遺伝子組換え小麦は遅れる

 

ニューヨークタイムス

02年7月31日

アンドリュー・ポラック

訳 河田昌東

 

 モンサントは2005年までに市場に出すと言っていた最初の遺伝子組換え小麦の発売の時期を延期する、と同社のスポークスマンが昨日述べた。

セントルイスに本拠地のある同社は遺伝子組換え小麦の開発が遅れる、とは認めていない。しかし、市場に出す時期については述べず、市場が要求し、組換え小麦とその他の小麦を分別するシステムが整う、といった目標が達成されれば市場に出す、というにとどめた。

この新しい姿勢は同社が遺伝子組換え小麦を市場に受け入れさせるに当たって直面してきた困難を反映している。日本とヨーロッパの製粉業者らはアメリカの小麦の巨大なマーケットだが、遺伝子組換え小麦は欲しくない、と言っている。それにアメリカの農民のある者たちも、組換え小麦が在来の小麦と混ざり、輸出一般に悪い影響が出ることを恐れている。月曜日(29日)のアメリカ小麦協会の集まりのスピーチの中で、イタリアの大手製粉業者の代表は、「わが社は遺伝子組換えが導入されればアメリカやカナダからの小麦の購入を直ちに停止する」と言った。

 モンサントのスポークスマン、マーク・ブッキンガムは同社がラウンドアップ耐性小麦の安全審査を今年申請する予定だ、と言った。これは同社の除草剤に抵抗性を持つ遺伝子を組み込んだものである。

しかし、モンサントは「業界が受け入れてくれるまでは市場には出さない」とも彼は言った。それにはまだまだ時間がかかるだろう。

 

 すでに市場に出ている遺伝子組換え作物は、大豆、コーン、綿、などで、生産農家の間では普及しつつある。しかし、消費者の抵抗に対する懸念は新しい遺伝子組換え作物がバイヤーの間に足がかりを得るのを困難にしている。

 

 

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