20041120

岩手日報

 

    遺伝子組み換えナタネ 国内にじわじわ拡散 新たに4港で確認

輸入時 こぼれ落ち繁殖か

 

セイヨウナタネが輸入されている千葉、横浜、名古屋、神戸の各港周辺で、除草剤耐性を持つ遺伝子組換えナタネが繁殖していることが、市民団体の調査で20日までに分かった。輸入された組換えナタネが陸揚げ時や輸入中にこぼれ落ち、育ったと見られる。

 

 組換えナタネの繁殖はこれまで茨城県鹿島港や三重県四日市港、鹿島港から約30`の千葉県内で見つかっており、今回の調査で、より広い範囲に拡大しつつある実態が明らかになった。市民団体は「組換えナタネは安全性に疑問があり、在来の菜種や農作物の“遺伝子汚染”が起きる可能性がある」としている。

 調査は『ストップ遺伝子組換え汚染種子ネット』(種子ネット)などが今年810月に実施。採取した葉や種をすりつぶし、除草剤のグリホサートやグルホシネートに耐性を持つ遺伝子が作るタンパク質の有無を専用の試験紙で調べた。

 その結果、グリホサート耐性ナタネを千葉、横浜、名古屋の各港付近で、グルホシネート耐性ナタネ名古屋、神戸両港周辺のほか鹿島港から数キロ離れた鹿島市内や数十キロ離れた茨城県取手市の利根川付近でも確認した。名古屋港と神戸港周辺では各約十検体を採取、いずれも約半数が除草剤耐性を示したという。

 種子ネットの入沢牧子事務局長は「ほかの輸入港でも同じような状況だろう。組換えナタネ拡散すれば、白菜など近縁種の野菜や在来種と交雑する下地ができてしまった」と指摘している。

 ナタネは主に食用油の原料として年間約二百万dが輸入されている。組換えナタネと自然種の菜種の分別はほとんど行われていないという。

 

在来種や野菜と交雑の懸念

花粉、4`飛散例も

 

今回の調査で、国内各地で拡散している事が分かった遺伝子組換えナタネは、在来種の菜種や近縁の野菜と交雑しやすい。現状を放置すれば、こうした作物への遺伝子拡散が懸念される。

 国立環境研究所などによると、菜種の近縁種には白菜、カブ、高菜、からし菜といった野菜がある。これらは組換えナタネから二百b離れていても花粉が飛んで、全体の数%は交雑するとの研究結果がある。

 河田昌東・四日市大講師(分子生物学)は「海外では、組換えナタネの花粉が約四キロ飛散し、近縁種に除草剤耐性を伝えた例がある」と指摘する。カブと交配し、除草剤耐性遺伝子が四世代にわたり伝達される事を確認したとの報告もあるという。

 河田さんは「自分の畑で採取した種をまいている農家で交配が起これば、知らないうちに組換えナタネを栽培していたということにもなりかねない」と話している。

 

 

 

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