式情報ではパパイヤ・リングスポット・ウイルスの殻タンパク質及びその遺伝物質はウイルス耐性の必要条件から1997年に(その試験の)免除が与えられている。これは、このタンパク質が人間と動物が食べても安全だという信仰に基づいて、安全性評価が免除されていることを意味している」と彼は報告している。カミンズが言うこの「免除」は1997年のEPAの規制で「パパイヤ・リングスポット・ウイルスの殻タンパク質及びその生産に必要な遺伝物質の最大許容レベルの設定の必要性を排除する」としていることを指す。
組換えパパイヤを作り出したチームを率いたコーネル大学のマンシャルドとデニス・ゴンサルベス教授の二人とも、人間は既にリングスポット・ウイルスの殻タンパク質を食べていることに基づいてこの免除があると、本誌に答えた。実際、人間はこのウイルスを丸ごと食べている。「それはレモンやズッキーニのような植物の中にあり、人間はいつもそれを食べている。それから病気になったとしても、誰もそれが原因だとは思わないでしょう」とマンシャルドは言った。
「当時我々はアミノ酸配列の比較などはやらなかった。ハワイで1990年代にトラブルが起き、プナ地方のパパイヤが全部ウイルスに感染したときもパパイヤの多くは食べられていたのだ」とゴンサルベスは認めた。彼はまた、ブラジルと台湾で果物にわざと弱毒ウイルスを感染させ、人間のワクチンのように使う科学計画があったと言った。事実、「私は弱いウイルス株でパパイヤを感染させる研究に関わっていた。1980年代半ばだったが、農民はこの技術を使いたがったので、これを使いそのパパイヤを市場に出した」と彼は言った。しかし、ゴンサルベスはこれを買った消費者が病気になったかどうかの追跡調査はしなかった、と言った。EPAは、消費者が既にこの植物ウイリスを食べているのだからという議論を受け入れた。しかし、日本はこれまでそうしたパパイヤを売った事がない。ゴンサルベスと彼の同僚達はより厳しい日本の要求にも合致するようアレルゲン問題に関する研究を続けている。「我々はアレルゲンの可能性チェックに使われている標準的な基準を調べた。」とゴンサルベスは言った。この基準と言うのは既知アレルゲンと共通のアミノ酸含量が35%のタンパク質を探し、それから既知アレルゲンとアミノ酸の並びが8個以上同じものを探す、というやり方だ。マンシャルドはオランダの研究は「ちょっと漠然としていて重要でない。チェックは必要かもしれないが赤旗を振るようなものじゃない。それはアレルゲン性の確かな証拠じゃない」という。
それに対して、前インジアナ大学の遺伝子工学研究者マルチ・クロウチの意見は反対である。「実際、タンパク質の僅かな変化でも劇的にアレルゲン性を増加させることがある。例えば遺伝子工学で作った人間のインシュリンは(ヒト本来のインシュリンより)何倍もアレルギーを起こしやすい。それは人工的なインシュリンには糖鎖がついていて構造が僅かに違うことが原因だと考えられている。あるいはアミノ酸1個の違いでもアレルギー性増加につながる」と彼女は言った。
食物は誰のもの?
多くの反GMO活動家らの動機の一つは安全性の問題である。しかし、より大きな問題は誰が世界の食糧を供給するのか、という問題である。「遺伝子組換え作物から採種すればそれは法律違反になる」し、その種を使おうとする農民や園芸者は、これに同意する書類にサインさせられる。
GM種子には特許がついていて、特許の保持者はアメリカとカナダで、農場でGM遺伝子が見つかった、として訴追されている。ハワイではパパイヤで一例ある。訴えられた農民らは彼らの作物の近隣にあるGM作物から花粉が飛んできて汚染したのだ、と主張している。レッドフェザーが指摘するところによれば、農民は数千年の昔から作物を改良し、地域の天候や土壌条件、病虫害などに強いものを作ってきた。そのために、各人の畑で最も優秀な種子を保存し、それを次年度に使う、というやり方をしてきた。商業的な(一代)雑種の導入によってこのやり方は出来にくくなり、地域の品種が数千種類も絶えることにつながった。GM作物が広く使われ、花粉の飛散や裁判にかけられる危険などがあれば、従来のような採種はそれ以上出来なくなってしまう。
花粉の飛散による汚染の問題を有機農業者は特に心配している。アメリカの有機食品に関する新たな厳しい規制ではGM作物は有機、と表示できない。しかし、GM植物と食品は表示の必要がない。それで、農家は自分の隣の畑でGM作物が栽培されているかどうかを知る手段がない。マンシャルドはGMだからといってGM表示をする必要はない、と言っている。「もしあなたが問題にしているのが食品の成分に変化をもたらし、過去に無かったものを発現しているのなら、表示の必要もあるだろうが。またかりにそうだとしても、例えばビタミンAが60%低下し、ビタミンCが40%増加したとすれば、それが一般的なパパイヤから有意味な変動ならば表示しなければならないだろう。だから、私は、m公衆はそうしたやり方で守られるだろうと思う。しかし、成分が非組換えパパイヤと有意に変わらなければ表示の必要はないのではありませんか。」
マンシャルドが言うには、コーネル大学の研究チームは花粉の飛散に関して予備的な試験をしている。それによれば、1エーカーのGMパパイヤの風下4分の1マイルに非GMの畑があった場合、85個の果物の種子1000個がGMなら交雑は起こらなかった。「それはいかなる意味でも決定的な証拠ではない。しかし、商業規模での栽培における情報であり、GMから非GMへの遺伝子流出は起こらないことを示す」と彼は言った。
