イギリスの最高研究機関がGMの失敗を認める
The Institute of Science in Society
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イギリスのGM研究最高機関であるジョン・インズ・センターの研究者達が、とうとうGM作物は良くないと公的に認めた。GMOに死の宣告をしたことになる。メイ・ワン・ホー、アンジェラ・ライアン、ジョー・カミンズによる報告。 (訳 山田勝己)
ジョン・インズ・センター(JIC)は第一級の英国植物研究所で、バイオテクノロジー及び生物科学研究委員会(BBSRC)によって毎年1000万ポンドを上回る多大な公的資金で運営されている。また、同研究所は、セインズバリー・ラボを擁し、ゼネカやジュポンといった遺伝子組換え企業とも研究提携している。
驚くまでもなく、JICには最も先鋭的GM推進学者がいて、専門誌に出した論文では同じ問題を指摘していながら、我々のような学者の出すGM作物批判は頑として受け付けなかった。 我々は永年、組換え遺伝子と組換え体株の不安定性を指摘し続けてきた。 それは、GM遺伝子が関係のない生物種へ無制限に拡散し、組み換えによって新種のバクテリアやウィルスが発生する可能性がある、という重大な安全問題を提起している。 最近は、既に商業化された作物や現在圃場試験を行っている事実上全てのGM作物に使われているカリフラワー・モザイク・ウィルスの使ったプロモーター(CaMVプロモーター)は、組換え遺伝子とGM株を更に不安定にしていて、水平遺伝子伝達と組換えの問題を非常に深刻化していることを我々は警告してきた。
JICの最新の年報に注目すべき論文が二つあり、まず最初の論文では、GM大麦が圃場試験で代を重ねる度に不安定になり変異をおこしやすくなることを明らかにしている。 研究者達は結論として「組み換え株は、組み換えの安定性と農業経営的成績のデータを得るために数代に亘って圃場条件で試験する必要があること示している」とし、更に「詳細な分子解析と遺伝解析」が必要だとしている。 どちらも我々や他の科学者達が何年も前から要求してきたことである。
第二点はCaMV35S プロモーターに関するものだ。 ISISがこのプロモーターの危険性を科学雑誌で指摘した時には、悪口と攻撃に曝された。最も過激に批判したのはJICの研究グループのリーダーだった。 その彼が組換えの起こりやすい切断点である”組換え頻発点(hotspot)”がこのプロモーターにあることを発見したのである。 二年経った今、その同じグループがCaMV35Sプロモーターと、これまた時々‘偶然’GM作物に組み込まれる、組換え遺伝子のベクターとして動くプラスミド内の”複製開始点”が持つ、組換えホットスポットを避ける必要があると認めたのだ。
二つ目のレポートの著者らは、解決策として’クリーンDNA’技術の開発を提案している。だがこれは全てのGMOに死の宣告しているのと同じ事だ。 現在市場に出回っている物や評価中の全てのGM作物は、CaMV35Sプロモーター、そして多くには複製開始点を含むプラスミドDNAが入っている。
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2000年度JIC年次報告からの引用:28ページ、GM大麦の小規模圃場試験分析で遺伝的不安定性を認めている。
「1998年の試験データでは、組み換え大麦の収量を含むいくつかの農業経営特性は、非組み換え対照群及び親株の組織培養対象群との比較では同じであった。 他の特性に関して、組み換え体と対照群には大きな違いがあった。組み換え体の系統はかなり丈が低く、開花時期が若干遅れた。 第二世代を1999年に実験したところ、組み換え体株は対照群に比べて1998年の野外実験よりもバラツキが大きくなっていた。 これは細胞培養と遺伝子組み換えの手法に起因した体細胞クローン変異による可能性があり、世代が進むほどはっきりしてきたものだ。」
これらの結果は、組み換え系統株は圃場環境で数世代に亘って調査しなければ、組み換え遺伝子の安定性や農学的成績を判断するために必要なデータは得られないことを示している。 詳細な分子解析及び遺伝解析と並行して更なる圃場試験を行い、変化の過程を良く理解できるようにすれば、遺伝子組み換えの長期的影響評価ができるようになる。
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29ページ;GMとCaMV35Sプロモーターの問題点はこれまで軽く扱ってきたことを認める。
「宿主DNAと挿入DNAの接続部、及び挿入部での各プラスミド分子同士の接合部の解析では、微小相同配列を介した意図しない組換えが、二次構造を持つ領域で頻発していることを示している。 そのようなことが起こる場所の一つは、CaMV35Sプロモーターで、作物の組み換え遺伝子発現のために広く使われている。 組み換え遺伝子の発現や抑制の影響はこれまで軽く扱われてきたが、我々の研究が遺伝子の再配列を封じ、組み換え遺伝子発現の安定性を向上させるような構造デザイン改善の一助になると思う。」
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