しかし、批判派はマンシャルドの言う試験は規模が小さすぎて意味がない、という。1エーカーの畑には数千個のパパイヤの実があり、それぞれ500個の種をつけている。また、GMパパイヤの周りには小規模な有機農場もあるので、1エーカーの試験ではわからない汚染のチャンスがもっとある、という。HI
GENEが行ったこの試験で、すでに天然パパイヤの汚染が2件生じている。一件はプナ、他はコナである。マンシャルドはまた、たまたま花粉による汚染が生じたとしても、それは汚染が偶然生じた有機パパイヤとして売る事ができる、という。彼は農務省国家有機計画申請書の序文の1条項を示し言った。「有機栽培に関しては、禁止された方法を使わず、禁止された方法による生産物との接触を、記載された有機認証システムに基づき合理的手順で行えば、意図しない混入は有機製品のステータス又は操作に影響を与えてはならない」と序文にはある。
しかし、ハワイ有機農業者協会(HOFA)のオハラ・ヴェイアはこの考えには同意しない。「序文は法律じゃない。法律の説明に過ぎない」と彼女は強く主張する。国家有機計画の実際の規制は、HOFAのような有機認証団体により定義づけされた「有機システム・プラン」によれば、有機農家が種子の保護とその文書化を要求しているという。「もしハワイでパパイヤに遺伝子汚染があれば、我々は農家にその種子の出所に関する文書を要求する。そして試験の結果パパイヤにGM遺伝子陽性とでれば、認証団体は汚染源の特定に関する調査を行うだろう。もし、汚染が生産者の行為によるものでないとわかれば、生産者は認証を失うことはない。」とオハラ・ヴェイアは言う。しかし、農家がその果物を売るのを許されるか否かはケース・バイ・ケースだ。」と彼女は言った。
教育と反教育
3月初旬の水曜日の夜、約70名の地域活動家がラ・アケアの「パーマカルチャー教育施設」で毎週行われている会合を持った。集まった人々はハワイ独立運動の長老から反ワクチン活動家、理論家のレン・ホロヴィッツまでさまざまであった。この草の根運動を組織させたのは遺伝子組換えパパイヤである。しかし、パパイヤはもっと大きな氷山の一角に過ぎない。大多数の参加者は小規模の持続可能な農業を目指す人々であった。彼らはGM生産物が、彼らが愛してきた生き方を抹殺している企業支配の工業的農業の脅威の最近の例に過ぎないと考えている。「これは私達の自由に対する直接的な脅威だ。私達皆を団結させる共通の脅威だ。私達は自分を信じたいし、自分自身の主人でありたいし、自由になりたいのだ
」と司会者のサラ・サリバンは言った。「誰かがやって来て、我々から作物を取り上げ、我々自身がそれを買わなければならないようになるかもしれない。我々は自分の作物すら栽培できないようになると考えると自分にとってこれは実に恐ろしいことなんだ」と参加者の一人は言った。「モンサントが言って来たことは貧困と飢餓についてだが、我々は現状では遺伝子組換え食品をやらざるを得ない。しかし、もしあなたがちょっとだけ(自分の)作物畑をもてれば農薬散布の必要も無いし、遺伝子組換え作物をやらなくてもすむ。農業の工業化は世界中に飢餓をもたらす」と老練な作家で活動家のアリシア・ベイ・ローレルは述べた。
また別の参加者は、世界の歴史の大半で農業は有機栽培だった、と述べ「農業と結びついた“有機”と言う言葉は実は企業世界の象徴だ」と発言した。ハワイ人のサム・カカラレイキはこれに同意し「有機農業はアメリカがやって来て打ち壊すまで、我々がやってきたことだった。我々は正しい道を進んでいると思う」といった。
前ナーリューの学校司書だったイーデン・ペルトは企業が主催した、ハワイの学校で遺伝子組換えに関するカリキュラムをどうするか、という会議に参加した経験を話した。そこで出された一つのテーマは、装飾用(の狩猟)で絶滅しそうな赤い羽根の野鳥に関するものだった。そのテーマを出した人は子ども達に遺伝子組換えを利用し如何にしてこの問題が解決できるか、と質問したという。「正しい答えは、遺伝子組換えで鳥の羽の色を変えれば良い」というものだった、と彼女は思い出して言った。
このグループは独自の反教育戦略で活動している。4月11日と12日、ラ・アケアで彼らは2日間のイベントを企画している。HI
GEAN は新しいGM試験結果をいくつか出展するだろう。そうすれば農民達は自分のパパイヤが人工的な遺伝子で汚染しているかどうか知ることができるだろう。参加者はお互いの農場を訪問し、お互いを強くする経験交流を行う。
GM植物や工業化された農業をやり、グローバルな企業の陰謀でワクチンさえ作る者もいる一方で、奴隷化に反対して注意を促す者もまたいるのだ。ある活動家はGMの研究者に会ったときのことを思い出して言った。「世界中に飢餓が存在する。だから私は何ができるか、できる事をしたいんだ、と彼らは言った。彼らの目には愛の光があった」
「誰もが潜在的な協力者だと考えることがとても大事なんです。彼らを敵にまわさないように。この問題に関わる皆と共同のコミュニテイーを作ることが私にとっては最も大切なことです。私達の問題の全ては情報の欠如の象徴にすぎませんから」とサリバンは後で記者に言った。
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